BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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浜名湖ダービーTOPICS 2日目

サバイバル・ダービー

 

 

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 ドリーム組はじめ有力なV候補たちが、わずか2日目にして続々と窮地に立たされている。ドリーム1号艇の白井英治は昨日も書いたように、ありえないような不運(追突した舳先がオイルチューブを捻じ曲げるなんて……針の穴を通すような確率だろう)で賞典除外に。賞金ランク47位の白井は来月のチャレカもF休みで出場できないため、賞金王戦線からもほぼ完全に見離された。うーん、残念。

 で、白井の舳先を喰らった茅原悠紀もL0(責任外出遅れ=ゼロ点)からの出発となった。今日はなんとか2・3着で準優への望みをつないだが、せっかくの点増しドリームでのゼロ点はやはり激痛ではある。

 

 

 

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 ドリーム組の災難は続く。今日の3R、5コースの毒島誠が凄まじい全速のまくり差しを決めたか!?と思った瞬間に、転覆した平本真之の艇に乗り上げて玉突きの転覆となった。この事故で捻挫をした毒島は無念の帰郷(私が前検横綱に推した平本も手の骨折で帰郷)。

 で、山崎智也は444着とらしくない成績で予選26位に甘んじているし、峰竜太もまさかの536着で31位……唯一ボーダー圏内に踏みとどまっているのが17位・篠崎元志なのだが、パワー的にはお世辞にもV候補とは呼べない状態だ。

 

 

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 ドリーム組以外でも、池田浩二が昨日の集団フライングで賞典除外。シビアな賞金王の勝負駆けが続く瓜生正義も365着で完全に出遅れた。毎年「戦国ダービー」だの「下克上ダービー」だのと煽っている気もするのだが(苦笑)、今年のダービーはマジで大乱戦の戦乱時代だとお伝えしておこう。

 

 

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 ではでは、いったいこの大波乱の流れは、誰を優勝に導こうとしているのか。真っ先に思い浮かぶのは、王者・松井繁だ。実は昨日、松井が2連勝した時点でTOPICSの記事を書きはじめていた。「伝家の宝刀・2コース差しが復活」だの「怒涛の4カドまくり」だのと絶賛し、「賞金ランク15位という窮地からこのダービーで……」みたいな、誰もが思うであろう月並みな記事を書いていた。そこに12Rドリーム戦の大波乱が起こって、ペンディングにしたのだ。

 明日、イン逃げで3連勝してからでいっか。

 とタカを括ってもいたのだが、いざフタを開けてみたらば伏兵・山田雄太のまくり差しを食って2着に。いや、もちろん、それでも112着なのだから立派な優勝候補ではある。そうではあるのだが、この5艇立てのイン戦での取りこぼしは流れ的にもパワー的にも、ちょっと嫌なものを感じさせた。「王者のためのダービー」と書くべき指を鈍らせた。

 

 

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 となると、昨日から無傷の2連勝で暫定トップに立った今垣光太郎か。うーーん、今日のしゃくりにしゃくった4カドまくりは「さすが光ちゃん!!」と唸らせたものだが、現状の私の機力評価では「鉄板のV候補」とは呼べないんだよなあ。どうにもパンチ力が足りないような……。

 

 

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 2日目を終えて、ぶっちゃけ私が「いちばん優勝に近い男」と感じているのは、現在6位の田中信一郎だ。まずは、足が原田篤志と節イチを争う超抜仕様である。実績については何も語る必要はないだろう。直近の勢い、リズムも図抜けている。今日の6号艇という試練も、6コースから難なく2着を獲りきってしまった。つまりは、死角らしきものがまったく見当たらないのだな。目下賞金ランク9位の信一郎は、このダービーを制すると一気に2位あたりまで浮上する。「ミスター賞金王」がこのポジションを狙わないわけもなく、モチベーション的にも問題がないわけだ。うん、やはり今節は信一郎が……。

 いや、ちょっと待てよ。明日の信一郎は4・5号艇と、それなりに厄介な枠番が残されている。それをピンピン連勝クリアってなことになったら、諸手を挙げて「信一郎のためのダービー」と呼ばせてもらおう。それまではペンディングってことに……

 あれ、あれれ、いま再び前夜版に目を通したらば、とんでもなく不気味な選手がいることに気づいてしまった。それは、守田俊介! 昨日は3号艇の3コースから、かの信一郎にまくり差しを浴びせて1着。6号艇の今日は4コースに潜り込み、差し粘っての2着。ふと気づけば今垣、松井に次ぐ予選3位で、しかも明日は2・1号艇の絶好枠っすか!!?? うーむ、今節は珍しくパワー面もかなり充実している。信一郎を撃破した勝ちタイム1分48秒1は、目下の節間トップ時計だ。起こしからスムースに加速して、スリット付近の行き足もゴキゲン。さらにサイドの掛かりもかなり強い。前検で記したとおり、信一郎、篤志にヒケをとらない超抜パワーだと自負している。

 

 

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 さらに言うなら、いつも気になる体重面でも前検段階で52キロとしっかり落としてきて、昨日、今日は51キロ。今節は心構えからしても一味違う俊介なのである。あ、そうそう、今節の俊介は“繰り上~~がり”出場なのだが、去年のダービーを制したのは同じく繰り上がりの仲口博崇だったなぁ。流れ、パワー、体重、心構え、オカルト。五拍子も揃った俊介が、明日の1・2号艇でキッチリ結果を出したら……この戦国ダービーを制する可能性は、かなり高いとお伝えしてしまおう。

 え?「あんた、最初っからそれだけが書きたくて、だらだらと前振りを並べたんだろ」ですって?? いえいえ、そんなそんな、ついさっきこの不気味な選手に気づいたわけでして、そんなまさか、本気で俊介がダービーを制するなんて、そんな世界でいちばん素敵な事件が起こるだなんて、私はこれっぽっちも…………す、すいませんっ!!(photos/チャーリー池上、text/畠山)