BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――気分はどうだ!?

 

 

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 今朝、蒲郡入りする前に、仲口博崇、田中信一郎、太田和美の69期トリオと、なぜか青山登さんでゴルフに行ったという。ナイター開催だから、こういう芸当ができるわけだ。そこで、太田和美はホールインワン! 太田は何年か前の選手会チャリティーコンペでも優勝しており、腕前は艇界屈指。それでもホールインワンは初めてだそうで、SG入りする前のエースはこのうえなく縁起いいでしょっ! もし今節優勝すれば、蒲郡の勝利の女神にもっとも愛されたのは太田だということになる。というわけで、さっそく祝福の言葉をかけたら、太田はニッコリ。気分よくシリーズに臨めるだけでも、かなりアドバンテージだと思うがどうか。

 

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 ところで、昨日、宮古島で深谷知博と鎌倉涼の結婚式が行なわれたようだ。今朝、深谷と親しい某氏から写真を見せてもらったのだが、涼ちゃんは綺麗だし、深谷は一段と男前でした。その写真のなかに、海辺でバーベキューか何かをしているものがあり、最前列でピースしていたのが桐生順平! 海パン一丁でお皿を手にする桐生は、見事な小麦色の肌になっていた。こりゃ楽しそうだ。というわけで、蒲郡のピットにあらわれた桐生は、まさに褐色の弾丸! こちらもしっかりとリフレッシュして臨めるわけで、かなりいい精神状態でレースに臨めると見た。グラチャンでの大活躍が深谷&鎌倉夫妻への最高のご祝儀ですぞ!

 

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 というわけで、アゲアゲ気分で参戦する者もいれば、もしかしたら悲壮な決意で臨むかもしれない勇士もいる。今節はこの人たちに尽きるでしょう! 田村隆信と市橋卓士だ。1958年全国地区対抗以来58年ぶりに地元・鳴門でSGが開催される。現存のSGに限定すれば、初SGと言うこともできる、それが次のSGであるオーシャンカップだ。このハレの舞台に、徳島支部で出場を決めた選手は皆無。これは実に由々しき事態だ。ただし、最後に残された一縷の望みが、「直前SG=グラチャン優勝者」という枠。田村と市橋は、地元オーシャンに優勝条件の勝負駆けという意味合いももって、蒲郡に乗り込んでいるのである。

 もちろん、それがなくともSG優勝は誰もが望むもの。田村も市橋も、虚心坦懐に優勝を狙うだろう。それでも、見る側にとってはそこに大きな意味を見出したくなるのだし、二人の胸にその思いがないわけがない。

 田村は今日、かなりギリギリの時間まで、ペラ調整に励んだ。その前にはリードバルブを調整するテーブルにも姿があった。表情は淡々としていていつもの田村。特別な気配はあまり感じられない。今日、田村には特に何も言わないでおこうと決めていた。言われなくても、田村はすべてを理解しているのだ。しかし、やはり声をかけてしまった。「何も言わず、見てますから」と。田村はニコーと笑った。そして一言、ハイ、と返した。

 で、何も言わないと言いつつ、なんだかんだとぎこちないやり取りをしてしまった次第なのだが、田村ももちろん地元オーシャンへの思いを抱いているということは確信した。明日からどう接することになるのか、自分でもわからんちんだが、市橋ともども、今節はその戦いぶりを追いかけていきたい。

 

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 さてさて、超抜との噂も高い35号機を引いた重成一人。田村の隣でまさにリードバルブの調整を延々としていた。かなり入念な作業だったようだ。前検日は、試運転やスタート練習での気配をもとに、いわゆる外回りの整備――プロペラ調整やギアケース調整、リードバルブ調整をする選手が圧倒的に多い。いわば前検日のルーティンだ。だからプロペラ調整室は選手たちの姿が鈴なりになっているし、ギアケース調整所にもたくさんの選手を見かける。前検日にリードバルブ調整というのは決して多数派とは言えないが、いずれにしてもまずは外回りから、というのがひとつのセオリーになっているわけだ。エース機を引いても、やることは変わらない。決して浮足立つことなく、淡々と明日への準備を整えていく。重成のたたずまいには、非常に落ち着いたものを感じた次第だ。

 

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 で、これは完全に少数派なのが、前検日に本体を割る選手。オールスターでは西島義則がやっていて、これは西島のルーティン。そして今日は、赤岩善生が本体をバラして、丁寧な整備を施していた。前検日にやるかどうかは別として、一回はバラして自分のセッティングにもっていくのは、まさに赤岩のルーティンだ。遅くとも初日までには必ず一回は本体を割るのが赤岩流だ。整備巧者として名高い赤岩は、もちろんツボというものも心得ているのだろうが、いつでもどこでも手を緩めることなくルーティンを頑なにこなすという部分において、整備の鬼と言うべきだろうと思う。話を聞くタイミングはなかったが、地元だから特に気合を入れて整備をしているか、と問えば、必ず否定するはずだ。蒲郡だろうがどこだろうが、俺はやることは変わらないよ、と。いざレースに臨めば気合は何割か増しになるのかもしれないが、ひとまず「赤岩はいつも通り気合満点だ」とお伝えしておきたい。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)