BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット@シリーズ――福岡!

 

 

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「西山さーーーーん!」

 中田竜太が大声で西山貴浩を呼び止めた。9Rのエンジン吊りで、中田は石渡鉄兵のモーターを、西山は篠崎のモーターを運搬していた。先行したのは西山で、それを10数m遅れて中田が追走する。そのとき、中田は異変に気づいた。西山がいったんは立ち止まらなければならない場所をスルーしたのだ。

 その場所とは、モーターの燃料タンクに残った燃料を吸い上げ、タンクを空にする場所。ここで燃料を空にしてから、モーターを格納するのだ。西山は、なぜかここを通過してしまった。昨日はもう少し先、整備室の前で行なっていたからだろうか。前検のスタート練習後とレース後は場所が違うのである。

 中田に後ろから声をかけられて、西山は己の間違いに気づく。あ、いけねえいけねえ、と踵を返して一件落着……かと思いきや、すかさず咎めたのは篠崎元志。

「ちゃんと仕事やってください!」

 先輩の叱責(?)に苦笑いの西山。その後も元志にさんざんイジりたおされて、トライアルが近づいてピリピリし始めたピットに笑いを生んでいるのだった。西山のいるピットはやっぱり楽しいですなあ。

 

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 もちろん、西山もただ笑かしているばかりではない。ちゃんと調整作業をしているし、仕事は真面目だ。師匠の川上剛も同様。今日は遅くまでペラ調整に励み、いまひとつ冴えなかった初日を挽回すべく頑張っている。

 その川上が、10Rのエンジン吊りを終えてペラ小屋に向かう途中で、ピットのデコボコにつまずいてコケそうになった。すみません、たまたま隣を歩いていたので、もろ見ちゃいました。

「ほんっとにもう、水面でつまずき、陸でもつまずき、やってらんないっすよ!」

 いったんは2番手争いの2Rにつづき、6Rでも2番手争いに加わりながら4着敗退。その理由は、前検でけっこう伸びていて、今日は外枠だからさらに伸びをつけようと欲張ってペラを叩いたら、回り足がまったくなくなってしまったことだという。だから競り合いでやられてしまったのだ。というわけで、今日の調整はもともと悪くなかった回り足をつけること。「明日はもうつまずきませんよ!」と笑ってペラ小屋に入っていく川上なのであった。水面はもちろん、陸でもつまずき禁止ですよ!

 

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 福岡勢では、岡崎恭裕も調整作業に励んでいた。彼の場合は整備室でリードバルブ調整。今日はピンニの好発進で、こういうときの岡崎はゆったりと、まるで暇を持て余しているかのように過ごしているという印象なのだが、今日は違った。まあ、今日は好枠デー。ピンニはノルマでもある。それをクリアしただけで満足はしていない、ということだろうか。わりと“珍しい”姿なだけに、ちょっと期待感をそそられるぞ。明日は9R5号艇。大暴れを期待します!

 

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 福岡勢の大将格といえば、瓜生正義。シリーズにいるのが不思議で仕方ないのだが、去年も3日目からはシリーズに回っているし、まあこういう年もあるということか。シリーズだから気落ちしてるとか緊張感が薄いとかいうことはいっさいなく、いつも通りの瓜生正義。でもそれがまた、トライアルに出場しないことの違和感を強調している。

 

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 11R発売中に、瓜生&篠崎兄弟で談話中、というシーンがあった。これは豪華な組み合わせ。今日はレースがない元志に、やや厳しい発進となった仁志、そしてシリーズ特別戦で4着に敗れた瓜生。それぞれ置かれた立場は違いながらも、同じ空気を共有していれば仲間意識は強い。どちらかというと瓜生の言葉に兄弟が耳を傾けるという雰囲気が強く、やはり敬愛すべき先輩・瓜生が彼らの精神的支柱になっていることは間違いない。グランプリに出ようがシリーズに回ろうが、瓜生の存在感は絶大なのである。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)

 

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※平田忠則も福岡支部! 松村敏と会話している場面をよく見かけます。もちろん敏も福岡支部です!