BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――The Battle must go on

 

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 毎度毎度、同期の話が好きだねえ、と言われるだろうが、やっぱり書く。好きだから。目撃すると、気持ちがほんわかするから。

 垣内清美と渡邊伸太郎が話し込んでいるのを見た。彼らは59期の同期生。59期といえば、今村暢孝。そして、あの植木通彦だ。植木さんの期がこんなにもたくさんマスターズに出ているというあたり、時代の流れをどうしても感じてしまう(私、植木さんと同い年です)。特に、取材班が現地に足を運ぶのはどうしても大レースばかりだから、男女の同期生の絡みというのは、目にする機会が少ない(女子も多く出場するオールスターやヤングダービーならともかく)。だから、ともにマスターズ初出場の垣内と渡邊の絡みはもちろん初見である。嬉しくなっちゃうのである。その後には、垣内と山田豊のコンビも見かけた。ここももちろん59期コンビである。

 残念ながら、59期の面々はいずれも予選を突破できなかった。それぞれに悔しい思いを抱えて、明日以降を過ごすことになるだろう。一般戦でぜひ、鬱憤を晴らす走りを見せてもらいたい。彼らがレース後に笑顔で語り合うシーンを目撃したいのだ。そしたらまたきっと、僕はここにウキウキと書き記すんだろうな。

 

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 お前、これも好きだよな、と言われそうなのが、新兵の甲斐甲斐しい動き。マスターズは20年以上も前に新兵仕事から解放されたはずのベテラン選手が担当することになるから、とにかく新鮮。だから書いてしまう。好きだから。

 今節、とにかくキビキビと動いていたのは菊池峰晴だ。登番最若手であり、69期単独参戦だから文字通り、他の全員が先輩ということになる。その自覚もあるだろうから、とにかくさまざまな仕事をこなしていて、ピットで姿を多く見かけることになった。もしかしたら、もっとも多く視界に入ってきたのが菊池かもしれない。風貌も含めて、実に若々しい姿がそこにあった。

 

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 今日は乙津康志が、マグネットを手に金属片を集める仕事をしていた。乙津は登番が下から6番目、東京支部でも柳田英明と高橋勲が自分よりも登番が下なので、免除されてもおかしくはないのだが、終盤レースの時間帯にはせっせと装着場を歩き回って、金属片を見つけてはマグネットを寄せているのだった。

 残念ながら、この2人も予選を突破できなかった。乙津はボーダー5・25と同得点率、上位着順差で予選落ちだから惜しかった。菊池も今日の勝負駆けを奮闘したが及ばず。初めてのマスターズは不本意なものになってしまっただろう。彼らにも明日以降の鬱憤晴らしを期待しよう。“若手”らしいハツラツとした走りで、先輩たちに一泡吹かせる活躍を見せてもらいたい。足的にも充分狙えると思うのだが、どうか。

 

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 さてさて、勝負駆け。結果的にノルマをクリアしたものの、レース後には顔をしかめていたのが生方厚成だ。なにしろいったんは先頭を走ったのである。しかし2マークで田頭実の鋭い差しを許して2着。生方は昨日の2Rでもやはり先頭を走り、三角哲男に逆転を許してしまっている。2度も先頭を奪われて、首をひねるほうがむしろ自然なこと。彼らは勝利にこだわる勝負師なのだ。勝負駆け成功という前にまず、その敗戦を悔しがる思いが浮かんできて当然だろう。

 

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 このレースで4着に敗れた吉田隆義は、ピットにあがるや腰をがっくりと折り、両手を膝に突いて、うなだれた様子を見せていた。4着という結果に対してもそうだが、これが結果、25位に終わってしまったことに対しても落胆があったか。いや、その時点では順位が確定しておらず、また吉田自身がすべてを把握してレースに臨んだとは思えない。ただ、3着なら5・75という得点率になり、これはもう安全圏だった。その程度のことはわかっていたかもしれない。3着の目がなかったわけではなく、1周目バックでは3番手争いの先陣を切るかたちにもなっていたから、予選敗退を覚悟しなければならない心持になったかも。次点に泣いたとわかるのは12R終了後でも、吉田のなかにはうなだれる気持ちが生まれてきてしまったのかもしれなかった。

 

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 勝負駆けを実らせたのは、10Rの上田隆章だ。前半6着大敗で、10Rは1着勝負となっていた。2着なら5・25で吉田同様に危ういところ。この状況を上田は3コースからのまくり一閃でクリアし、見事にベスト24に名を連ねることとなった。

 上田と顔を合わせるのは実は今節が初なのだが、勝って淡々と見えたのはいつも通りなのだろうか。昨日の3着後には、かなり悔しそうな表情を見せてもいたのだが、爽快な勝利に破顔一笑的な場面は見ることができなかった。見逃しただけかもしれないけど。ただ、明日の10Rの番組を見ると、何とも濃い面々が揃っただけに、上田のそうしたたたずまいが不気味と映る。足は間違いなくいい雰囲気だけに一発があってもおかしくないぞ。勝ち上がりをひとつクリアするごとにトビキリの笑顔を見せてくれたりするのだろうか。それを確認してみたいなあ、という気持ちもあったりするのは事実なのである。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)