BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――勝負師の胸の内

 

 

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 オープニング1Rは吉田拡郎が5コースからまくり差し快勝! まくった柳沢一と差さんとした辻栄蔵の間を鋭く突き抜けていった。お見事の一言である。

 ところが、拡郎自身の顔はなぜか晴れない。ピットに上がった際の表情は単に淡々としているように見えたが、エンジン吊りを終えると顔をしかめて「完全にまぐれだわ~」と言い捨てた。え、どこがどこが? そう問いかけると、「初動がない! スタート後下がる!」と口にしてカポック脱ぎ場へ。レーサーは勝利を目指して走る。負けず嫌い集団だから、とにかく負けたくない。だが、勝てば満足というわけでもない。足色に不満があれば、もちろん今後の予選道中も見据えながら、首をひねる。そういうものなのだろう。

 それでも、見ているほうからすれば充分に気持ちいいレースだったぞ、拡郎! 喫煙所で観戦していた選手たちからは、拡郎が突き抜けた瞬間にどよめきもあがっていた。まずは幸先いい1勝と胸を張り、明日に進んでほしいぞ。

 

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 2Rは須藤博倫が逃げ切り勝ち。こちらは文字通り、淡々と戻ってきて、淡々とレース後を過ごしていた。祝福した同期の秋山直之には、小さく「ありがとう」と返す。やはり同期の齊藤仁も駆け寄るが、小さくうなずき合う程度だった。1号艇1着の選手のレース後には、こんなシーンをよく見ますね。歓喜よりも安堵が強いのか。それとも、他の選手への気遣いもあるのか。レディチャン初日に書いたが、初日の1号艇を歓迎しない選手も少なくない。仕上がり途上、スタート勘もまだつかんでいないうちに、絶好枠を迎えたくない。確勝を期すことができる段階で1号艇を迎えるのが理想、ということだ。そうすると、初日1号艇での勝利は安堵のほうが強いというケースも多いはずだ。まずは幸先いいスタートを切ったのだと気持ちを沸き立たせて、ヒロリンには勢いに乗ってほしいところだ。

 

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 という感じで幕を開けたメモリアル。昨日の前検は悪天候のなかで行なわれたが、今日の序盤は夏らしい気候となっている。レース後の選手はもちろん、試運転からあがってくる選手も汗だく。西山貴浩もさすがにおどける余裕がないのか、「あっちぃ~、あっちぃ~」とだけ言いながら、歩み去っていく。おちゃらけないのは暑さのせいだけじゃなく、気合が入っていたりもするのかな。足がいいだけにスイッチが入った可能性もあるな、なんてことも思ったりした。

 

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 試運転といえば、松井繁が1R前に早くも走っていたのには少し驚かされた。昨日のドリーム会見では、どこを妥協点とするか=勝率のないモーターをどこまで引き出せるか、という旨を語っていたわけだが、そうするとペラ調整→試運転→ペラ調整が繰り返されるであろうと想像はできた。それを1R前から始めていたのだから、ひょっとして朝特訓というか昼特訓で乗ったときには厳しい足色だった? 精力的な王者に感心しつつ、やや気にもなった。

 

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 一方、やはりドリーム組の瓜生正義は本体を割っていた。異常あり、か? いや、これはドリーム出走時の瓜生の初日朝(午後イチ)のルーティンとも言える。瓜生が本体を割るとき、それが大手術とは限らないのだ。予選トップ級で突っ走っている3日目とか4日目に、瓜生が本体を割っていたのを何べん見たことか。それらはたいてい、点検だったり、動いているモーターの数値をはかることだったりした。初日もドリーム出走時は時間がたっぷりあるため、ドリームインタビュー後はまず本体を割る。それはむしろ瓜生の好調のバロメーターでもあるわけである。同期の魚谷智之との会話中も、表情は柔らかかった。桐生SG2連覇中の瓜生。キリュウのウリュウはやっぱり強い!?(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)

 

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