BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

尼崎ヤンダビTOPICS 2日目

 

集団F……

 

 

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 新鋭王座の時代から若人の勇み足は付き物だが、今日の7Rでも3人のレーサーが超えてはならない一線を踏み超えた。選手班長の小坂尚哉、女子賞金王へ正念場に近づいている鎌倉涼、私が節イチ候補に挙げていた河合佑樹……最大の要因は、スタート展示(向かい風)と本番(やや追い風)とで風が変わったためか。さらに、河合に至ってはエンジンが噴きすぎたのかもしれない。コンマ06までハミ出して、即日帰郷の憂き目を喰ってしまった。F2の重荷を背負って。パワー的にはV争いに食い込める仕上がりだっただけに残念無念だが、そんなパワーだからこそ攻めたくなるんだよなぁ。

 

 

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 非常識なFではなかったものの、鎌倉涼もまたF2の身の上となった。これも痛い。ある意味、河合より激痛かもしれない。11月末のレディースチャレカの参戦権をフイにしてしまったのだ。現在、鎌倉の女子ランクは8位。まだ12位の滝川真由子を200万円ほど上回ってはいるが、チャレカで加算できないハンデも小さくないな。となれば、賞金の高いこのヤンダビでどれだけ上積みできるか、ということにもなってくる。明日以降も、おそらく鎌倉は降りないだろう。足は上位級だけに、舟券的に狙って面白いかも??

 小坂尚哉は今期1本目のFだが、明日からスタートがかなり慎重になる可能性がある。性格云々ではなく、選手班長という重責があるから。班長が2本目を切るわけにはいけないでしょ。スタート勝負は避けて、道中での捌きで上位着を狙うと思うのだがどうか。

 昨日も書いたが、F2持ちの5選手(鎌倉が増えた)がどんなモチベーションを持ってどんなレースをするか。それをキッチリ見極めることがが、高配当をゲットする近道だと私は思う。

 

SGトリオの2日間

 

 今日は銘柄級について触れておこう。まずは茅原。やはり強い。昨日のドリーム戦の勝ち時計は1分47秒6。ただひとり47秒台を弾き出したが、今日の5Rでその記録をコンマ1秒更新した。2着の宮地元輝が2秒3遅れだから、ざっと15艇身差くらいだろうか。自慢の新車(ランボルギーニ)に乗ってる気分でぶっ飛ばしてるのかもしれないし、不測の事態に備えてタイムアタックをしているのかもしれない。どっちにしても、異次元の速さだ。

 

 

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が、今節の3戦で「茅原のターン、凄え!」といちばん強く感じたのは、3着に敗れた11Rだった。このレース、2コースの茅原はコンマ36のドカ遅れ。すかさず1艇身以上覗いた4カドの岩瀬が締めはじめ、カド受けの秦英悟がそれに抵抗しつつ茅原の頭を叩こうとした。2コースが凹んだときによくあるパターンで、こうなると2コースは完全に死に体と化す。今日の茅原も、惨敗間違いなしの態勢に見えた。だがしかし、そこからの光景が違う。秦に一気に締め込まれた茅原は、抵抗する代わりにハンドルを切って艇を合わせた。普通、マイシロはないわターン角度も違うわで合わないはずなのだが、ぴったり合っていた。そして、ほぼ同時に茅原は握っていた、と思う。茅原の舳先だけが、ヒュンッと飛び出した。それはSF映画でよくある、大爆発の1秒前に要塞の出口から颯爽と脱出するような光景に見えた。いやいや、普通はドカーンでしょ、あの隊形は。で、それだけ茅原の回り足も強いのかと言われると、私は答えることができない。レース時計にしろ、この脱出劇にしろ、どこまでかパワーでどこまでがテクなのか、まったく判別できないのである。私の勝手な見立てとしては、「中堅上位くらいかなぁ」と思っているのだが……。

 

 

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 続いて、岡崎恭裕。これまた元気だ。2日目を終えて暫定トップ。枠番通りの着順ではあるのだが、今節の岡崎には並々ならぬ気迫みたいなものが感じられる。つい先月、目の前で同県の後輩に2個目のSGをブッコ抜かれたのだ(しかも金メダル付きだしw)。あれを見て発奮しない岡崎ではない、と私は確信している。とりあえず、ブイブイ云わせてる後輩に一矢報いるには、このヤングダービーは絶好の舞台だろう。まあ、最近の水面での岡崎はいつでもやんちゃで、私はひそかに「水上のあばれる君」と呼んでいるのだが、今節も大いに暴れて予選トップの座を最後まで守り抜いてもらいたい。

 

 

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 そしてそして、その後輩の篠崎元志なのだが……うーーーん、4・4・3着とやや遅れをとってしまった。前検の気配は行き足を中心に上々に見えたのだが、どこかがしっくりきていないのか。それとも気持ちの問題なのか。昨日も今日も、道中で無理っぽいツケマイを打って大外にぶん流れるシーンもあったし。どうにもリズムが上がりきらない印象だな。

 ただ、こんな中間着でも高く評価したしたい部分もある。初戦も2戦目も、道中でかなり千切れた6番手、つまりシンガリを走っていた。そこから目の覚めるように追い上げで、ともに4着まで巻き返したのだ。あの追い上げこそが、最近の元志の真骨頂。前に書いたように、王者・松井繁の後継者に足る気迫&資質をこういうところに感じるんだよなぁ。6・6・3着のはずが4・4・3着で暫定19位。2日後には、おそらくベスト10に名を連ねていることだろう。(photos/シギー中尾、text/畠山)