BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――徹底的に

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171214143012j:plain

 先に深谷知博の水神祭の記事をアップしているが、その深谷はその後、整備室にこもっている。本体を割っていたのだ。1着は獲ったけれども、まだまだ機力に満足はしていないようだ。結果が出たから良し、ではない。さらなる好結果を求めて、力を尽くすわけである。

 こうした取り組みを見せるのは、もちろん深谷だけではない。終盤の時間帯でも本体整備をしている選手は何人か見かけられ、限られた時間を存分に使っている。

 

f:id:boatrace-g-report:20171214143025j:plain

 10R発売中、池田浩二がペラ室に走った。池田といえば、11R1号艇。スタート練習後には展示ピットにボートを移動するところを、ペラ室に近い位置の係留所にボートをつけて、手早くプロペラを外すと、全力でピットへの渡り橋を駆け上がったのである。スタート練習時に気がかりな点を察知したのだろう。

 池田がギリギリまで調整をする姿は、これが初見ではない。11年徳山周年の優勝戦がまさにそうだった。あのときも1号艇だった。持ちペラ制だった当時、池田は使うペラに悩み続け、最後の最後まで調整と試運転を繰り返した。しかも、ペラを決定したあとは、試運転をすることもなく(時間的にその余裕もなかった)、展示ピットにボートを移動している。池田曰く「自分はぶっつけで行くことも多い」。最後の最後に感じ取った感覚を信じて、レースに向かうのだ。

 今日の池田がまさにそうだった。あの徳山で、池田はきっちり逃げて優勝している。今日もきっと……と予感した次第である。

 

f:id:boatrace-g-report:20171214143037j:plain

 レース前ではなくレース後であるが、仲口博崇もペラ室に駆け込んでいた。みなさん、見ましたか、9Rを。田中信一郎が逃げ切り態勢だったのに、内からぐいぐい伸びて田中を捕まえてしまった仲口。噂の1号機パワーを存分に見せつけるレースぶりだった。

 しかし、仲口は油断しない。ペラ室にいたのは短い時間だったので、点検とごく軽い微調整程度だろう。それでも仲口はペラを見つめながらペラ室に向かい、レース後にするべき仕事をきっちりとこなした。レース前に徹底した調整をするのも、激勝した直後に兜の緒を緩めないのも、まさにプロフェッショナルな勝負師の姿。これもまた実力を蓄積していくということなのだろうな、と思う。

 

f:id:boatrace-g-report:20171214143048j:plain

 さて、今日も元気いっぱい今村豊。白井英治が転覆した10Rのレース後、ボートリフトのあたりで嬌声があがった。明らかに女性の声なので、その主は寺田千恵である。リフト前には寺田、今村、山口剛、吉田拡郎、茅原悠紀、平尾崇典がいて、全員が中国勢。つまり、白井のボートが戻ってくるのを待っているのである。事故艇が出れば、同支部や同地区が総出でボートの引き上げを手伝い、そのまま転覆整備になだれ込むもの。ボートを引き揚げるクレーンは、ボートリフトのすぐ脇にある。

 大笑いしているのは寺田だけでなく、山口や茅原も声をあげて笑っていた。さらには、ボートを着水するためにボートリフト内で待っていた篠崎元志も爆笑。どう見ても、今村が引き出している笑いである。どうやら、今村が元志をからかっていたようですね。生まれた頃にはもうSG覇者だったミスターにからかわれて、元志も思い切り和んでいるようなのであった。今節も今村豊サイコー! 前のSGは弟子が勝って大泣きした今村だが、今回は師匠の優勝に弟子が泣くというシーンがあってもよろしいのではないでしょうか。

 

f:id:boatrace-g-report:20171214143102j:plain

 そうそう、白井は元気そうです。表情も明るく、突飛な格好で収録をしていた永島知洋氏に八つ当たりする余裕もあった。思えば、メモリアルだって落水失格があった。それを跳ねのけての優勝だった。こんなことで暗澹とする白井では、もうないのである。散々な誕生日になってしまったけれども、明日からも元気いっぱいに走ってくれるでしょう!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)