BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――3日目にして勝負駆け!

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「うおっ、カッコいい~!」

 1R、西島義則がまくり切った瞬間、整備室でレースを見ていた選手たちが唸った。声の主はおそらく倉谷和信。スロー4コースから、のぞいたわけでもないのに、豪快なまくり一撃を決めた西島に、匠たちも感心しきりの様子だ。

 たしかにカッコよかった! まくれる隊形ではなかったにもかかわらず、まるで格の違いを見せつけるように握った姿は、まさに勇者のそれだ。これで3連勝! ピットに戻ったあとの表情も雰囲気も充実感満点で、仲間の出迎えには笑顔も見せている。「優勝しちゃうんじゃないか!?」と青山登さんが思わず口走ったが、それを否定する気には少しもなれない。それほどまでに、西島は強者の顔をのぞかせているのだ。このまま突っ走る可能性はおおいにあるだろう。

 

 

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 同レースの2着は、北川敏弘。地元から唯一参戦した期待の星に、ようやく結果が出た。1マークでは、見事なまくり差しで西島のふところをとらえかけており、捌かれてしまったものの、上昇気配を感じさせた。

 北川本人以上に歓喜していたのは同期勢だ。まくり差しが西島に届いた瞬間、「よっしゃぁ! 北川だぁ!」と亀本勇樹が叫んでいたのは、師匠・西島には内緒にしておこう(笑)。しかし、初日2日目と苦戦を強いられた同期生が好レースを見せたのは、素直に嬉しかったのだと思う。ピットに戻った北川の胸のあたりを、にこやかにポンと叩いたのは長岡茂一だ。亀本と並んでレースを観戦しており、北川の快走にやはり顔をほころばせていて、このレースには関東地区の選手が出走していなかったこともあって、長岡はまず北川に駆け寄ったわけである(エンジン吊りも手伝ってました)。

 3日目にして勝負駆けの朝は、選手たちの歓声が響く朝でもあった! 天気は悪くなっていく一方だが、ピットの空気はなかなか爽快である。

 

 

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 さてさて、今日は勝負駆け! ボーダーがどのへんになるのかは依然流動的で、ピットでも報道陣が「どうなるんでしょうね~」なんて予測を話し合ったり、選手も「ここで○着でも、他が落ちるからウンヌン」と計算をめぐらせたりしている。だから、準優制の4日目のように○着条件という感覚にはみんながなれていないようではあった。

 ということは、選手はひたすら上位着順を目指す! ペラ室には加藤峻二の姿があり、調整を終えて外に出たのは1Rが終了してしばらく経ってから。係留所に降りて行ったようだった。出走表を見ると、そうか、3R出走じゃないか。つまり、展示ピットにボートをつけるギリギリまでペラを叩いていたのである。

 

 

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 原田順一は、難しい顔で考え込んでいる様子が印象的だった。物静かに、穏やかに、じっと思索にふけっている原田。ときおり、ボートリフトまで足を運んで、水面を眺めたりもしていた。そういえば、こんな姿を毎年4月に目撃してきたなあ、と思い出す。あれはいつだったか、作業にとりかかる直前に声をかけたら、水面のどこを眺めていて、何を考えていたのかを優しく教えてくれたこともあった。今朝の原田はあのときと同じだ!……などと書いていたら4R1着! お見事!

 というわけで、爽快な空気の中で、大ベテランの二人の勝負師然とした雰囲気にすっかり感動させられました。そろって準優進出戦で雄姿を見せてくれ!(PHOTO/中尾茂幸=原田 池上一摩 TEXT/黒須田)