BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――荒れ水面!

 

 

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 台風接近ということで、前検業務はおおむね30分ほど前倒しで行なわれている。試運転が始まる頃にはすでに強い追い風が吹き、水面は波立ってはいたが、これ以上大荒れになる前にタイム測定を終わらせようという措置だろう。愛知県はこれからさらに風雨が強くなるとの予報だから、選手の安全というものも考慮されているわけだ。

 その分、選手たちの動きは非常に慌ただしくなる。短縮されるのは装着作業ということになるから、ボートを水面に下ろすまでの作業を手早くこなさなくてはならないのだ。だから、装着場内を走る選手が多数! 今坂勝広の伸びが超抜でしたよ。石川真二が全力でこちらに向かってきたときには、身体が固まりました。まあ、喩えていえば、車道のど真ん中に僕が突っ立っていたわけで、その後はそそくさと隅っこに移動したのでありました。

 

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 急がねばならぬとはいえ、おろそかにできぬのが装着作業というもの。モーターをただボートに乗っければいいというものではなく、また選手それぞれにルーティンだったり作法だったりがあるので、ある程度の時間がかかるのは仕方のないところだ。

 13時30分頃か、装着作業を終えた菊地孝平が、ボートを押して走り出した! 菊地はドリーム戦出走。ということは前検1班。1班のスタート練習とタイム測定のスタート予定はまさに13時30分。うわっ、ギリギリ!「菊地選手、ピットにボートを……」というアナウンスが流れたのは、まさにそのときであって、結局試運転を一度も走ることができなかったのであった。

 というわけで、ドリーム会見でのコメントは「わからない(笑)。1回も旋回してないし」。スタート練習を3本、タイム測定1周では感触がつかめるわけがない。せいぜい「スリットから下がる気配はなかった」というのが精一杯だろう。

 

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 もし試運転を何周かしていても、コメントの内容はあまり変わらなかったかも。1マークは全速で回れるような状況ではなかったから、正味の足色はほとんどわからなかったのではないか。せいぜい、直線足がわかった程度だろう。

 そう、今日は多くの選手が「わからない」と言っている。ドリーム戦組でも、山口剛、今村豊、篠崎元志、毒島誠らが同様の言葉を口にしている。瓜生正義もターン回りに関して具体的なコメントをしていない。つまり全員が、足色を把握していないのだ。荒れ水面の前検というのは(レースも同様かもしれません)、こういうものだろう。

 

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 舟券を買う側から言えば、これは逆にアドバンテージを得るチャンスである。明後日の初日に展示とか試運転とかを見て気配をつかんでしまえば、思わぬ好配当をゲットできる可能性があるからだ。今日、スタート練習とタイム測定を終えた選手たちは、プロペラだったりギアケースだったり、速攻で作業に取り掛かっていた。篠崎元志が、「何も考えず、一から調整します」と会見で言っていたが、先入観などがない分、自分の感覚を信じて思い切った調整が可能という側面があるかもしれない。

 

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事実、大嶋一也は相当強烈にペラを叩いていた。完全に叩き直している最中なのは明らかだった。そういった今日の作業で、初日の気配は大きく変わりうる! そう考えれば、むしろ明後日が楽しみになりました。いい配当、獲りましょう!

 

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 そんななかで、山崎智也がいち早く作業を終わらせていたのも興味深かった。常滑のピットからスタンドの記者席に戻るには、いったん競技棟に入り、通路を通って、玄関口を出なくてはならない。スタンドからピットに入るときはその逆ですね。浜名湖、下関、唐津もこのタイプかな。で、選手も宿舎に帰る際には玄関口を通ることになるわけで、そしてここが集合場所にもなっている。玄関口前に整列して、バスに乗り込むわけです。整列している選手の前を通るのは緊張するので、僕はいつもその前にピットをそそくさと離れたりしてます。それはともかく、まだペラ室も整備室も満員御礼状態の間にピットを出ようとすると、その集合場所にすでに智也がいたのであった。たった一人、雑誌を読みながらバスの出発時間を待っていたのだが、どうですか、この余裕っぷり! 今日は大きな作業など必要なく、さっさと仕事を切り上げたということだろう。あるいはこの荒れ水面のなかでも好感触だった!? 今年GⅠ5Vの絶好調男の動きだから、おおいに気になった次第。明後日の動き、しかと注目してみよう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)