BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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TOPICS 3日目

THE勝負駆け①ボーダー争い

美魔女軍団、躍進!

 

 

 混戦シリーズになればなるほど、経験=年の功がモノを言う?? 今日は朝からオーバーフォーティーの熟女たちが大暴れした。1Rは『浪花のマドンナ』高橋淳美・51歳が鮮やかに逃げきって、メイチのピン勝負駆け(最終ボーダー5・50基準、以下同)を成功させた。2着にも『艇界のアヤパン』武藤綾子・43歳がしぶとく粘り込み、熟女のワンツー決着だ。

 

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 3Rは『永遠のグレーテストマザー』日高逸子・52歳が意表の?4カドから「あんたたち、私に楯突くなんて百年早いわよ」の激辛差しをぶっ込んで完勝。これまた2着にも人気薄の『お江戸のまくり仕事人』栢場優子・43歳が粘りきって3連単200倍の大穴を提供した。

 

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 こうなるともう、チーム熟女の勢いは止まらない。5Rでは『小さなビッグマグナム』谷川里江・47歳が気合のイン逃げで勝負駆け成功。続く6Rは『悲願の忘れな草ウイナー』渡辺千草・50歳が珍しい前付け&コンマ02のタッチSで差し切り、ガチンコの勝負駆けを決めた。このレースの千草が、文句なしの「ウーマン・オブ・ザ・デイ」だな。

 

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 続く7Rでは、再度登場のグレートマザー逸子が老獪な2コース差しを捩じ込み、貫禄の2連勝で勝率を跳ね上げた。

 仕上げは11R『ドルフィンキッカー』海野ゆかり・40歳のイン逃げ&12R『平安の美魔女』水口由紀・41歳の妖艶な2コース差し(差されたのも45歳のテラッチだったが)で、全12レース中の7レースを40代の熟女たちが制圧した。ちなみに、残りの5レースを勝ったのはすべて20代。脂が乗っているはずの30代にとっては鬼門かつ屈辱の1日となり、前年度覇者・金田幸子やV候補の田口節子などがV戦線からこぼれ落ちた。

 

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 今日の結果がもろに影響してか、予選を突破したのは20代が10人、30代が5人、40以上が9人……やはり、短期決戦は勢い、流れが重要なんだなぁ。さてさて、明日はどの世代に追い風が吹くのだろうか。

 

THE勝負駆け②予選トップ争い

まさかまさかの……!?

 

 

 一方、予選トップ争いは意外な?結末が待っていた。自力トップ当選の権利を持っていたのは、昨日までの1位・平高奈菜と2位・福島陽子だった。あえてひとりに絞るなら、最終12Rに登場する福島か。11Rで平高が1着を獲っても、福島が平高の持ち時計を上回るタイムで勝てば予選トップ(同勝率、同着順点で、タイム差勝負)だったのである。だが、今日のふたりに残された枠番は、ともに6号艇。ハナから波乱含みのトップ争奪戦ではあったな。

 

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 このふたりに、しっかりとプレッシャーを掛けたのが9Rの今井美亜だ。唯一の地元レーサーにして今節の台風の目として大暴れしている美亜ちゃんが、今日もインコースからコンマ12のトップSを決めて圧勝した。地元の意地もあるのだろうが、今節の今井のスタートは恐ろしく決まっている。この貴重な1勝で節間成績1151とし、勝率8・00・暫定3位で予選を終えた。

 続く10R、インから逃げさえすれば今井を抜いて暫定3位になる宇野弥生が、小野生奈のジカまくりを浴びて6着大敗。この時点で美亜ちゃんの3位以内が確定した。あとは、11R平高、12R福島の結果を待つばかり。

 

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 11R、昨日まで素晴らしいリズムで水面を駆け回っていた平高だったが、6号艇6コースはさすがに遠かった。1マークで後手を踏み、道中でも揉まれて5着大敗。平高は一歩後退して、今井が2位に繰り上がる。予選トップか2位か、もう今井がこの座から落ちることはなくなった。

 そして最終12R、自力トップの権利を持つ福島が、スタート展示から勝負に出た。気合満々の前付けで、3コース奪取。いつもの福島は、それほどガツガツと動くタイプではない。やはり、節イチ級のパワーを誇る今節、予選トップ~怒涛の「3連逃V」を狙っているのだ。その権利をゲットするための条件は、3着。3着以内なら、今井を振り切って予選トップに君臨できる。スタ展での3コース奪取は、その決意の表れに違いない。

 

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 だが、いざレース本番では、5号艇の川野芽衣(メイチのピン条件!)が素早く小回り防止ブイに到達し「絶対に入れさせませんよ」という意思表示を見せた。結局、枠なり3対3。やはり超抜パワーの福島をもってしても、6コースからの予選トップは遠かった。平高と同じ、5着大敗……。

 この瞬間、今井美亜の予選トップが確定したのである。当の本人にとってはあまり実感の沸かない、棚からぼた餅のような1位だったことだろう。さらに、この1位を心の底から喜び、歓待したかどうかも疑問ではある。最年少の23歳なのである。23歳の身の上で、このまましっかり優勝しようと思えば、3連続でまくり屋やら美魔女やらを相手に逃げ切らなければならないのである。明日逃げきったら明後日、明後日逃げきったら明々後日……と、どんどんそのハードルは高く分厚くなってゆくのである。その重圧に、23歳のA2級レーサーが耐え切れるか。

 

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 うん、とにかく私(我々)は、それを水面で見守るしかないのだな。ひとつひとつハードルをクリアしようとする姿は、そのまま23歳の若いレーサーが成長してゆく姿でもある。できる限り長く、健気にひたむきに真っ直ぐに成長してゆく美亜ちゃんの姿を見つめていたいなぁ。(photos/シギー中尾、text/畠山)