BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島クラシックTOPICS3日目

 

 

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 3日目は強い追い風のなかでのレースとなった。

 と言うと、公式発表をご覧いただいた方は「強い?」と訝るかも。一日を通して風速は5m前後で、もっとも強く吹いたのは10Rの7m。数字だけ見ると「強め」の表現が妥当だろう。

 だが、体感では「本当にその程度?」と逆に訝るくらいの追い風だった。気温は12Rで18℃となっているが、ピットにいると風が吹き込んで寒いくらいだったのだ。瞬間的には8~10mの瞬間もあったはずで、実際水面は波立っていたし、選手たちからも荒れ水面や風を気にする言葉も多く聞かれた。

 BOATBoyでは現在、畠山が「風が吹けば俺らが儲かる」という連載を執筆している。これは「風が強くなればなるほど、穴になりやすい!」という事実をデータをひも解いて分析し、「だから俺(畠山)が儲かる!」と鼻息を荒くするもの。こんな日に畠山は平和島にはいないわけだが、実際に今日はイン4勝。7勝だった2日目からほぼ半減している。畠山がいたら、ヨダレ垂らしまくりの一日だったわけだ。もっとも、マンシュウの数は4本と変わっていないのだが。魚谷智之が6コース差しで勝って104690円を叩き出したのには痺れたけど。

 

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 追い風が強い日は差しが優勢になる、というのがセオリーだ。今日の決まり手は逃げ=4、まくり=2、差し=4、抜き=1、恵まれ=1。抜きは12Rの角谷健吾で、これは1マーク最内を差してバックで伸びて先頭争いに加わって、道中で捌いたもの。このレースは上平真二、桐生順平との三つ巴トップ争いとなっているが、この3人ともが1マークでは差していた。恵まれは6R。インの坂口周がフライングを切ってしまったもので、残っていれば逃げがひとつ増えたところだが、首位に浮上した今村豊は1マークでやはり差しており、実質的には差し6勝だった、と言っても差し支えないだろう。

 追い風で差しが決まりやすくなるのは、インの先マイが、また外の握っての攻めが風に押されて流れやすくなるから。もちろん水面も荒れているので、握ってバタつく艇も出てくる。つまり差し場が開きやすいのだ。平和島の場合、特に潮が満ちていく時間帯は水面が荒れやすい。風は追い風、水面は向かい潮(1マーク→2マークに潮が流れる)とぶつかり合うためだ。一見するとわかりにくいかもしれないが、1マークの出口にうねりが起きるそうである。全速で外を攻めても、ターンの出口で艇が暴れたり流れたりしやすくなるから、ますます差しに優位性が生まれる。

 

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 では、まくり(ツケマイ)がまったく決まらないかというと、そうではない。インの選手も「追い風=握ると流れて差されやすい」と知っているから、1マーク手前でレバーを落として丁寧に回ろうとするケースも少なくない。そのタイミングで握ると、内のスピードが落ちているから、まくりが決まりやすくもなるのである。ただし、握れば流れやすい水面状況だから、これを決めるにはサイドのかかりやその後の押しが必要だ(周回展示でチェックしたい)。今日まくりを決めた1Rの萩原秀人、2Rの峰竜太は、その部分が来ていると考えていいだろう。萩原は11Rでイン発進、まくってきた松田祐季をブロックしながら握って先マイし、ふところを開けてしまったために3艇に差されてしまっている(そのうちの一人が魚谷で10マンシュウ!)。しかし、萩原はほとんど流れておらず、バックでは4艇併走の先頭争いに持ち込んでいる。5着にまで落ちてしまったが、これは併走のいちばん外になってしまったために展開がなかった分と考えていい。今日のイン大敗で人気を落とすようなら、明日はむしろ狙い目だと思う。

 天気予報によれば、明日は雨模様となりそうで、午前中は風が残り、午後には風が止むようだ。午前中は今日の傾向を引き継ぐかもしれないので、注目してみたい。

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 さて、パワー相場。畠山の書き置きから。

 

★★★坪井康晴=28号機

 変わらず強烈。7Rは1マーク失敗でバック4~5番手となったが、2マークでは4本の引き波を軽々超えて、3番手を獲り切っている。明日は雨が降り、湿気が高くなるが、おそらく心配ないはず。

 

★★今垣光太郎=15号機

 今日はスリットからの伸びが目立った。ともに外コース発進だったが、6Rは大外から伸びて1マークを攻めている。明日も今日と同じ足色なら、4号艇だけに脅威倍増。

 

★★守田俊介=55号機

 10R、2コースからツケマイにいったのは驚いた。まるで届いてなかったけど。悪くはないが、今日は後伸び型だったと思う。バック中間くらいでは、今垣のほうが強めで、松井繁とも変わらなかったが、2マーク手前になってぐっと追いついている。これを手前に持ってこられるか、あるいは5号艇なのでダッシュでこれを活かすのか、そのあたりが明日のポイントになりそう。

 

★★三嶌誠司=75号機**

 今日は昨日ほどパンチの利くストレート足ではなかったものの、やはり軽快。3コースからまくっていって流れたのは追い風の分と考えていいだろう。やはり上位。

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 そのほかで目についたのは

★山口剛=73号機

 1Rで6コースから2着、9Rで5コースから2着。数字のないモーターだが、力強い。9Rは2マークで引き波3本を悠々超えたし、2周1マークはやや不利な体勢から先マイを打ってしっかり前に押して2着に浮上したもの。間違いなく好気配だ。

★平本真之=34号機

 これも数字がないが、4Rの怒濤の追い上げはすさまじかった。1マーク展開なくバック6番手からぐいぐいと追い抜いていって3着。平本の旋回力もあるだろうが、それを活かせる足色だ。

 あとは深川真二=27号機、上平真二=56号機の「W真二」、原田幸哉=13号機が気になった。10マンシュウの立役者、魚谷智之=74号機も悪くなさそうだ。

 そうそう、3日目時点で予選トップの田村隆信=18号機ももちろん好気配。ピットで話したら「前を走ってれば良く見えるもんですよ」と笑っていたが、余裕十分と見えた。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)