BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

三国オーシャンTOPICS

 

明と暗 その①

 

 長田頼宗VS石野貴之。

 昨日も書いたが、11Rの直接対決を「今シリーズの節イチ決定戦」と勝手に銘打って楽しみにしていた。両者ともに万全のコンディションで臨んで欲しかったのだが……6Rの長田頼宗がまさかまさかの転覆失格。イン戦で太田和美の見えない所からの強ツケマイを浴び、焦りが生じたのだろう。しかも、追い上げが利くパワーだから、力任せに攻めたくもなる。離れた5番手からぐんぐん追い上げて3着争いに持ち込んだ最終ターンマーク、頼宗の全速マイは大きくバランスを逸して180度反転した。投げ出された本人も痛かったろうし、減点5も痛いし、24号機も痛手を受けたかも知れない。11Rで人機ともにどれだけ本来の力を発揮できるか。私はちょっと暗い気分で反転したボートを見つめていた。

 で、その11R、なんとなんと長田はピストンを2個とも交換してきた。やはり、只ならぬ影響があったに違いない。

 ダ、ダメなのか、頼宗!!??

 

 

 

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 今節、頼宗(前検SS指名)のアタマ舟券を買い続けると決めている私にとっても一大事なのである。が、展示時計は長田・石野ともに6秒75。数字的には、まずは一安心だ(山口達也が6秒73!!)。そして、実戦足もかなりのものだった。スリットでわずかに覗いたインの池田浩二を、簡単にジカまくりしてしまった。ツケマイではなく、ハコまくり。池田=ワースト級という要素を含めても、恐ろしいほど余裕のある足色だったな。

 よっしゃ、1着確定!!

 

 

 

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 と思った瞬間だった。内水域に、忽然と緑のカポックが現れた。舳先はやや頼宗が出ているが、ほぼ同体と見ていい。期せずして、おあつらえ向きの「節イチ決定戦」がはじまった。2-6一本書きの私は内心で頼宗の先着を願っていたのだが………………

 

な、な、なんじゃ、あのエゲツない伸びはぁぁぁぁぁぁぁ!!!!????

 

 あっという間の出来事だった。比喩ではなく「あっ!」と叫んでいる間に、石野の舳先だけが1艇身ほども突出していた。1回コールドゲーム0-9みたいな惨敗だった。そりゃ転覆やピストン交換の影響があったかも知れないが、あれはもう巻き返しの利かない大差である。2マークでのターン回り対決さえさせずに、石野だけがブインと回って去って行った。節イチ、決定。

 

 

 

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あ、それにしても、気になって仕方ないのが山口達也だな。石野よりも速い展示タイムを出しながら、F2持ちでコンマ03って……普通、伸び~るエンジンはS勘が掴みにくいからビビッて遅れることが多いのに……なんか、もう、本当に「イッちゃってる」(by開会式)んじゃないでしょうね、達也クン????

 

明と暗 その②

 

 

 

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 まずは、暗から。地元ツートップのひとり中島孝平が2日目にして瀕死の状況に陥ってしまった。昨日の5着に続いて、今日も5・6着……前検からかなりヤバそうな気配ではあったが、伸びない行かない回れない。道中3、4番手あたりにいながらズルズルズルズル失速し、地元の水面を這い続けている。しぶとい小回りで着を上げて行くのが中島なのに……こんなりずり下がる中島を見るのは初めてかも?? とにもかくにも3戦5ポイント、残り3連勝でも5・87という絶望的な状況になってしまった。しかも、あの足で3連勝は好枠&中島のテクを持ってしても至難の業だろう。もちろん、宮島グラチャンの市川哲也のように、最終日まで必死に走り続けるのは間違いないのだが。

 

 

 

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 一方の明、明と言うより光と呼ぶべきか。地元のエース今垣光太郎が着実にポイントを加算している。昨日のドリーム6号艇3着に続き、今日は5号艇3着&3号艇1着!! 後半の話からすると、森高一真を入れての4カド一撃まくり。内3艇がドカッたせいもあって、昔の一般戦1Rくらいの豪快なまくりに見えたな。3カドまくりも見たかったけど、こういう打ち上げ花火もいいもんだ。

 

 で、ちょっとした“異変”を感じたのが前半3Rの道中である。杉山正樹と平山智加がFに散ったこのレース、光ちゃんはコンマ02で残していた。不幸中の幸いというか、これは本当に良かった。金メット茅原悠紀がコンマ01で残したのも救われた。で、この2艇は激しい2着争いを繰り広げたのだが、常に優位な立場だった光ちゃんが3周1マークで茅原の強烈な切り返しを喰らった。鮮やかな奇襲だったが、見ようによっては喧嘩を売るような切り返しでもあった。

 こ、これは最終ターンマーク、事件が起こる!!??

 だって、やられたのは今垣光太郎なのである。別に売られた喧嘩を買うタイプじゃないが、「抜かれたら平常心で抜き返しに行くタイプ」なのである。少なくとも切り返しのお返しくらいはやるだろうな。と見ていたのだが……光ちゃんはジッと黙って外に開き、オーソドックスな差しを選択した。もちろん、茅原には届かないターンだった。

 

 

 

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 どうした、光ちゃん、ここは三国だぞ、17年ぶりのSGだぞ、熱でもあるのか??

 と心の中で叫んでしまったぞ。これじゃあ、正しい意味での「平常心」じゃないっすか。と、ここまで書いて思い出したのだが、今日の『スポーツ報知』の光ちゃん手記にこんなようなことが書いてあったはずだ。

――昨日のドリーム戦は、無事故完走、無事故完走、それだけを心の中で唱えながら走り続けました。

 この一文を見て「ぷぷ、またまたまたぁ」なんて吹き出したものだが、今日も無事故完走を優先したのか、光ちゃん!!??

 

追記/昨日と同じ強い追い風だったのに、なぜ今日はまくり水面だったのか……私の推測では、昨日ズブズブの差されたのを見た今日のイン選手が、それを恐れてかなり落として回ったのでは?? 少なくとも、6R長田のターンはかなり落として見えたなあ(涙)

(photos/シギー中尾、text/畠山)