BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――まくれ!

 

 

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「俺のまくり率、スゴいでしょ!」

 仲口博崇に声をかけられた。そう、あなたのまくり率、スゴいんです。BOATBoyに掲載している新概念データ。“本紙予想”もそれをもとにしているわけだが、仲口のコース別まくり/差し(各コース時のまくり1着回数/差し1着回数)がスゴいのだ。2コースから順に「12/5 12/3 6/1 0/0 0/0」。BOATBoy7月号のグラチャン特集時点では5コースにもまくり1着がついており、そもそも入る回数が少ない(過去1年で4回だけ)6コースは別とすると、すべてのコースで差し(まくり差しも含む)1着よりまくり1着のほうが多い、しかも圧倒的に多いのである。SGクラスでここまでのまくり屋は他にいない。それをBOATBoyにも大きく掲載しているわけだが、仲口はそれを読んでくれているようだ。

「でもさ、意識しすぎちゃって、行かなきゃいけんとか思っちゃうんだよね~」

 ダハハハ、それは失礼しました。しかし、ファンはおおむね、まくり大好き。行ってくれるのは大歓迎なのだ! だいたい、この数値はまくりで勝ちまくっているということの証左でもある。今、艇界屈指のまくり屋である仲口の豪快まくりにこれからも注目しよう(仲口マークの差しから狙う、ってのも含めて・笑)。

 

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 で、今日は1Rと2Rでまくり一撃が飛び出した。1Rは白井英治。前付けで4コースに入り、5カド市橋卓士がのぞいて絞めようとしたのを伸び返しながら抵抗して、そのまままくり切ってしまったものだ。ちなみに白井の4コース時まくり/差しは1/5。これが明日は2/5になるわけである。2~6コースで、まくり1着のほうが差し1着より多いコースは、白井の場合、皆無である。

 とはいえ、白井は差し屋というわけではなく、行くときは果敢に行きますよね。SG初優勝も2コースまくりだったし。また、やっぱり選手たちはまくり切ると気分良さそうです。このクラスは基本、まくりも差しもまくり差しも自在にできる選手ばかりで、ここぞというときはもちろんまくる。SG記念クラスはなかなかインでまくらせてくれないから、まくり差しや差しの1着が増えるのだろう(だからこそ、仲口はスゴいのである)。というわけで、白井もヘルメットの奥で目を細めながら、ピットに上がってきた。豪快に握る男でもあるから、本性はまくり屋なんでしょうな。ともあれ、会心の勝利!

 

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 2Rは、師匠の今村豊が2コースからジカまくりで1着。1日遅れのバースデーウィン! 55歳の1勝目である。今村の2コース時まくり/差しは3/5。明日には4/5と数値が近接する。今村といえば、起こしてから一度も放らない全速スタートが身上で、これが決まればスリットからぐいぐいと伸びていく。足がいいときには気持ちよく伸びる。したがって、まくり1着は基本多いわけで、本質はもちろんまくり屋である。たとえば、2010年6月23日~2011年6月22日の1年間、2コースまくり/差しは5/4。2014年の1年間は10/7。差し1着もあるけれども、まくり1着が多い。そういう時期が今村には多く、そちらが本来の姿ということだ。逆にいえば、まくり1着が少ないときの今村は決して好調ではないということ。今日の勝利でまくり1着と差し1着の数が近接したということは、今村は調子を上げつつあるとも言えるわけである。

 で、ピットに戻ってきた今村は、特に笑顔は見せておらず、むしろ出迎えた白井のほうがニコニコと笑っていた。師弟でオープニングウィンを独占した、なんてことは別に考えていないだろうが、1Rを勝って師匠の凱旋に立ち会うのは爽快な出来事に違いない。今村は負けたときのほうがよく笑うんだよなあ。間違いなく悔しまぎれの。悔しさを隠そうとする強がりの。笑顔を見せないときのほうが、会心なのである。

 

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 さて、2コースまくりを代名詞にする男といえば、山崎智也。実は過去1年はまくり5/差し7と、差し1着のほうが多かったりする。まくり1着が差し1着より多いのは4コースのみで、3コースは同数。これも実は調子のバロメータであって、好調時の智也はやはりまくりが増える。何年か前には2~6コースすべてでまくり1着のほうが多いという、仲口みたいな時期もあったものだ。

 その智也、なんだかすごく余裕に見える。プロペラ調整室で見かける機会はそれほど多くなく、エンジン吊りも控室からあらわれるのが多いのだ。昨日は5着大敗もあったが、モーターに手応えを感じていなければこうはならない。かなりの好気配ではないかと思った次第だ。今日は5号艇1回乗り(6R)。この外枠をうまく乗り切れば、グラチャン連覇もあると見るが、どうか。あ、ひとつ訂正。1/0という数字ではあるけれども、5コースもまくり1着のほうが多いのであった。まくっちゃう!?(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)