BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット@シリーズ――支えるもの

 

 

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 宇野弥生が、出走表を丁寧に丁寧に折りたたんでいた。まず二つ折り。端と端を合わせて、そーっと折り目をつけていく。二つ折りにしたものを、また二つ折り。3レース分が表に出るかたちだ。これも端と端をぴったり合わせて、そーっと折っていく。きれいな長方形ができあがるように、ゆっくりと折り目をつける。うーん、ビューティフル! 僕が手にしている出走表も同様の折り方をしているのでチェックしてみたら、端っこがまったく揃っておりません! どうでもいいことかもしれないけど、丁寧な折り方をする人は、きっとペラ調整やエンジン整備も丁寧なんだろうな、と思った次第。私らしいレースを支えるのは、その丁寧さが支えているのではないだろうか。僕ももうちょっと丁寧さに気をつけよっと。

 というわけで、今朝もシリーズ組の動きはなかなか慌ただしい。気温がやや冷えたせいもあるだろうか。ペラ調整所は、もちろんトライアル組も含めて、多くの選手の姿が見られるし、係留所はやっぱりほぼ埋まっている。試運転に出る選手もかなり多い。SGだと、4日目というのはわりと静かな空気になるもの。それだけSGクラスは仕上げが早いとも言えるわけだが、女子選手は日々、丁寧に作業を続けている。だから、ピットの風景も自然と変わってくるわけだ。

 

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 1R、櫻本あゆみが逃げ切った。今節ようやく出た初1着だ。松本晶恵が嬉しそうに出迎える。櫻本は結婚して東京支部に移ったが、生まれは栃木、もともと群馬支部だった。つまり松本と櫻本は直接の先輩後輩ということになる。1Rには東京支部から平田さやかも出走していたが、松本はやはり櫻本のエンジン吊りに参加。櫻本も先輩が駆けつけ、また声をかけてくれたことで、力を得たことだろう。

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 3着の津田裕絵を出迎えたのは、鎌倉涼。100期の同期生だ。金田幸子のエンジン吊りに参加していた平高奈菜も、遅れて駆けつけている。川野芽唯は犬童千秋のエンジン吊りをしていたため、100期の輪には加わっていないが、戦うステージは違うとはいえ、同期生が数多く身近にいることは、やはりパワーになるはずだ。3人はそれから会話を重ね、津田の顔には笑みが生まれている。そういえば、クライマックス組が来る前は、堀之内紀代子との会話をここに書きましたね。津田はレース後、こうして“反省会”を必ずしているわけだ。先輩や自分以上の実績をもつ同期との反省会は、経験値として津田に蓄積されることだろう。

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 2Rを勝ったのは香川素子。2着が茶谷桜で、滋賀支部のワンツーとなっている。もう一人の滋賀支部、遠藤エミはどうするのかなあ、と思ったら、香川のエンジン吊りへ。いちばんの先輩のヘルプというのは、自然な流れだろう。で、近畿勢の多くが茶谷のほうに向かったため、香川のエンジン吊りを担当したのは、またまた100期コンビ。鎌倉は近畿なので自然だが、平高もここに加わっている。中四国で岡山の福島陽子のエンジン吊り参加が普通にも思えるが、岡山は人数が多いし、広島も山口も徳島もいるし、手薄な香川陣営をヘルプしたのだろう。平高と会話を交わしながら、香川の目が細くなっていく。来年はクライマックス復帰で、平高と上の舞台で剣を交えたいところだ。

 とまあ、シリーズ組とクライマックス組の絡みがけっこう見られた朝のピット。実力者とふれあっていくことが、きっとシリーズ組を支えていくことにもなっているのだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)