BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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TOPICS 初日

 

イン8勝&出力低減モーターに関する雑感

 

 初日の全12レースを終えて、イン選手が8勝。今朝の時点では「多くてもイン勝ちは半分、6勝程度かな」と予想していたので、名人戦の初日としてはちょっと意外な1日ではあった。最大の理由は、穏やかな枠なり(枠なりじゃなくてもインの起こしが120mとか)がソコソコ多かったせいだと思われる。逆に、関忠志&西田靖が動いた1Rや西島義則が動いた4Rではスリットからもつれにもつれてインが飛んでおり、やはり「前付け艇の有無」がレースの性質に大きな影響を与えたようだ。

 

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 それから、まだ出力低減モーターに慣れていないため、おっかなびっくりのスタートを切る選手も多かった。ほぼ無風に近い水面で、西田がコンマ46、日高逸子がコンマ40、西島がコンマ44etcetc……走り慣れたモーターなら、ここまで凹むことは考えにくい。8Rでも4、5コースの選手が2艇身近く凹んだことが引き金となって280倍の大穴になったし。インが飛んだ4レースのうち、3レースは恐ろしくバラバラなスタートだったとお伝えしておく。

 で、上記のファクターをまとめると、「もっと激しく動きたい外枠の選手が多々いたが、深くなりすぎたらスタート勘がまったく掴めない。だから今日のところは自重して、穏やかな枠なりが多かった」のではないだろうか。こうした微妙な要因が絡まって、イン8勝になった気がしてならない。あ、それにしても、12Rの今村豊46号機は異次元の強さだったなぁ。

 

 

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 で、問題は明日以降だな。もちろん、百戦錬磨のベテラン達は徐々にスタート勘を修正し、3日目あたりにはバチバチ決まるようになるだろう。だったらスリット横一線が増えて、さらにインが強くなる?? ノンノン、それは軽率な発想だな。スタート勘がわかってくれば、それだけ進入で激しく動く選手も増えてくるのですよ。勢い、スロー水域が深くなってダッシュからの一撃も決まりやすくなる。なんだか禅問答のようだが、今節はそんな選手心理をあれこれ考えつつ、できる限り正解=舟券的中に近づいていきたいと思っている。なんか、変な内容ですいません。

 

東都の春、爛漫。

 

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 で、スリットでの極端な凹凸を利して、アウト6コースから一気に突き抜けたのが熊谷直樹だ。実は熊さん自身も早いスタートを行ったわけではない。コンマ27。むしろ遅いくらいだな。ただ、4コースの富山弘幸がコンマ37、5コースの山崎義明がコンマ40とWでドカッてしまえば話は別。三度の飯より絞りまくりが好きな熊さんは、すぐに舳先を左に傾け、あっという間に2艇を叩き潰してしまった。が、その先はドン詰まり。スロー水域の3艇は熊さんより半艇身以上も早いスタートを切っており、到底まくりきれる隊形ではない。

 どうする、熊さん??

 

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 見ていたら、「うーーん、まくりたいけど、やーーめたっ」みたいな感じで差しハンドルに切り替えた。これがものの見事に決まって、280倍の大穴を演出したわけだ。決まり手は「抜き」だったけど、素晴らしいまくり差しだったなぁ。内が凹んでいたら、とにかく一瞬にして叩ききる。先のことは、叩いてから考える。そんな「見る前に飛んじゃえ!」的な熊さんの気質は私の大好物だ。そして、そういう気質だからこそ、思わぬところで何度も何度も大穴をぶち開けるのである。嗚呼、今日の私は『穴熊・極撰』通り6-4-全の4点だけを買って惜しくも撃沈……こっそりの634押さえはありませんでした。熊さん、せっかくの大穴を召し取れず、すいまっせん!!

 で、東京支部の熊さんときたら、今度は茂さんの出番だな。今日、ただひとりピンピン連勝を決めたのが長岡茂一だ。4Rは2コースからズッポリ差し抜け、10Rはイン戦でふたりのレーサーに差されたものの、2マークで大逆転の差しを決めてトータル20ptをもぎ取った。2・1号艇での連勝は月並みの部類ではあるが、最近の茂一は強い。あのSGをブッコ抜いた頃を彷彿させるレースっぷりが増え、勝率も徐々にアップしている。

 

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「もうモイチは終わったよ」

 なんてうそぶく東京の舟券オヤジもいるにはいるが、まずはこの名人戦で強いモイチを見せつけてもらいたい。あと4カ月ほどで大台に乗るモイチ。うん、男は50を過ぎてから、だな。

 それから、20号機をゲットした矢後剛は6号艇2着、5号艇3着という成績で難関を乗り切った。そうそう、20号機ってこんな感じなのだよ。派手に突き抜けるようなムードは見せないけれど、気づいてみたらしっかり着をまとめて予選トップクラスに食い込んでいる。あれよあれよと準優1着~優勝、みたいな感じ。つまり、本当の意味での「底力」があるのだ。で、選手の底力は言うまでもないところ。明日から好枠をゲットする中で、矢後20号機がどこまで予選順位をアップして行くか。静かに見守りたい。

 あとは、まだまだ本調子にはほど遠い西田靖に超抜の出足&必殺のSPB(スーパーピット離れ)がくれば……今節の東都四天王は暴走モードに突入するとお伝えしておく。

 

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 最後に、東都じゃないけど気になって仕方がない峻ちゃんは……やはり、パワー的にかなり厳しい状況だな。ターンマークごとにズルズル後退し、ゴールまでにかなり千切れてしまった。このままの足では、予選突破=準優進出戦のベスト24入りも苦しいだろう。一刻も早いパワーアップを、今はただ祈るしかない。(photos/シギー中尾、text/畠山)