BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――晩夏のメモリアル!

 

 

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 ピットの寒暖計は28℃を指していたので、猛暑はすっかり去ったと言っていい。ピットに時折吹き込む風は爽快で、秋の気配を感じないでもない。丸亀で味わった暑さを思えば、今日の蒲郡ピットは快適だ。やはり夏の終わりだな、と思う。

 しかし、選手たちは汗だく! 蒲郡の夜のピットはたしかに蒸し暑いという記憶しかない。そして今日も、ムシムシした雰囲気はある。そんななかで選手たちは走り回るのだから、そりゃあ汗だくにもなる! 特に汗ぐっしょりとなっていたのは中野次郎で、髪の毛はシャワー後みたいに濡れていたし、上衣は7割くらいが汗でシミになっていた。たしかに、次郎はかなり走り回ってたなあ。整備室やペラ室と水面をもっとも往復していた一人が次郎だと思う。サウナに入ってたみたいな汗まみれになっても当然である。

 

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 ドリーム会見にあらわれた池田浩二も、タオルで汗を拭き拭き、であった。会見に来た6人のなかでは、もっとも汗が光っていたのが池田だった。

 池田のモーターは数字こそあるが、前節で転覆しているのが気になるところ。というわけで、モーターをバラしてみるそうで、明日はその作業に追われることになりそうだ。今日もできることはやり尽くしているという様子で、とにかく忙しそうだった。「今日はよくわからないですね」「普通くらいですね」というコメントは、“泣きの池田”なので気にしなくていいと思うが、まずは明日の整備には注目してみたいところである。

 

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 一方で、太田和美は余裕の表情に見えた。もちろん試運転後やタイム測定後などは汗だくでピットに戻ってきているが、その後は特別大きな動きをすることもなく、報道陣の取材をリラックスして受けている様子が見られた。太田の余裕モード……これは前検で手応えを感じたサイン。普段から、まずは1走してみてもろもろ判断するところが多いようだが、前検で好感触ならノーハンマーで通すことも多い太田だから、この雰囲気は間違いなく、悪くない前検、だったのだ。

 

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 丸岡正典も同様に、余裕の表情だった。師弟そろって、今日は穏やかである。

「足、いいみたいですね」

「悪くないっすね~」

 そう言って丸ちゃんはニャハハと笑う。表情だけでなく、言葉や話した雰囲気も余裕というか丸ちゃんらしい穏やかさなのである。

 この蒸し暑さのなかで、涼しい表情をしている古都師弟コンビ。この二人が台風の目だと見たが、どうだろう。

 

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 それにしても、その二人も参加する遠藤エミのエンジン吊りは強烈です。そう、近畿勢が勢揃いしていたのだ。遠藤は登番がもっとも若く、スタート練習は9班5号艇。登番の若いほうから5人までにはほかに近畿勢がいないので、近畿の超豪華な先輩たちが分散することなく、遠藤のエンジン吊りに集結したわけである。

 ほんの2週間ほど前に丸亀で見た遠藤の周囲の光景とは、あまりに違いすぎる! とてつもないスーパースターたちに囲まれる遠藤エミ、という場面がやけに感慨深く見えたわけである。この経験、デカいよなあ。明日からも、同じようなシーンは随所にあらわれるだろう。いよいよSGでの勝負が始まり、今まで味わったことのない緊張感のなかで、遠藤は雲の上の人たちに囲まれるのである。遠藤エミのスーパーヒロインロードのスタート地点はまさしく今日! そんなふうに思えてならなかったのである。

 

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 で、そんな遠藤がえらく恐縮していたのは、石渡鉄兵に対してだった。遠藤は新兵だから、当然、もろもろの雑用をこなさなくてはならない。モーター架台をボートリフト周辺に準備するのも遠藤の仕事だ。遠藤以外の若手も加わって、その作業は行なわれていたのだが、そこに石渡がしれっと参加していたのである。

 石渡はすでに通勤服に着替えていて、作業はすべて終わらせていた様子。それだけ感触が良かったのか、それとも明日から本格的に調整を始めるのか……前者の可能性が高いかなと思ったりもするわけだが、それはともかく、鉄兵といえば穏やかで優しくて人柄は最高! 手が空いてたりすれば、こうして若手を手伝うのはごく普通のことなのだろう。

 でも、SG初めてのエミにとっては、大先輩が新兵仕事をしていたら慌てますわな。そんなわけで、遠藤はさらに積極的に新兵仕事をこなすのでありました。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)