整備室では対照的な光景があった。
まず、今垣光太郎が本体整備。かつては、光ちゃんが整備室の主になっているのが常だった。ほんと、毎節毎節、見かけたものだった。光ちゃん自身、「整備が好きなのかもしれないですね。ときどき、鼻歌が出てたりしますから（笑）」と言っていたことがある。そんな姿を、僕は「整備の鬼＝今垣光太郎」と書いた。何度も何度も書いた。だから、この光景にはなんだかすごく安心感がありますね。もちろん、整備などしなくて済むように機力良好のほうがいいわけだが、なにしろ整備の鬼である。これでパワーアップとなることを期待しよう。
一方、隅のほうのテーブルでは石野貴之がゲージ擦りを始めていた。もう何度も書いていますが、改めて。早い段階でゲージ擦りをしている選手はエンジン出ている、の法則。３日目だから、それほど早いタイミングというわけでもないが、しかし９Ｒ１回乗りで時間がたっぷりとあるなか、調整よりもゲージ擦りを優先させたということは、間違いなくそれなりの仕上がりになっているはずである。こうした様子や表情が結果に直結するわけではないけれども、９Ｒは石野のイン逃げ鉄板に思えてきてしまった。軽く勝負してみます。
そうそう、その頃にやはり本体整備をしていたのは篠崎仁志だ。どうにも動いてくれない相棒に苦心している仁志。昨日からいまひとつ表情が冴えないわけで、レース終わりにボートリフト前で仲間を待つ間にも、周囲の会話に笑ったりはしているのだが、どうにも力ない顔つきに見えてしまう。
一方、対照的だったのは兄貴。今朝の篠崎元志は、なんとも爽やか！ すれ違った際には元志のほうから「おはようございます！」とあいさつを向けてきて、そのときの表情が実に明るかったのである。機力のほうも徐々に上向いてきたということだろうか。それにしても、この男が爽やかな笑顔を見せていたら、ほんとにもう、反則であります。全国の元志ファンにぜひお見せしたかったなあ。
さて、１Ｒのレース終わり。吉川元浩を待ち構える白石健に、白井英治を待ち構えていた今村豊が声をかけていた。今村の表情は見えないが、シラケンはニッコニコである。そのうちに、今村は手にしていた出走表を折りたたんで、シラケンの頭をペチペチと叩き始めた。シラケンはさらにニコニコと笑う。今村はさらに、それをおかしそうに眺めていた魚谷智之の頭もペチン。めちゃくちゃ楽しそうである。
「いっつもイジってくれるんですよ～。今日は、俺より先に風呂に入るな、って言ってました（笑）」
昨日シラケンが今村より先に風呂に入ったのか、単に先輩としての威厳だか何だかを見せつけようとしたのかは定かではなかったが、えーっと、今村さんがもっと早く風呂に行けばいいと思います（笑）。ミスターの一番風呂、誰も咎めないでしょうに。
今日も元気いっぱいの今村豊！ やっぱりこの人はボートレースの誇りである。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 黒須田 ＴＥＸＴ／黒須田）
※田中信一郎、山口剛が途中帰郷となりました。残念！ ケガを癒して、次の舞台での活躍を！
