BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――若者たちの前検

 

 

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 SGでは田中信一郎、西島義則、鎌田義、川﨑智幸といったあたりが常連。「水面にいちばん最初に出てくる選手」だ(マスターズでは加藤峻二さんが常連だった)。モーターを受け取り、手早く点検などを済ませて装着し、真っ先に水面に飛び出して、まだ誰も走っていないきれいな水面を駆け巡る。それがルーティンであるかのように、名前をあげた選手たちは素早い動きを見せている。

 じゃあ、今節は誰だ、一番乗りは!? というわけで、早々にピットに入って待ち構えていると、整備室から真っ先にモーターを運び出したのは、宮地元輝! そうですか、あなたですか。ちょっとノーマークでした。宮地はモーターを装着すると、すぐに水面へ! まずは係留所に入って調整や確認をするかと思いきや、そのまま一気に試運転に行った。まさに速攻劇だ。その頃にはまだ2番手があらわれていなかったのだから、宮地はぶっちぎりの一番乗り。レースでもそうなるといいっすね。注目してみよう。

 

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 その次に登場したのが、なんと最年少の島村隆幸。おぉ、島村も作業が手早いタイプなのか。初対面なので、動きのパターンはまったくわからないわけだが、ひとつのパターンはわかった。

 ただ、尼崎は係留所の数が多くないので、スタート練習の後半組(6班以降。登番でいうと4497桑原悠より若い選手)は前半組のスタート練習が終わるまで着水はできない。試運転は5班のスタート練習&タイム測定終了後に時間が設けられており、それまでは陸での作業しかできないのだ。

 というわけで、島村はすぐにペラ室に向かった。乗る前に自分の形に叩き変えようということだろう。これが島村のルーティンかどうかはちょっとわからない。装着した順に全艇が着水可能な場もあるからだ。

 

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 その後は続々と点検等を終えた選手たちが、装着作業を始めている。上野真之介は、自分のボートがどこにあるのかわからなくなって、モーターを乗せた架台を転がしながら、しばし右往左往していたりして。松田祐季はいちばん隅にあった自分のボートに一直線。松田のネームプレートは整備室前のラックに刺さったままであり、つまりボートに「松田祐」と書かれたものは何もついていなかった。なのにまっすぐ向かえたということは、しっかりと確認済みだったのだろう。まあ、いちばん隅だから、かえってわかりやすかったか。

 

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 そんな様子を青山登さんと眺めていたのだが、青山さんは時折、すれ違う選手に「いいモーター引いたか?」と問いかけていた。西川昌希はいかつい二人が並んでいるのがおもろかったのか、ニヤニヤしながら我々の前を通過し、そこで青山さんに声をかけられると「30%くらいっす。身分相応な感じっす」と言って、さらにニヤニヤ笑っていた。えっと、実際は35%のモーターです。そして身分相応ってことはないっしょ。今節もあなたには台風の目になってもらわなければ困る。おおいにかき回すためにも、きっちり仕上げてほしいぞ。

 

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 そうこうしているうちに、整備室内に選手の姿がほとんどなくなった。最後に残ったのは、青木玄太だ。新鋭王座で初めて見たときには女の子かと思うほど童顔でかわいらしい顔つきだったが、大人っぽくなったな~。童顔であるのは変わらなくとも、年々、凛々しさが増しているような気がする。そんな青木は、今垣光太郎タイプの、前検での点検とことんタイプか。青木は4班なので、前半組である。というわけで、モーターを装着すると速攻で着水。すぐに4班の係留所にボートをつけている。あ、隣が宮地だ。一番乗りもシンガリも100期勢だったわけだ。初代ヤングダービー覇者も100期生。タレント豊富な期ですな。

 

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 5班のスタート練習&タイム測定が終わって、いよいよ後半組の試運転。やがて「6班スタート練習5分前」というアナウンスが流れた。そのとき、ボートがまだ装着場に2艇あった。ひとつは岡村慶太。8班だからまだのんびりしていていいわけではなく、6班のスタート練習が始まる前には着水しなければならない。というわけで、岡村、ペラ室から猛ダッシュ! 急いでペラをつけて水面に向かっている。

 

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 さらに遅れて、渡邊和将。渡邊は、記憶が確かなら、わりと早めにモーター装着は終えていたはずだが、その後にとことんペラ調整をしていたというわけだ。渡邊もダッシュでペラをつけて、大急ぎでカポックを着て、オレンジベストも着て……って、慌ててるからなのか、なかなか腕が袖に通りません(笑)。それくらい、ギリギリまでペラを叩いていたわけである。

 そんな具合に若者たちの前検は進んでいきました。締めは、ドリーム共同会見、西山貴浩オンステージで。

 

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「(現われるなり)しゃべりますよ~。何をしゃべればいいですか? あ、マイクはいらないです~。

(モーター抽選は)14、14と祈りながら引きましたけど、やっぱ篠崎元志が引きますね~、あのヤロウ。でも、僕も悪くないですよ。ピストン2個交換してましたけど、悪くない。(スタート練習は)岡崎さんも(水面に)下ろしたてで悪くなかったけど、それについていく気配はありましたね。ただ、乗りづらかったですね。乗りやすさがないと、怖がりなのでダメですね~。明日は時間があるので、本体もひととおりやります。だから明日はあまりしゃべらないように、仕事に集中したいです。

(尼崎は久しぶり)来方がわからんで、岡崎先輩にひっついてきましたよ~。思わず阪神の応援に行くところでしたよ(今日は甲子園で阪神vsヤクルト戦)。途中阪神ファンに囲まれて、怖いので慌てて阪神グッズ買いました。650円のメガホン買いましたよ。僕はホークスファンなんで、このメガホンを使うことはないから、明日のドリーム戦で着を拾って650円取り戻したいですね。

 今節は嫁さんに稼いで来いと言われているので頑張りたい。というか、今節は意外と集中しているんですよ、こう見えて。

(同期の池永太が三国周年優勝)朝から緊張してましたよ、僕が。あまりに緊張するので原田富士男さんに電話したら、富士男さんも緊張してました。優勝したのは嬉しかったですね。バタバタと夜に同期を集めて呑みに行きました。みんなが花を持っていくだろうから、僕は植木鉢を持って行きましたよ。邪魔になるだろうと思って。そしたら、植木鉢抱きしめて泣いてました。次は僕が祝ってもらいたいので、頑張ります。

 えっ、もう終わりですか? 一曲歌いましょうか? 美空ひばりとか好きですよ~」

 文字に起こすと伝わりにくいな(笑)。それはそれは爆笑会見だったわけだが、この言葉の中に、西山のちょっとした気合がうかがえるものがあるとは思われませんか? 会見後に西山はペラ室に直行。真剣な表情で作業をしている。今節は期するものがあると見たが、どうだろう。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)