BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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戸田ヤンダビTOPICS 4日目

THE勝負駆け①ボーダー争い

1点足らずで……

 

 

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 今日は最終12Rのことだけ、いや、ひとりの選手のことだけ書かせてもらう。書かせてください。

 まさかまさか、昌希が……。昨日まで予選4位の西川昌希は今日、絶好枠の1・2号艇でわずか5点を取り切れば準優当確だった。もちろん、私はそんなチンケなボーダーラインなど眼中になかった。

「昌希がピンピン連勝なら、予選トップになりそうだな。それじゃ人気にしすぎるし、逃げ・逃げVは昌希らしくない。ここはちょっと取りこぼして予選10位、準優4号艇くらいがちょうどいいなぁ。今節の昌希ならどんなコースからでも優勝できるんだから」

 なんて贅沢なことを昨夜から考えていた。天狗だった。大天狗だった。そして前半の6R。昌希はそんな私のシナリオに沿うように、イン戦でひとまくりを喰って5着に敗れた。この時点で14位。ちょっと予定より下がりすぎたが、最終12Rでキッチリ帳尻を合わせてくれる。そう信じ込んでいた。

 そして迎えた12R……前半戦の結果次第では3、4人が当確でもおかしくないメンバーだったが、現実には恐ろしくタイトな混戦カードになってしまった。その番組と当確条件は

 

12R

①篠崎仁志…③

②西川昌希…④

③山口達也…③

④長尾章平…④

⑤渡邊雄一郎…④

⑥小坂尚哉…当確

 

 まさに激戦。すべてボーダーより上の6人ではあるが、少なくとも誰かひとりは脱落する(長尾と雄一郎が4着同着だった場合は6人とも生き残る可能性あり)。だから、すでに暫定19位で予選を終えている河合佑樹は、99・999999%くらいの確率で準優入りが確実だった。ちょっとしたマジックだな。では、誰が落ちるのか……。

 

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 昌希と達也が入れ替わり、132/456の並びになった本番。3コースの昌希は十八番の獰猛な強ツケマイを浴びせた。鮮やかに決まった! かに見えた。が、引き波にハマれば一巻の終わりの仁志が、艇を追っつけながらギリギリの態勢で耐え抜いた。昌希の艇が流れる。そして、ここは戸田。あっという間に向こう岸に接近した。減速して衝突を避け、昌希はまたレバーを握った。まだまだ、十分に3着を獲りきれそうな位置だった。昨日までの足なら、追い上げての2着までありそうだ。

 とにかく、準優入りは決まりだな。

 私は安堵しながら1周2マークを見ていた。だが、そのターンには昨日までの余力たっぷりの安心感がまるでなかった。ズルッと下がって4番手。さらに2周1マークのターンももっさりと重そうだった。回り終えて、後続がグッと近づく。そして、2周2マーク……昌希のターンはまるで引き波を超えられず、一瞬にして長尾章平に差し抜かれた。あってはならない5番手。必死に追い上げる。が、まるで届かない。さらに差が広がってゆく。結局、昌希はなすすべなく準優圏内から滑り落ちた(前検からまったくエンジンに手を付けていないのに、なぜこれほど急に劣化したのか。わからない。知らず知らずに、ペラが開いていたのか!?)。

 

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 誰かしらが必ず脱落する椅子獲りゲームで、たったひとり座れなかったのは昌希だった。未だに信じられない。昌希のことばかりで申し訳ないが、前検から昌希が優勝すると信じ込んでいた。それくらいゴキゲンなパワーだったし、西川昌希そのものが第1回の覇者に相応しい男だと思っていた。将来、西島義則のような超個性派として艇界を引っ張るであろう昌希の、踏み台シリーズ。そう思ってたし、そうなってほしかった。それがまさか、予選の段階で……。

 嗚呼、今さら愚痴を言ってもはじまらないな。レースが終わって、昌希は家事都合で帰郷した。しっかり気持ちを切り替え、またルーキーリーグからオッサンファンの心を釘付けにしてほしい。最後に、昌希が優勝したときのために暖めていた脳内の予定稿を、一、二行だけ書き記しておこう。

 前付け、3カド、ダンプ、切り返し……大先輩相手にも怯まず向かっていく昌希は、優等生だらけになった艇界の救世主なのだ!

 あーーーーあさって、書きたかった!!

 

THE勝負駆け!②トップ争い

やっぱり両雄。 

 

 

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12R=残酷な椅子獲りゲームの前に、すでに予選トップ選手は決していた。その流れは実にシンプルだった。7Rで峰竜太が5コースからありえないようなミラクルまくり(VTR必見!! まじ、ありえませんって)を決めて、予選2位以内を確定させた。相手は、篠崎元志ただひとり。11Rで元志が2着以内なら元志、3着以下なら峰という明確な条件だった。

 

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 雌雄を決する11R、元志はスタートで後手を踏んだ。というより、両隣のスタートが決まりすぎた。左がコンマ04、右がコンマ02……コンマ16の元志は、サンドイッチの具状態に陥り、なす術なく4着に敗れ去った。予選トップは峰、2位に元志。終わってみれば。という表現しか浮かばない。何年も前からSGのみならず準優や優勝戦を賑わせてきたふたりが、気づいてみればワンツー占拠。ヤングダービーという知名度も実力差も幅広いシリーズにあって、役者の違いをまざまざと見せつけた。

 やっぱりふたりは強かった。

うん、それ以外書くべき言葉が見当たらない。で、そに続く3位に食い込んだ遠藤エミは立派の一語。最近、男女混合戦で不振に喘ぎ続ける女子レーサー。そんな暗いイメージを一気に払拭する活躍ぶりだった。

 とはいえ、ここは戸田。予選トップや準優1号艇のメリットが、他場よりもはるかに希薄な水面ではある。明日、白いカポックがすべて逃げきるか、あるいはすべてぶっ飛ぶか……どっちが起きてもまったく不思議はないと思っている。(photos/シギー中尾、text/畠山)