BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――猛暑のなかで

 

 

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 猛暑の中、選手たちは駆けまわっている!

 初日の前半というのは、とにかく慌ただしい。これはSGでも女子戦でも変わらぬ光景だ。開会式が終わったあとのピットでは、魚谷香織が猛ダッシュ! 係留所にあった自艇に素早く乗り込んで、猛然と試運転だ。そう、魚谷は1R出走。開会式後に調整できる時間はほんのわずかだ。だから、少しでも時間を有効に使うべく、汗をかきかき、走る! 1R出走組はおおむね忙しく動いていたが、もちろん他のレース出走選手たちだって、イベントが終わればテキパキと行動開始だ。

 

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 ドリーム戦インタビュー後には、山川美由紀が速攻でプロペラ室に入った。そのインタビューで、山川はヒビの入ったプロペラをあきらめ、新プロペラに交換したことを明かしている。つまり、一からプロペラを叩かなければならない。12R1回乗りとはいえ、納得いく仕上がりにするには時間が必要だ。山川も1分1秒でも時間はほしいわけである。

 

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 一方、やはりプロペラにヒビが入っていたらしい寺田千恵は、まずは整備室に入った。外回りの整備だろうか……と思いきや、2R発売中には本体を外している。おっと、いきなり大きな整備に取りかかろうというのか。山川とは違って、まずはプロペラ以外の部分に手をつけようという寺田。これはこれで、12R1回乗りという環境を活かしたものとも言えるだろう。ドリーム組も、時間があるとはいってもゆったりとしてなどいない。懸命に動く、初日の前半なのである。

 

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 ふと装着場に目を移すと、自艇上に滝川真由子の姿があった。滝川はたしか装着作業を入念に行なっていて、その後、操縦席に乗っかった、ということか。ただしジッとして動かないので、不思議な雰囲気を醸している。よく見ると、滝川は出走表を見つめて、深く深く考え込んでいる様子であった。

 今日のピットでもっとも暑いのはもちろん太陽が降り注いでいる場所だが、それ以外では間違いなく装着場がもっとも暑い。というか、ムシムシしている。装着場は風の通りが悪いのでそうなるのだ。つまり、考え込むには決して適した場所ではない。控室に行ってエアコンの下で考え込んだっていいのである。ただ、そこは間違いなく一人きりになれる場所でもある。滝川は蒸し暑い空気など意に介さず、そこで自分の時間を作った。もし9Rで見事に先頭に立ったら、脳内レースを目一杯走らせた成果であろう。

 

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 さてさて1Rは魚谷香織が快勝。6号艇だった樋口由加里は結果を残せなかった。エンジン吊りが終われば、出ました、岡山ミーティング。常に大挙してレディース戦に乗り込んでくる岡山支部勢は、しばしば何人かが集まって、話し込んでいる。中心にいるのは福島陽子か寺田千恵。この二人の精神的支柱のもとに若き後輩が集い、頼れる先輩の言葉に聞き入るのだ。

 

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 福島の言葉はもちろん、レースを終えた樋口に向けられていた。樋口は福島を見上げながら、真摯な目でうなずき返す。そしてそれを、やはりうなずきながら聞き入っている喜井つかさ。金田幸子も真剣に耳を傾けていた。

 岡山支部、そりゃ強いよな~。改めて思わされるシーンなのであった。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)