BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――こんなこともあるさ

 

 

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 朝イチ、いや、昼イチか、整備室を覗いたら、選手の姿が予想外にたくさんあった。2日目の朝ってこうだったっけ。初日の1走(もしくは2走)を終えて、得た感触をもとに違和感を直していく。SGクラスは感じ取るスピードが、また決断が早いから、シリーズ序盤戦で整備室が賑わっていくのは、まあ、いつものことだ。

 問題は、そのなかに初日連勝発進の菊地孝平がいたことである。4コースまくりと2コース差しでピンピンだった昨日、しかし足色には不満が残ったのか。

 ふと整備室の近くに置かれていた菊地のボートを見ると、モーター本体は乗っかったままだった。ということは“下半身”が外されている? ギアケース調整かな。と思ったら、“下半身”がまるまるない。キャリーボディー交換だ。マフラーが収まっている、排気に関する部品である。なかなかエンジンが上向かない選手がよくやっている、という印象なのだが……。

 

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 よく見ると、キャリーボディーを扱っている選手が他にもいるぞ。今垣光太郎、篠崎元志など。今垣は作業を終えようとしていたところだったので、実際には本体をやったのかキャリボを換えたのかは確認できていない。篠崎はその後、キャリボを装着するところを目撃している。2日目朝に、にわかに起こったキャリボブーム。出力低減モーターということと何か関係あるのかしらん。

 なお、篠崎仁志のほうは、本体整備をしていた。あと、寺田祥が本体を外して整備室に持ち込むところも発見。深谷知博の姿もあったな。深谷は昨日後半に続いて、整備室で見かけたことになる。

 

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 さて、2Rのこと。湯川浩司が6号艇から前付けに出た。2号艇・原田幸哉は抵抗する素振りが見えず、湯川は2コースかと思われた。舳先をスタートラインに向けて、ずんずん前に進んでいく。150m見透し線を舳先が超えて、2コース確定……のはずのタイミングで、1号艇の日高逸子はまだ舳先を向けていないではないか!

 アリーナで見ていた選手たちがざわざわとし始める。これ、ヤバくないか……。次の瞬間、日高が舳先を向けた。湯川の内で! そのとき湯川は見透し線から1艇身ほどスリット側に入っていた。選手たちが「あっ」などと声をあげ、その場はややガヤガヤとし始めた。

 

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 これ、待機行動違反、ですよね。ルールによれば、見透し線に舳先が早く到達した者が内のコースを獲れることになっている。つまり、日高はインを主張するなら湯川より早く見透し線を通過しなければならなかったのだ。

「ちょっとちょっと、なんであそこで向けた?」「日高さん、どうしちゃったの?」などと賑わうアリーナ。そこで太田和美が、ひと声あげた。

「日高さん、アウト~~~」

 大晦日の某笑ってはいけないヤツみたいな言い方だったものだから、アリーナ爆笑! 時に微妙な判定というものもあるにはあるが、これはもう誰がどう見たって待機行動違反。一人テラッチだけが、そうでないことを祈っていたが、あまりにわかりやすい割り込みに、むしろ他の選手たちはウケていた(笑)。もう、日高さんったらぁ~、って感じか。

 

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 時間が経って、平石和男が「やっちゃいましたね」と微笑みながら慰めていたが、日高は「2コースに入ろうと思ったのに、なんか欲が出ちゃったのよね~」とガッカリ。ある程度の間隔があったから、イチかバチか入ってみたって感じなんでしょうか。あのグレートマザーでもこんな失敗をしてしまうことがある。勝負の魔というのは、どこにいるのかわからないものである。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)