女子12名参戦というなんとも華やかな今節。水面もいきなり華やかだぞ! 1~3Rまで、まくり3連発! すべて3コースというのは偶然なのか何なのか、いずれにしても、福岡らしいスタートを切ったと言えるだろう。
初戦は、特に華やか! 魚谷香織がまくり一撃を決めたのだ。ピットにはどよめきも起こったほどの快勝で、ピットに戻った魚谷は華やかにスマイル! 鎌倉涼や守屋美穂など、女子選手の祝福を受けるとさらに笑顔は満開となり、ピットの明るさが何ルクスが増したように思えた。
声をかけると、魚谷は親指をピッ! やりましたーっ、とおっさんをメロメロにさせる笑顔を見せた。これがSG復帰戦となる魚谷、幸先のいい勝利に、ひたすら気分が高揚しているようだ。この調子で、旋風巻き起こしちゃいますかっ! このあともはつらつと水面を跳ねてくれることを期待したい。
2Rでは、白井英治が一撃! クラシック(総理杯)ではもっとも悔しい敗退を喫した男が、笹川賞で見事な仕切り直し。白井の3コースといえば、まくり差しの鮮やかさが印象的だが、まくりは豪快っすね! 今村豊らに出迎えられた白井は、笑顔というよりは充実感あふれる表情をしており、一撃の爽快感をしみじみと味わっているようでもあった。今度こそ、悲願達成だ!
さて、初日の朝といえば、慌ただしいのが日常の風景で、今日の朝も同様に、多くの選手が調整に飛び回っていた。ペラ室にも選手の姿が非常に多く、試運転→ペラ→試運転→……を繰り返している選手も非常に目立つ。
目についたのは、吉田弘文と小野生奈の師弟コンビで、作業自体は別々に行なっているようだったが、小野が吉田にアドバイスを受けている姿も見かけられている。出走待機室のモニターに映し出されている映像を並んで見ていたりもしており、その時点で小野も吉田も出走前だったわけだから、1Rと2Rのリプレイで“SGの走り方”を吉田がレクチャーしていたのだろうか。吉田との会話を終えた小野は、すぐに係留所にダッシュ! 師匠の言葉をすぐに確認しようとしている姿に見えた。
昨日はペラを大きく叩きかえている選手が多く、それをお伝えもしたわけだが、今日はそれほど大音量が聞こえてくるわけではない。思い切った叩き変えはすでにみな終わっているのか、繊細な叩きを入れている選手のほうが多かった。昨日ガツンガツンとぶっ叩いていた山崎智也も、今朝は何度も何度もゲージを当てながら、小刻みにトトトトンと叩いていて、そういう段階にすでに入っているようだった。隣で叩いていた山川美由紀もそんな感じで、このクラスになるとある程度のメドを立てるのが本当に早いのである。
本体を開けていたのは、すべてドリーム組だ。峰竜太、今垣光太郎、篠崎仁志。峰は昨日、キャリーボディーを交換したいのだが……とほのめかしてもいたので、本体でなくてその作業かもしれない(いちばん奥にいたので、詳細は見えなかった)。今垣も篠崎も、「初日は時間があるので」と本体整備を表明しており、予定通りの行動か。ドリーム組では今村豊も整備室におり、整備士さんと難しそうな顔で話し込んでいた。桐生順平はプロペラ調整で、松井繁は特に大きな動きは見られていない。
華やかな一戦とはいえ、言うまでもなく、ここは最高峰のガチンコステージ。男子も女子も、ベテランも若手も、勝利を掴みとるべく走り回る初日、である。こうした地道かつ真剣な作業が、水面での華やかなパフォーマンスにつながっていくのだ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)