BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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浜名湖ダービーTOPICS 4日目

 

THE勝負駆け①予選トップ争い

俊介が……!!

 

 新型モーターになってからの定番だが、まずは予選トップ争いについて書かねばなるまい。なんたって、予選勝率8・00以上が5人。12Rを逃げきって8・00=第5位になった太田和美が「いつもなら予選トップでもおかしくない成績なんですけどね、まあ、仕方がない」とボヤいたように、とにかく上位陣の強さが際立つ予選48レースだった。昨日も書いたが、トップ6あたりが高いレベルで拮抗しているので、準優、優勝戦は枠番の利が大きくモノを言いそうな気がするな。

 

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 その貴重な予選トップ争いは、11Rと12Rに集約していいだろう。10Rが終わった段階で、シリーズリーダーの行方は4選手に絞られた。暫定1位の守田俊介、同2位の松井繁、同3位の原田篤志、そしてすでに8・00で予選を終えている山田雄太。自力当選の権利があるのは守田で、11Rで1着ならその場でトップが確定する。が、そのレースには王者・松井がいて、守田よりひとつ内の3号艇だった。それぞれのトップ条件を簡潔に記すと

★守田…1着確定。2、3着は12Rの原田篤志の結果待ち。ただし、松井に先着されたらその時点でアウト。4着以下でもアウト(山田雄太より下位になる)。

★松井繁…1着~4着で12R原田篤志の結果待ち。ただし、守田に先着されたらその時点でアウト。5着以下でもアウト(山田雄太より下位になる)。

 つまり、守田・松井で着順が下位だったほうが、無条件でトップの権利を失うことになる。痺れるような直接対決だ。

 

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 そして、その雌雄を決する11Rは、火花が散るような一騎打ち(2着争いだったが)となった。1周バックで先行したのは松井。それを1艇身差で追う俊介は、すべてのターンマークを全速の握りマイで攻めた。自慢のパワーがそうさせたのだろう。一発目のツケマイで舳先が並び、2発目の全速ぶん回しで1艇身ほど抜け出し、3発目のツケマイで完全に王者を抜き去った。凄まじいパワー。田中信一郎を2度もやっつけたそのパワーは、王者をも寄せ付けなかった。長いことSGの俊介を見てきたが、これほど自信満々に全速マイを連発する俊介、見たことないぞ。

 2着・守田、3着・松井。

 

 

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 このパワフルな逆転劇で、松井の予選トップの目は消滅。が、先着した俊介も2着だからして、12Rの原田篤志の結果待ちとなった。1着なら篤志、2着以下なら俊介という実にわかりやすい勝負駆けだ。その12R、5コースの篤志はコンマ08まで踏み込んだが他艇のスタートもやたらと早く、エース25号機の底力を生かす展開にはならなかった。1マークを回って5番手あたりに取り残された瞬間、俊介の予選トップが確約された。

 

 

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 はあぁぁ、一昨日ちょっとそんな可能性もあるとは書いたけれど、俊介がまさか本当にダービーのポールポジションを奪ってしまうとは……まあ、明日から2度逃げきるのは実に大変なことであり、ここからが本当の戦いになると知りつつ、今日のところは素直にこの“快挙”を喜びたい。そうそう、去年は仲口博崇が予選トップに立ったとき(正確には常滑1号機を引き当てたとき)から胃をキリキリさせていた読者がいたが(笑)、今節は私の番ですな。東海地区にまします水神様、どうか「繰り上がり出場→下克上の優勝」という51人抜きのミラクルが、2年連続で起こりますように!

 

THE勝負駆け②予選ボーダー争い

サプライズ前付け&隠れエース!?

 

 

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 一方、予選ボーダー争いについては、明日の準優でも大仕事をやからしそうな2人のレーサーをピックアップしたい。まずは、地元の坪井康晴。今日の1Rで5号艇だった坪井は、あっという間にインを奪いきった。いやぁ、驚いた。そりゃ地元水面だし、スタート展示でも積極的に動いてたし、ありえない事態ではなかった。ただ、いつもはあまり気合を表に出さず、6号艇でもほとんど動かない選手だけに、本気で強奪するとは思っていなかった。内枠の様子を伺いながら3コースあたりまでか、とタカを括っていた。

 それが、力強く舳先をイン水域に突き刺し、豪快に逃げきったのである。うん、拍手、拍手。これでこそ地元SGの勝負駆けでしょ! 単に坪井が成功したというだけでなく、他の静岡勢に与えた影響も半端なく大きかったと私は思う。士気、大幅上昇ってヤツだな。でもって、坪井のこの強襲は、明日の準優でも多大な脅威になるだろう。とりあえず、明日の12Rのスタート展示はしっかりチェックしなければならない。5号艇の中岡(ほぼ動くだろう)に連動する形で動くようなら、本番ではもっと激しく攻める可能性もある。で、攻めるべき1号艇はといえば……嗚呼。

 

 

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 もうひとりは、なんとか16位で滑り込んだ茅原悠紀。16位だけれど、それは仮の姿ですぞ。今節の成績はL32114。緒戦の不幸が大きく響いたわけだが、もしもあのドリーム戦を勝ったとすると(後のパワー差を考えれば、十分にありえた)、松井繁と同率8・33で第3位相当。まあ「たられば」は置いといても、選手の力量的にも今節のパワー的(上位の下あたりか)にも、実に不気味な6号艇なのである。緒戦で「出遅れ」を食いながら、ドリーム組で唯一生き残った男。そんな流れにも、なんだか「持ってる男」みたいな妖しいムードが漂っている。「6号艇の茅原」を軽視するファンはひとりもいないと思うが、明日の茅原は思っている以上に怖いぞ、と老婆心ながらお伝えしておこう。(photos/シギー中尾、text/畠山)