BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット@グランプリ――まさに新たなるグランプリ!

 

 

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 平和島の帰宿バスは、10R後に第1便、11R後に第2便、12R後に第3便が出発する。

【問題】今日レースがなかったトライアル2nd組は、それぞれどの便で宿舎に帰ったでしょうか?

 終盤の時間帯にもペラ調整や試運転の水面にトライアル2nd組の姿はあり、6人ともがかなりビッシリと作業をしている様子はあった。しかし、今日はレースがないのだから、作業を早めに切り上げて宿舎へと戻る可能性もあるのではないか、と見ていた。帰るとするなら誰だろう……。

【正解】全員が第3便

 そうなのである。菊地孝平も太田和美も松井繁も山崎智也も白井英治も吉田拡郎も、最後の最後までピットに残ったのである。12R発売中にも、2nd組のスタート特訓が行なわれたという事情もある。ただし、全員がそれに参加したわけではなく、吉田拡郎はそれまで水面にいながら、スタート特訓が始まるのと同時にピットにボートを上げているし、白井英治はペラ叩きに集中していた。別にスタート特訓に参加するのが目的で、ピットに残っていたというわけでもないのである。

 

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 トライアルの時間帯が11Rと12Rということも関係しているだろうか。天候は日々違うとはいえ、今日と同じ天候の日があれば、同じ状況のなかで走るのだ。そのときの調整を探る目的もなかったとは言えないだろう。

 しかし、いずれにしても言えるのは、トライアル2nd組の6人は今日1日をまるまる調整に費やし、長い1日を過ごしたということだ。トライアル1st組のほうが有利だという、直前に何度も耳にした言説。それが本当に正しいのだろうかという疑念を、改めて抱いてしまう、2nd組の姿だった。

 

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 一方、1st組は早くも戦いが始まった! 記念すべき第1戦となる11Rは茅原悠紀が激勝! 第1回賞金王決定戦の、トライアル初戦の11R、まさに賞金王の歴史が始まった第1戦を勝ったのが、このレースで1号艇に入っていた今村豊。新たなる賞金王の第1戦に1号艇で出ていること自体が凄すぎるが、その両方を勝って歴史の第1歩を踏み出さんとしたミスターを撃破したのが、新時代ヒーローの茅原悠紀だったとは、そこに何らかの意味を見出したくなるというものだろう。ちなみに、第1回賞金王開催時、茅原はまだ生まれていない。

 

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 さらに、12Rを勝ったのは毒島誠だ。時代を背負っていくだろうと目されていた銀河系軍団が3人も出走していたこのレースで、コンマ01という超絶スタートを決めてまくり切った。さらに次の次代を担っていくであろう毒島が、豪快に勝利をもぎ取ったのだ。

 新生グランプリのトライアル初戦、その勝者がそろって新時代ヒーローだったというのは、やはり何かの暗示ではないのか。そんなふうに思えてならない、象徴的なトライアル初戦であった。茅原も毒島も、いい表情してたなあ。

 

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 もちろん、簡単に彼らの台頭を許す歴戦の強者たちではない。もっとも悔しそうな表情を見せていた石野貴之(世代的には茅原や毒島とほぼ同じだが)や、やはり納得のいかない表情を見せていた井口佳典、そしておどけて見せるいつものレース後ではあったが、悔しくないはずがない今村豊ら、この結果に燃えないはずがないだろう。

 

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 ただ一人、2nd進出がかなり苦しくなってしまった今垣光太郎は、やはり精気のない表情を見せていた。転覆し、レスキューで引き揚げてきた今垣と目が合ったとき、その瞳には「やってしまった……」と語る悔恨の印がたしかにあった。それでも、露骨に悔しさを見せはしないのが最近の今垣だが(枠番抽選で6号艇となったときにも、無表情を装っていた)、心に棲みついているのは落胆しかないはずだ。ほぼ望みがないなかで緑のカポックを着て参戦する1st第2戦。こんなときでも全力投球をするのが今垣光太郎、なんとか意地を見せつけてほしい。

 

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 さて、12R終了後には枠番抽選が行なわれている。たった2走しかないトライアル1st、まさに運命を左右する抽選である。今村さんは、席を探す毒島に「シモ(に行け)!」と威張ってみたり、2号艇を引いて「透けて見えてました」ととぼけたりと、いつものミスターモードであったが、ハッキリ言って、珍しくちょっと浮いてました。それくらい、会場のムードが粛々と、またヒリヒリとしていたのである。なぜかウキウキとガラポンに球を入れる選手代表の濱野谷憲吾の様子にも、ウケている選手はほぼ皆無(僕は大笑いしてしまいましたが……いや、憲吾の役目は本当はそれじゃないだろっ!と突っ込みを入れたくなりましたが)。もしかしたらこれまでのトライアル第2戦の抽選よりも重要かもしれないこの抽選会は、やはり新たなグランプリであるということを感じさせるものとなっていた。

 

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 で、1号艇を引いた毒島も別にガッツポーズなどするでもなく、最後の最後に抽選をして1号艇が残っていた田村隆信も特別はしゃいだりするでもなく、やっぱり今村さん以外は淡々としていたなあ。

 

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 ただ一人、6号艇を引いてしまった瓜生正義が、思い切り顔をしかめていたのは印象的だった。厳しい勝負駆けを強いられることになった瓜生だが、それを緑のカポックで迎えなければならないとは。最近の瓜生は、6号艇で動くことも多々。艇聖のなりふり構わぬ勝負駆けが見たい!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)