BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――カッコいい!

 

 

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 初日の朝、ピットで「いいなぁ」と思えるのは、前日との表情のギャップが見られることだ。一節間取材のスタートである、選手入り取材。当然、選手はまだリラックスしたムードを醸し出していて、表情は柔らかい。まったくの“素”ではないだろうが、しかし素に近い表情ではあろう。前検が始まっても、緊張感はそれほど高まってはいかない。感触が一息の選手など、早くも渋面になっていたりすることもあるが、やはりレースは翌日からということもあって、声をかければ柔和に返してくれる選手も少なくない。それが初日の朝、一気に雰囲気を変える、そんな選手もいる。いよいよ戦いが始まる。それを控えて、勝負師モードに突入しているのだ。

 顕著なのが、まず魚谷香織。昨日の選手入りの際には、とびきりの笑顔で登場。挨拶の言葉を投げかけたら、やっぱり満開のひまわりのような笑顔を見せて、「今節もよろしくお願いしまーす」なんて返してくれている。今朝は違う。先に挨拶の言葉をかけてくれたのは魚谷で、その表情はキリリと引き締まる。笑みはない。こちらが挨拶を返すと、かすかに口元に笑みを浮かべたが、目は真剣なまま、係留所へと向かっていった。う~ん、カッコいい! そのスイッチの切り替わりがまた、レーサーらしくもある。調整の方向性に思索をめぐらせている、という可能性もあるかな。それももちろん、ボートレーサーならではである。おそらく、すべてのレースを終えた夕方には、また笑みの割合が増えるだろう。そして明日朝にはまた、今朝の魚谷香織になっているだろう。ほんと、素敵である。

 

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 長嶋万記もそうだ。長嶋とは以前から、イベントなどでレース場を離れても接してきている。だから、彼女もこちらには気安く声をかけてくれる。前検日には、もちろんニコニコと話しかけてくるし、少し離れたところでこちらを見つけて、わざわざ挨拶に来てくれるなんてこともある。今朝の長嶋は、やはり戦士モードになっていた。こちらの存在に気付くと、さーっと笑みをこぼしてくれるのだが、そこから真顔に戻るのが早い。装着作業中ということもあって、意識がすぐにそちらに向いていったのだ。丁寧に、慎重に、細かいところにもこだわって、モーターを装着していた長嶋。戦いを間近に控えて、完全にファイティングポーズをとっているのだ。

 

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 もちろん、全員が全員、表情や雰囲気を一変させるというわけではない。後半にレースを控えていれば、まだまだ気持ちを高めていく途中という場合だってある。それでも、20数時間前の様子とはどこかしらに変化が生まれるもの。たとえば、実に穏やかな表情で会釈をしてきた平山智加も、ギアケース調整をしている様子を見れば、目つきが強烈に鋭くなっていたりする。初日の朝というのは、彼ら彼女らのソルジャーな部分を呼び覚ます、のである。

 

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 さて、平山はいま書いたようにギアケース調整、まずは外回りから始めていたわけだが、いきなりボートを水面に下ろしたドリーム組もいた。まだ1R展示前、小野生奈が着水の準備を始め、展示が終わると水面へと飛び出していった。つまり、ドリーム公開インタビューを終えてピットに戻り、すぐに水面に出ていく態勢を整えたということだ。これは早い。昨日の会見ではあまり強気なコメントをしていなかったので、今日は汗だくになって試運転に調整に駆けまわるということになるだろうか。それから数分後には、田口節子も着水している。ドリーム組の動きとしてはかなり早いものだと言えるだろう。今日も昨日に引き続き、とっても暑い。汗だくで頑張るナデシコたち、カッコいいぞ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)