BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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桐生メモリアルTOPICS初日

ふたつの鬼足

 

 

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 やはり、鬼足だったか……。

 そう唸らせるパワーがふたつあった。ひとつは濱野谷憲吾=40号機。10R、3コースからそろりと発進した憲吾だったが、そこから伸びる伸びる。スリットを通過したときには、コンマ03のキワまで到達していた。「出足→行き足」の軽快さがはっきり見て取れた。で、続く「行き足→伸び」への連繋も素晴らしい。2コース山口剛をあっという間に置き去りにし、1マークのはるか手前で2コースのポジションを取りきった。

 こうなると、背筋が寒いのはインの毒島誠だ。まくられたら前半(5着)に続く大敗を喰らうであろう毒島は、早々にレバーを握ってターンマークをぶん回した。

「とりあえず先マイだけは死守。差されてもいいから絶対にまくらせないぞ!」

 という強い意思が手に取るようにわかる全速マイ。おそらく最善の非常手段ターンだったと思う。毒島の決死の握り先マイをすべて見届けたであろう憲吾は、ぽっかり空いた花道に差しハンドルを突き入れた。余裕綽々すぎる3コースまくり差し、一撃。その後、道中で毒島に詰め寄られるシーンもあったが、おそらく56キロの体重によるターン回りの重さのせいだろう。ストレートに入るとグイッと突き放し、見た目以上に危なげのない勝ちっぷりでもあった。私の後ろにいたオッサンが「足が違う」「足が違いすぎる」「鬼足」と何度も何度も繰り返していた。同感。客観的に見て、もっとも優勝に近い鬼足だと確信した。

 

 

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 さてさて、昨日も書いたがこうなってくると最大の敵は体重だ。昨日の昼の検量が56・1キロで、今日のそれが56・0キロ……一晩で100グラムしか落とせなかったのか、憲吾!? もちっと踏ん張って一晩に1キロずつでも落とせば、V確率はどんどん跳ね上がると思うぞ。タイトな2回走が待ち受ける3日目(今節の憲吾の予選は5走予定、かつ1号艇がないと思われる)までに、53キロあたりを目指してもらいたい。奮闘を祈る!

 

 

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 もうひとつの鬼足は、遠藤エミ=45号機だ。今日の5Rは4カド篠崎元志のまくりに連動してのマーク差し。レース自体には「ちょいちょい」とツッコミたい部分がいくつかある。1マークの差しどころが一筋ズレてたし、2マークで握るか差すかの判断にも時間をかけすぎた。が、45号機はそんなプチミスをものともせず、ぐんぐん前に突き進んでいった。圧巻はその後の追撃だな。ターンマークを回るたびに先頭の元志にじわじわにじり寄り、ゴールラインではわずか1艇身半差ほどまで肉薄していた。相手が相手だけに、そのインパクトは強烈の一語。元志の足が中堅レベルだとしても、エミ45号機は間違いなく超抜レベル。明日の1・2号艇という絶好枠でしっかり結果を残せば、SG史上初の快挙もマジで夢ではなくなるな。エース憲吾との体重差は、今のところ9キロ(重量調整込み、実際の体重差は11キロ!)もあるのだから。

 

 

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 あ、パワー面でもうひとりピックアップするなら、3Rで4カドからまくりきった川上剛=46号機だな。スリットほぼ同体から、かなり強引な絞めまくり。新型モーターになってから、この手の絞めまくりはインまで届かず誰かしらにブロックされるケースがやたらと多い。が、46号機はそこからさらにじわじわ伸びて、インの石渡鉄兵まで呑み込んでしまった。強引さばかりが目立つまくりのようだが、実はかなり強力なパワーの裏付けがあるまくり勝ちなのである。憲吾40、エミ45、川上46……結局は2連率も下馬評もメチャクチャ高いモーターが、そのまま素晴らしいパワーを披露したわけだ。誰でも知ってる銘柄級が、まんま大活躍。うーーん、ちょいと複雑な心持ちだけど、これがまさに現実ってヤツだな。

 

 

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 一方、昨日の前検で「凡機のはずがバカによく見えた」と抜擢したパワーは、やはり凡機の域を出なかった。西山貴浩66号機も瓜生正義70号機も、出足や伸び云々以前にターン回りの引き波で置き去りにされていた。つまり底力がまったく足りていない。これも厳しい現実。素直に評価を落として、新たな穴パワーを発掘したい。魚谷智之20号機、齊藤仁48号機、池永太39号機あたりがその候補エンジンだ。(photos/シギー中尾、text/畠山)