BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――怖いくらい出てる!

 

 

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 記者会見というのは、記者が質問し、ボートで言えば選手が答える、というものである。だというのに、守田俊介は開口一番、「質問なんですけど……」と切り出した。いきなりそっちから質問かい! と突っ込む間もなく、守田は言う。

「篠崎元志って、これ乗ったの何節前ですか?」

 元志はお盆開催で、この49号機を引き当てた。そして序盤3連勝。こりゃパーフェクトか!? というムードが漂うなか、4走目でフライング。つまり、エンジンが出過ぎていてフライングしてしまったというパターンだ。

「わかるわぁ。一緒ですわ。これ、Fで散るパターンですよ。前操者が『エンジンが連れて行ってくれる』って言ってた? Fの世界に連れて行かれそうですね」

 畠山がどんな評価をしているかしらないが、節イチ決定! 足合わせもスタート練習も見てないけど、断言しちゃいます。同班の他の選手は口をそろえて「守田さんが出てた」って言ってたし(山崎智也は「俊キチがいい」だったけど)。峰竜太など、自分もいい感触だけど、と前置きしながら守田の足を称えていた。こりゃあ、連覇、あるぞ!

 守田はその後も饒舌に独演会。このモーターがいかにパワーがあるか、でも出過ぎていてFが怖い、というのを事細かに丁寧に、語り続けた。ほんと、Fしちゃいそうって、どんだけ出てるんや! 明日は天候が変わりそうで、それに合わせた調整は必要になるだろうが、「たぶん、どう叩いても、出ると思う」とまで言うのだから、こりゃあ本物だ。乗り心地もいいそうですぞ。パーフェクトじゃないか!

 というわけで俊キチ選手、Fにはくれぐれもご用心を!

 

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 で、対照的だったのは、石野貴之だ。こちらは開口一番、「よくないです。全部」とのことだから、かなりキツそう。山崎智也が「オーシャンの石野くらいの足になってほしい」と笑ったあとに、当の石野は厳しい顔つきで「よくない」なのだから、あの三国を思い出して、その落差にこちらも唸るしかなかった。会見を終えると、石野は猛ダッシュ! もう1秒でも惜しいと言わんばかりに、調整に向かうのだった。明日はペラ室と水面の往復を繰り返す石野を見かけることになりそうだ。

 

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 まあ、ドリーム組はすでにグランプリ当確。ベスト6の勝負駆け、というのはあるけれども、勝負駆けの度合いとしては、やはり逆転を狙う選手のほうが強くなる。岡崎恭裕がやっぱりいい気合に見えるなあ。ちょっと顔つきが違うと思う。装着作業を丁寧にしていた岡崎は、SG組ではいちばん最後に着水していた。その水面に向かう表情が、なんとも凛々しいのである。

 

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 一方、ベスト18圏内から逃げ込みをはかる前年度覇者の茅原悠紀は、わりと余裕のある表情に見えた。モーターは数字のある実績機、手応えもそれなりによかったか。報道陣と言葉を交わす際には微笑が浮かんでもいて、ダービー2日目の不機嫌ぶりとは対照的だ。また、岡崎の様子とも少し違う。それでも、まだグランプリ当確を決めていない選手のなかで、目を惹いたのはこのニュージェネコンビであった。その勝負駆け、注目してみよう。

 

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 あと、どうでもいいけど、前検2班がすごいメンバーでした。ドリーム組以外の登番上位6名……といっても、ドリーム最上位は山崎智也の3622だから、この2班が上位6名ということになる。これ、別の意味でドリーム戦だよなあ。ざっと数えると、SG43冠。このうちの誰かが明日の12Rにいてもおかしくないわけだが、ニュージェネが半数を占めるドリーム戦という今年のトレンドを感じますね。ともかく、この2班、本番レースで見てみたいですな。

 

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 さて、女子。いちばん最後の班は今日は10班で、4艇立て。女子20人で、ドリーム6人が7班で、以下5人ずつ8班9班と入り、残った4名が10班である。ところが、スタート練習の何本目かをふと眺めたら、3艇しかいない! 消えていたのは1号艇だった平山智加で、どうやらモーターに不調が出たらしい。太田和美に「何してたん?」と笑いかけられ、「スローにしたら……」と笑顔で返していたので、そこで異常が発生したのだろう。いったん係留所に戻って、整備士さんらが原因を突き止めて、“11班”として一人でスタート練習とタイム測定を行なっている。それで前検合格。ひとまず一安心である。平山は12位まで220万円差。これを逆転するには、他の選手との関わりもあるけれども、優勝しかない(優勝400万円、準V200万円。平山より上位の中里、日高、魚谷、金田が這いまくって平山がピンを並べるとかなら、準Vでも逆転の目があるかも)。それを思うと、ちょっと不吉な前検なのだが……。笑顔が見えていたのが救いではあるのだが。

 

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 まあ、上位34機はSGに回され、下位機がGⅡに割り当てられているので、守田俊介のようなコメントは聞かれなかったし、ドリーム会見も淡々としたものではあった。平高奈菜が「ダッシュは伸びるけど、スローは起こしでもたつく」と言っていたのがかなり気になるかな。なにしろ明日は1号艇、インコースになりそうだからだ。それが解消できるかどうか、明日は調整に忙しい一日となりそうだ。

 

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 あと、松本晶恵が超かわいかったっす。選手はテーブルについたら当たり前のように椅子に座って記者の質問を待つわけだが、そしてそれが本当に当たり前なのだが、松本はマイクを手にしばらく立ったままだったのだ。「よろしくお願いします」とお辞儀をしたあとも立ったまま。代表質問の記者が質問を始めようとすると、ようやく「座ってもよろしいですか」と聞き、さらに「失礼します」と言ってから腰を下ろした。うーん、ええ娘やっ! 俄然応援するぞ。ちなみに今日はスローでは分が悪かったとのこと。明日はダッシュになりそうだから、心配なし! さすがにアタマ勝負できるかどうかはなんとも、だけど……。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)