BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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常滑ダービーTOPICS 4日目

THE勝負駆け①予選トップ争い

あと2日

 

 

 

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 昼の速報でも触れたが、予選トップ争いはほぼ10Rの①仲口博崇VS④瓜生正義に絞られた。そして、この直接対決は1マークであっけなくケリがついた。仲口のイン逃げ。4カド瓜生のまくりを上平真二がブロックしている間に、すたこらさっさと逃げきった。節間8・80、ブッチギリのトップ当選だ。まずは、第一関門突破。仲口Vの可能性は大きく広がり、同時にVへの選択肢はふたつに絞られた。準優1号艇~優勝戦1号艇、または準優1号艇~優勝戦4号艇。このどちらかの道のりをしっかりクリアすれば、悲願のSG初Vに到達することになる。

 

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 1号機のパワーについては、もはや多くを語る必要もないだろう。今日の1マークの返りの素晴らしさは、惚れ惚れ見蕩れるしかなかった。ターンの出口で、差した山田康二を3艇身千切り捨てていた。あの凄まじい足がある限り、インから普通に先マイさえできればほぼ絶対に差されないし、まくられることもない。

 

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唯一怖いのは、1マークに達する前の一撃まくり。つまり、スタートで後手を踏んだときだけが命取りになる。この部分でもっとも重要なのは、機力より気力。仲口自身のメンタリティに懸かっている。まずは明日、第二関門のスタートに全神経を集中してもらいたい。それさえクリアできれば、99%勝てると確信している。『無冠の帝王のバトンタッチ』シナリオ完成まで、あと2日。

 

THE勝負駆け②ボーダー争い

古参と新顔

 

 あっさり決着が付いたトップ争いとは裏腹に、ボーダー付近の争いは大混戦となった。6Rを終わったあたりで、通常の目安となる6・00の選手は実に8人。しかも、その8人ともに準優圏外だった。ハイレベルというより、今節はパワーを引き出せずにゴンロクに這い回った選手がやたらと多かった。その面々が獲りこぼした大量のポイントを、上位30人くらいの面々が激しく食い合った。そんな印象が残る予選だったな。まあ、大雑把に言えば「パワー格差の大きいシリーズ」なのである。

 

 

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 で、そんなサバイバル戦を勝ち抜いた面々の中から、まずは山田康二をフューチャーしたい。昨日の25位(6・00!)から、今日は逃げて差してでしっかり1・2着を獲りきって9位フィニッシュ。SG水神祭&準優チケットGETという嬉しい嬉しい1日になったヤマコーなのである。もちろん、この9位通過はフロックではない。つい先月までルーキーリーガーだった山田の力量は、リーグ戦の中では図抜けていた。特にここ1年くらいでの成長度は半端なく、私の中では「桐生順平にもほぼヒケをとらない実力」と見ていた。ただ、ほとんど記念に斡旋されず、ルーキーリーグという陸の孤島のような存在と化した一般戦を走っているから、知名度は桐生の足元にも及ばなかった。うん、今のヤマコーはSGでこれくらい活躍しても不思議のないレーサーなのである。

 あ、ついついボートボーイのルーキーバンの愚痴みたいになってしまったが、とにかく今日の予選突破は嬉しい限りだ。まだ失うモノなど何もない26歳。明日は高い井口の壁をぶち壊すくらいの気合で、心置きなく暴れてほしいぞ。

 

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 そして、若獅子あらば“古狸”あり。またまた今節も、三角哲男が堂々の12位で予選を突破した。しかも、初戦6着という致命的な“出遅れ”を完璧にリカバーしての12位である。47歳になってのこのブレークぶりは、ヤマコーとはまた違った意味でしみじみ嬉しく思う。正直なところ、前回のMBメモリアルで予選を突破したとき「さすがに優出までは無理でしょ」なんて思っていた。が、今回はそんな先入観は微塵もありません。昔も今も天下無双の穴男でもあり、しっかり舟券にも絡めたいと思っている。だって、道中を見るだに、マジで強いんだもん!!

 

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 あ……今日の11R、この三角と最後の最後まで競り合って、ハナ差で敗れたのが田村隆信だ。この逆転負けで、まさかまさかの19位、落選……2日目までトップを快走していただけに、信じられないような失速だった。「勝負駆けの田村」が大好物の私としては、黄色か緑のカポックを羽織った準優が見たかったなぁ。残念無念。

 

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 残念と言えば、金子龍介の12Rも惜しかった。6号艇で2着条件だったキンリューは激しく前付けに行き、コンマゼロ台まで踏み込んだが、内3艇の超抜パワーに屈する感じでバック4番手に甘んじた。が、諦めない。最内をフルッ被りで直進し、マイシロのないまま2マークを先取りすべくぶん回した。「勝負駆け」というタイトルを飾り付けたいほどの気迫溢れるターンだった。が……物理的にはかなりの無理が掛かったようで、金子の艇は真横に弾けるように回転した。崖っぷちの気合は報われなかったが、今日の全レースの中でこの1周が私にとっての「ベストオブ勝負駆け」である。人の気持ちが真っ直ぐ水面に反映された、いいレースだった。もちろん、キンリューにとってはただひたすら悔しいだけのレースだろうけど。(photos/シギー中尾、text/畠山)