BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――心強い存在

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 この二人を本当によく見かける。吉田弘文と小野生奈の師弟コンビだ。吉田が事あるごとに気にかけて小野に声をかけているのか、小野が自らアドバイスを求めにいくのか、あるいはその両方なのか、とにかく小野が吉田の言葉に聞き入っている姿は、いつだって視界に飛び込んでくるのだ。

 思えば、昨年の今頃はまだB級選手だった小野。一気にA1級に駆け上がり、ついにはSG出場も果たしてしまった。小野としては不安な部分も少なくないだろうし、吉田としても常に愛弟子の存在が気になって仕方ないだろう。小野が飛躍したきっかけは、オフの練習日に「今日のお前は存在感がないな」と吉田に言われたことだという。その言葉が悔しくて仕方なかった小野は、転覆してもいいと全速ターンを連発、これによって開眼したのだそうだ。この舞台に立っているのは師匠のおかげ。吉田がその出来事を覚えているのかどうかはわからないが、地元SGに揃って出場できたことは、感慨深いことだろう。

 今節、小野はどれだけのことを吉田から授けられるだろうか。

 

 

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 福岡ピットのペラ調整所は3カ所。装着場の片隅に設けられている“屋外調整所”と、整備室奥にある調整室、そして整備室出入り口脇にある“立ち叩き所”である。“立ち叩き所”には文字通りイスがないから、ここを使用している選手はあまり多くない。今朝は、秋山直之と齊藤仁が向き合って、黙々と調整に励んでいた。あっ、83期の同期生だ。秋山は、試運転係留所にボートをつなぐときにはいつも一番端っこ、ペラも隅のほうで叩いていることが多く、とにかく自分の世界に没入していくことで自分を高めていくストイックなタイプのようだが、やはり同期となると心安いのだろう、仁の前では笑顔を浮かべていることが多いような気がする。そんな二人が、お互いの存在を感じつつ、ペラ調整に集中する。なかなかいい光景だと思った。

 

 

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 係留所を覗き込んだら、宇野弥生と石野貴之が話し込んでいた。この二人も同期生である。宇野はエース機、石野はパワーで苦戦中と、気配は好対照の二人だが、宇野にとってはSG覇者の同期は心強いだろうし、石野にとっては超抜の同期が刺激になっているはずだ。女子選手がSGに参戦する機会は決して多くないから、この舞台で同期生に会えるのは精神的には大きいだろう。昨日、山口剛が帰郷となってしまった際、長嶋万記が悲しげな顔を山口に向けていたのものである(91期=たけし軍団の同期生!)。そういえば、ペラ調整所では海野ゆかりと深川真二が会話を交わしながら調整をしたりしていた(71期)。鎌倉涼と桐生順平のコンビは、昨年の優勝戦の日に何度も見かけた(100期)。やっぱり、同期生ってのはいいっすね! 水の上では敵同士でも、陸の上では心を許せるかけがえのない存在だ。

 

 

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 そういえば、守屋美穂と篠崎仁志も同期生だけど、今節はあまり見かけてないなあ。仁志はとにかく必死の調整をしており、同支部勢ともあまり絡んでいない。2Rで2着を獲って、足色に多少のメドが立って余裕が出ているのなら、守屋との絡みも今後見かけることになるだろう。その守屋は、茅原悠紀のアドバイスを熱心に聞いている姿が。同支部であり、同グループの2人。ヤングイーグルとイーグルプリンセスです!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)