三国のエンジンは、4月に下ろされた新型(出力低減)モーターだ。新型モーターの特徴といえば「上下の較差が激しく、特にワースト級は整備しても上昇しにくい」で、今節もワースト級の面々は苦戦を強いられるだろう。つまり、今日のガラポン抽選はV戦線の大きな鍵を握っているわけだな。
ってなわけで、非常に重要なモーター抽選会場にGO! いざ入ってみたらば、どの選手もたったひとつのエンジンだけを渇望していることがわかった。33号機。前々節でA2吉村誠が優出2着し、「このエンジンを引いた選手がオーシャンを獲りますよ」と言い切った。続く前節でもA2河合三弘が凄まじいパワーにモノを云わせて優出2着。勢いだけでいうなら、ブッチギリの節イチパワーと断言していいだろう。
とりわけ、この33号機を欲しがっていたのは大阪勢だったな。倉谷和信(前節から2シリーズ連続の参戦。そのメリットは計り知れないぞ!!)は「サン……サン」と呟きながらガラポンを回したし、松井繁に至っては「さんじゅーーーさん!」と叫びながらレバーを握り締めていた。こんな王者、珍しいというか、はじめて見たかも。だがしかし、思いは届かず撃沈。さらに田中信一郎、太田和美も祈るような視線で飛び出した玉を見つめていたが「33」ではなかった。残った選手たちの間に、緊張感が漂いはじめる。太田から5人、10人、20人……まだ出ない。
で、太田から26人目の石野貴之がガラポンの前に立った。すぐには回さない。回さないどころか、目をギュッと瞑って祈りはじめた。凄まじいオーラを感じさせる瞑想だ。5秒ほどたってから、おもむろに石野はカッと眼を見開き、ガラポンをガラッガラッと力強く回しはじめた。ここで、もう勝負は決していたのかも知れない。石野の気合に押し出されるように、「33」と刻まれた小玉がポトリと落ちた。
オーーーーーッッ!!!!
大阪勢を中心に、ほぼ全員の選手たちが歓声を挙げた。してやったりの石野はもちろん破顔一笑だ。逆に、その2人後に引いた山口剛は苦笑を浮かべつつ「一気に緊張感がのうなったわぁ」と寂しそうに呟いた。それくらい「33」の独断場だった今日の抽選会、気合で引き込んだ石野の活躍に期待するとしよう。(photos/シギー中尾、text/畠山)
三国の特注モーター
★★★33号機(45%、ここ2節怪物級)…石野貴之
★★56号機(42%、3優出2Vの実績)…菊地孝平
★★69号機(43%、断トツ1分46秒2!)…山口達也
★14号機(51%、唯一50%超のエース)…倉谷和信
★59号機(49%、前々回の節イチ機)…新田雄史
★40号機(39%、全部強いバランス型)…篠崎元志
★28号機(42%、前節倉谷が仕上げきる)…須藤博倫
☆☆30号機(30%、数字以上の大穴パワー)…今村 豊