BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――和やかさと険しさが入り交じる

 

 

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 ピットのテンションがちょっと上がった。今日、本場イベントでトークショーに登場する岩隈久志投手がピットを表敬訪問したのだ。現役メジャーリーガーの登場に、選手も関係者も色めき立つ。やっぱりオーラがありますなあ。プロフィールによると身長は190cm。さすがにデカい。だからよく目立つ。というわけで、ピットの隅にいても選手たちはすぐに気づき、次々と握手をしたり記念撮影をせがんだりしていた。今村豊ら山口勢と交流があるんだそうですね。今村や白井英治はアテンド役として、岩隈に選手を紹介したりしていた。

 

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 一斉に爆笑が起きたのは、谷川里江が隣に並んだとき。艇界一小柄な里江姐さん、プロフィールによると143cm。身長差47cm! 実際に見た感じはもっと差が大きそうな感じで、「身長半分じゃん」と野次が飛んでいた。それは言い過ぎです(笑)。超デコボココンビの誕生は、周囲をすっかり和ませていたぞ。あと、テラッチが少女のようにはしゃいでもいました。みんな、ミーハーなのね(笑)。

 

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 たしかに岩隈投手はすごいけど、ここに集まっている選手たちは、ボートレースのメジャーリーガーだ! みんな、もっと胸を張れ! なんて思ったりもしたのでした。僕もちょっとテンション上がっちゃったけど、それよりも1Rをモニターで見ていたら隣に鎌倉涼がやって来た時のほうがドキドキしたぞ(ドキドキの意味が違うか)。あと、白井英治に「黒須田さーん、この間はごめんね~」と声をかけられたときとか(チャレカ前にちょっとしたやり取りがあったのです)。艇界のメジャーリーガーたちよ、今日は激しいレースの連続で、岩隈投手を興奮させろ!

 

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 というわけで、チャレンジカップの準優デー&レディースチャレンジカップの勝負駆けデーにしては、和らいだ空気が漂っていた今朝のピット。もちろん選手たちはただ岩隈投手に興奮していたわけではなく、きっちりと自分の作業にも没頭していた。

 つい目を奪われたのは、やっぱり濱野谷憲吾。ピットの喧騒などどこ吹く風と、ペラ叩きを続けていた。地元グランプリの舞台に立つために、まずは今日の準優をクリアしなければならない。それはおそらく誰よりも本人が意識しているだろう。だから、ひたすらペラ室にこもる。周囲の状況など関係なく、己の世界に没入するのだ。

 

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 同じ意味で、石野貴之にもまた慄えた。顔つきが昨日までにも増して、険しく凛々しくなっているのだ。石野は野球経験者だから、岩隈投手の登場にもっと相好を崩していてもおかしくなかったが、華やかな空気からは距離を置いて、ただただ作業に精を出していた。賞金ランク19位。あと一歩というポジションである。準優をクリアすれば、視界が開ける。今日がある意味、勝負なのだ。そんな雰囲気を濃密に感じさせる石野は、あえて言うなら、今朝のオーラ節イチだった。

 

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 今垣光太郎の表情も、ちょっと険しさを増していたと思う。いったいどこまで賞金ランクの状況を把握しているのだろう。今垣は現在15位。かなり有力と言っていい。ほぼ当確という気もする。もちろん油断はできない立場ではあるが、19位以下の選手よりはまだ楽な立場でもある。しかし、今垣は間違いなく勝負に出るだろう。あの顔つきを見ていたら、そうとしか思えない。朝には柔らかな空気を醸し出していることも多い今垣が、すでに闘志を宿しているのだ。僕は思う。これこそが今垣光太郎の「平常心」だと。準優もきっと平常心で今垣らしいレースを見せてくれるだろう。

 

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 濱野谷、石野、今垣も含めて、準優組は大きな動きを見せていたわけではない。1R発売中に太田和美、井口佳典、田中信一郎、寺田祥、石渡鉄兵がピットにボートを上げてきていて、すでに始動しているのかとちょっと驚いたが、よく考えれば12R組である。つまりはスタート特訓を終えたというわけだ。今日は朝から気温が上がっている。気候を見ながらの調整、ということになるのだろう。

 

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 女子の勝負駆けについては、雰囲気や表情は昨日までとあまり変わらないようにも見えたが、平高奈菜だけがちょっと怖いくらいの雰囲気と見えた。1R3着後も、表情の鋭さは変わらず。すでにクイーンズクライマックス行きは当確だが、それがモチベーションを下げることはない。GⅡ優勝をひたすらに目指して、闘志あふれる走りを見せるだけだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)