BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――石野が凛々しすぎる!

 

 

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 今日の前半戦、原田幸哉が銀色のキラキラしたボールを持っているのを見かけた。原田は耳にヘッドホンを当てて水面を凝視し、左手でそのボールを弄ぶように握っていたのだ。それが2R発売中のことで、5R出走に向けて精神統一をはかっているのは明らかだったが、手にしているボールが気になった。

 というわけで、12Rが終わったあとに原田に訊ねてみると、たまたま隣にいた中田竜太も「あ、僕も気になってたんです!」と目をキラキラさせた。

 原田曰く、「最近宣伝しまくってますよ。サッカー選手が出てるヤツ。リラックス効果があって、集中力が高まるらしんですよね」とのこと。最後までそのサッカー選手が思い出せず、その商品名などはわからないが、ようするにレースに集中して臨むべく、導入したようなのだ。なるほどな~。中田も興味深そうにうなずいていた。

 ただ、話しかけたタイミングは良くなかったかな~。11Rで原田は5着大敗。というわけで、

「まあ、集中しても勝てないんですけどねっ!」

 と自虐をかまして笑っていた。そんなこと言わしちゃってすいませーん! 準優もそれでばっちりリラックスして、今度は勝利を!

 

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 その中田竜太は見事に予選突破。原田と同じ11Rに登場し、山田康二と激しい2番手争いを演じている。3周目ホームでは艇を合わせながら競り合い、一歩も引く様子はなかった。ベビーフェイスだが、気は強いのだ。ただ、それが仇となって、4着にまで後退。レース後は悔しそうに師匠の須藤博倫に話しかけていた。レース展開を説明する中田に、アドバイスをするように言葉を返していく須藤。頼れる人がそばにいるのは、心強いものだ。中田は着替えを済ませたあとも、また須藤に同じように話しかけており、すぐにレスポンスを返してくれる師匠との参戦は経験値を大きく引き上げたものになったはずだ。

 

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 その師匠・須藤も予選突破! 師弟で準優進出だ。その点に関してはクールにふるまっていた須藤だが、内心はもちろん嬉しいに決まってる。当然、師弟優出だって頭をよぎってもいるだろう。JLCの展望インタビューを中田が受けているときには、すぐそばでそれを見守ってもいた。中田としては師匠が横にいたら話しにくいんじゃないかな~、とも思ったが、師匠が喜んでいることを彼も実感はできたはずだ。なんとも微笑ましいシーンになったのである(「サキヨミ」をご覧になる方は、中田のインタビューに注目! フレーム外に須藤がいるのです)。

 

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 前半2号艇1着で、後半に望みをつないだ前田将太は8Rを見事逃げ切り! 連勝で勝負駆けをクリアした。10R発売中に顔を合わせたので、拍手を送ると、「ほんとよかったぁ~」と頬を緩めた。そして「たくさん写真撮ってくれました?」とニッコリ。えーと、中尾と池上はちゃんと撮ってるのかな……と考える間もなく、「もちろん!」と即答。ウソついてたらどうしよう。これを読んだ中尾と池上は、明日は前田をたくさん撮るように(←業務連絡)。

 これには伏線があって、6月の若松周年初日に前田とトークショーで競演させてもらった。その際、話の流れは忘れたが、前田が「僕はBOATBoyにはあまり取り上げてもらってませんからね。篠崎兄弟はしょっちゅう載ってるけど」と冗談っぽく言ったのである。もちろん僕は大慌て。そういやたしかに……と冷や汗をかくハメになったのであった。それがあっての「写真たくさん?」なのだ。

 で、その話は「だったら、オーシャンカップで結果残しましょう! そうしたらめっちゃ取り上げますよ!」と膨らみ、前田は「わかりました。結果残します!」。トークショーは前田の力強い宣言で締められたのである。

 今日のピンピンでの予選突破はひとつの重要な結果だ。ただ、本物の結果はまだ先にある。まずは、SG初優出を! そうなれば、確実にデカく載せるぞ。

 

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 さてさて、石野貴之は強すぎますなあ。あの茅原悠紀のイン戦を軽々まくり差しで超えていったように見えたのだから、もはやバケモノ級のパワーである。

 これで予選トップを決めた石野には当然、報道陣が集中する。記者さんたちに囲まれてもいたし、JLCのインタビューもあるし、主役とはそういうものである。ただ、石野からは上気するようなものが何も伝わってはこなかった。笑顔も見えたは見えたが、満面の笑みというわけではないように思えた。プレッシャー? 違うと思う。石野は己の世界をきっちり作り上げて、それを決して崩そうとしないのだ。

 これは石野の勝負どころの雰囲気である。思い出すのは昨年のチャレンジカップ。特別選抜A戦は1号艇・石野、2号艇・田中信一郎で勝ったほうがベスト18、という状況だった。バックは併走で、内に田中、外に石野。石野には不利な態勢だったが、2マーク渾身のツケマイで先頭に立って、グランプリ行きを決めた。「あれしかないと思ったから、転覆覚悟で思い切り行きました」とレース後に石野は、とびきり雄々しい表情でそう語ってくれた。あの日、あるいはあの一節、石野はグランプリ出場を決めるべく、凛々しい雰囲気をずっと保っていた。今日の(あるいは今節の)石野には、同じものを感じるのである。

 こうなるとめちゃくちゃ勝負強いのが石野貴之。だから、重圧うんぬんはもう関係ないと思う。明日もさらに雄々しくなるだろうし、明後日はもっと凛々しくなるだろう。そんな石野を見るのが楽しみで仕方ない。

 

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 あと、今垣光太郎も実に鋭い雰囲気になっているぞ。12R逃げ切り1着で準優1号艇を手にしたが、表情はまったく緩むことがなかった。地元SG、本当の勝負どころはここから。僕は光ちゃんの平常心とは、気合満点で激しい勝負を見せる、だと思っている。いよいよ、その真・平常心ゾーンに突入しているぞ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)