BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――2016SGの火蓋が切られた!

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171221100426j:plain

 オープニングは地元の雄・中野次郎が快勝! 一昨年グランプリ、東京支部はベスト18に一人も入ることができなかった。あの屈辱を、東京支部のトップどころは忘れてはいないだろうし、忘れてはならない。あれから1年3カ月、このクラシックには東京支部から6人を送り込んでいる! 決意を示すようなかたちで次郎が幕開けを飾った。そして、東京支部勢はおおいに沸き立った。今節は必ずや、地元の意地を見せる6日間になる。

 この勝利は、次郎にとっても爽快だった。東京の仲間たち、さらに山崎智也に祝福されると、ニカーッと笑顔が弾けた。次郎は昨年12月の当地周年に出場せず、同時開催のびわこGⅡに出場していたが、それはやはり不本意だったはずで、地元のタイトルレースを走れることはおおいなる喜び。そこで初っ端に勝利を手にできたわけだから、明るい顔になるのも当然だ。今節の次郎には期待してみよう。

 

f:id:boatrace-g-report:20171221100439j:plain

 その次郎が心配そうに覗き込んでいたのは、長田頼宗の様子。朝から本体をバラしていたのだ。次郎のエンジン吊りにもやや遅れ気味に、猛ダッシュで駆けつけており、とにかく忙しい午前中を送っている。ニューSG覇者として地元に凱旋した長田としては、「まずは1走してみてから」などと悠長に構えてはいられない。気にかかることを据え置きにしたまま、大事な地元SGの1走を迎えるわけにはいかないのだ。もっとも、長田の表情は決して暗くはなく、むしろ次郎のほうが長田を見て顔をしかめていたほどだった。次郎の優しさが伝わってくるシーンであり、長田がある程度の手応えを得てファーストランに臨めそうだということも感じられた。今日は5Rと10Rの2走が長田の出番だ。地元のファンにSGウイナーのプライドを見せつけられるか。

 

f:id:boatrace-g-report:20171221100453j:plain

 1Rの次郎はたしかに快勝だったが、レースを作ったのはこれがSGデビュー戦だった伊藤将吉だ。4カドから豪快にまくって、次郎の差しを許しはしたものの2着。上々の初陣だ。

 レース後は、まくられた今村豊との会話が長くなっていた。これがSG1走目の将吉と、これがSG1346走目の今村が、スタートの見え方やレースの展開について、笑顔を浮かべながら語り合う。今村が将吉を称えているふうでもあり、将吉は恐縮そうに笑ったりもしている。二人の対戦はこれが初めてではないが(2000年以降、今村の6勝1敗)、SGの舞台での対戦、そしてレース後の感想戦は将吉にとってまるで違った大きな意味を持つはずだ。“遅れてきた銀河系軍団”将吉は、この初陣を経て、SGで何を見せてくれるだろうか。

 

f:id:boatrace-g-report:20171221100508j:plain

 1Rでは、松田祐季の周りも盛り上がっていたぞ。石田政吾が親指をビシーッと立てて、松田を称えたのだ。しかし、松田はキョトン。なんで親指立ててるんすか、政吾さん。そんな表情で戸惑いの笑みを漏らしている。

「あれ? 3着やろ? 3着やな?」

 松田がうなずくと石田はふたたびサムアップ! 6号艇で3着なら上々や! そんな感じだろうか。

 

f:id:boatrace-g-report:20171221100525j:plain

 そこで萩原秀人が突っ込みを入れる。人差し指と中指を立てていたから、「それするなら、せめて2着でしょ」てな感じか。なぜか目を見開く石田政吾。力強くうなずく萩原秀人。他人事のように微笑む松田祐季。福井の愉快な仲間たち、でありました。まあ、たしかに6号艇を3着で乗り切ったのは、今後の戦いを考えれば上々の発進と言えるはず。松田といえば1月バトルトーナメントで優勝戦1号艇をモノにできなかっただけに、SGでその借りを返したいところ。うん、悪ないスタートだ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)