今年の丸亀モーターは「突出して凄い」という怪物級がいない替わりに、「不動のスリートップ」とも呼ぶべき優秀な3機が存在する。23号機、14号機、60号機だ。先のワールドカップに喩えるなら、ドイツ=23号機、アルゼンチン=14号機、オランダ=60号機、と言ったところか。選手もそのあたりの情報はキャッチしていて、それなりに緊張感が漂っている。
まずは、登録番号がいちばん古い平石和男と新しい前田将太のジャンケン対決。へーちゃんがパーで、将太がチョキ。若い順からガラポンを回すことになった。そして、いの一番に引いた将太のモーターが……数字を読み上げる選手班長・三嶌誠司の顔が傑作だった。一瞬、抽選玉を持つ手が止まり、数字をじっと見つめ、両隣の関係者にその数字を見せ、それから「おいおい、いきなりかよぉぉ」ってな感じのトホホな苦笑いを浮かべたのだった。で、寂しげに笑いながら……
「じゅうよん番!」
地元の大将がこれだけ表情を変えるのだから、やはり14号機は特別な一機なのだろう。もちろん、ジャンケンから自力勝負で引き当てた将太は満面の笑みだ。それを迎える福岡軍団も、我がコトのように喜んでいる。
一方、ジャンケン勝負に負けたへーちゃんには、太田和美からの追い討ちの一言が待っていた。
「あ~あ、ジャンケンに勝ってたら、14号機やったんちゃいますかぁ?」
へーちゃんはすぐに反論した。
「いやいや、(ガラポンの)回し方が違うから、俺が回しても……」
言い終わるか終わらないかのタイミングで、王者・松井がゴキゲンな笑顔でツッコンだ。
「いやいやいやいや、絶対に14やったわぁ」
これにはへーちゃんも一言も返せず、会場は笑いに包まれたのだった。
さらにガラポンは進み、ドイツ23号機は中島孝平に、オランダ60号機は坪井康晴の手に渡った。この2機の数字を読み上げるときも、三嶌誠やんはとても寂しそうに笑った。逆に60号機(5月周年記念で山崎智也が優勝したモーターだ)をゲットした坪井は、SG3連覇がかかる菊地孝平を呼び止めて「キクちゃん、キクちゃん!!」と連呼した。今度は俺の番だぞ。同県同期のライバルに、そう言いたかったのかも知れないな。
最後に、いくつかの注目機をピックアップしておこう。
特注モーター
★★23号機(49%、前回操者・石田政吾が3日目から6連勝V)…中島孝平
好素性モーター
★14号機(50%、伸び中心に全部の足が強そう。安定感NO1)…前田将太
★60号機(48%、5月周年で山崎智也が圧逃Vもやや下降気味か)…坪井康晴
★26号機(40%、過信禁物も持ち時計ダントツ1分45秒3が不気味)…辻栄蔵
★24号機(40%、最近じりじりと上昇している不気味な穴パワー)…今垣光太郎
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(photos/シギー中尾、text/畠山)