BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――はじめまして

 若武者決戦の楽しみといえば、フレッシュな顔に会うこと。かつての新鋭王座決定戦のときは、普段SGばかりに行っている者としては、前検日にちは顔と名前が一致しない選手が半分。それを必死で頭に叩き込むのが、実に楽しくもあった。ヤングダービーになって、さすがに大半は顔を把握しているので、その作業はなくなったが、それでも初顔合わせの選手は何人かいたりして、その出会いが楽しい。

 

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 今節でいえば、まず何と言っても小林文彦。小林の場合は、すみません、実は顔もよくわからないという新鋭王座状態の選手である。名前はもちろん存じ上げておりましたが、しかし失礼ながら、いつの間にここに出てくるほど強くなったのだろう、という認識。出場選手に名を連ねたのを見たときには、申し訳ないが驚いてしまった。福岡支部の小林は、篠崎仁志ら先輩に囲まれて、まったく違和感なく過ごしていた。エンジン吊りで先輩に声をかけられて見せた笑顔も実に爽快だ。今節は、全国におおいに名前を売ってほしい。

 

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 101期といえば、篠崎仁志や後藤翔之を擁し、すでに上位で活躍している選手が男女ともに豊富な期だが、遅れてきた101期生と言うべき男が新田泰章。新田は新鋭王座に一度も出場しておらず、GⅠデビューは今年の中国地区選。A2級はしばらく維持してきたが、大きな舞台とは無縁であった。しかし、今期は初A1級! 29歳にしてギリギリ、ヤングダービーに間に合った。

 初めてお目にかかる新田だが、いい面構えしてますな。亡くなった騎手の後藤浩輝さんを思い出した。2節前に優勝し、前節は周年記念を初経験して、常滑に乗り込んだ。いい過程での参戦だぞ。やはり新田泰章の名前を思い切りアピールしてもらおう。

 

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 106期以降のルーキー世代については、すでにSG出場歴もある岩瀬裕亮や、新鋭王座にも出場していた荒井翔伍、女子の今井美亜についてはすでにお馴染みである。島村隆幸も昨年のヤングダービーに参戦、BOATBoyのインタビューに登場してもらったこともある。今回、初対面はまず丸野一樹。びわこ期待の新星だ。

 レース場入りの際には、報道陣やニコニコボートレース部の永島部長に向けて、まさにニコニコと笑顔を見せていた。実に人のよさそうな青年だ。それが、前検作業に入ると、キリリと引き締まる。目が細めなので、鋭い表情に映る。レース後にどんな顔を見せるのかが楽しみになってきた。

 

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 今日時点での今期勝率が7・47。このままいけば、来年のSGダービーのほうの出場だって夢じゃないのが、上條暢嵩。このところノリノリなので、すでにある程度は名前が売れているでしょうか。今節登番も年齢も最年少の110期、22歳。レース場入りのときにも思ったが、なんとも雰囲気がありますね、この若者。近いうちにSGで普通に会うようになるんでしょう。ほんと、そう予感させるたたずまいがある。

 

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 だからなのか、たとえばエンジン吊りで先輩の輪のなかにいても、まるで違和感を覚えさせない。磯部誠、これも初対面の近江翔吾らと話をしている姿には、後輩感、最年少感は皆無だ。ヤングダービーはもちろんこれまでに戦ったことのない舞台なので、いざレースが始まって変化が見られる可能性もなくはないが、いきなりの大活躍も充分あるんじゃないかなあと感じさせる。明日はいきなり1号艇。初っ端で全国区になっちゃうかもね。あ、近江翔吾もいい面構えだなあ。ちょっと悪ガキっぽい雰囲気があって、この舞台でもまったく物怖じしそうにない。明日は3Rでいきなり篠崎仁志や黒井達矢と対戦だが、果敢なレースを見せてくれるだろう。

 

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 さてさて、そうした初顔を見るのも嬉しいが、SG常連とこの舞台で顔を合わせれば、やはりホッとするところがありますね。岡崎恭裕とは、さっそく話をさせてもらったが(ほとんど雑談です)、それで今節がようやくスタートしたという感覚になれたものです。ここでは明らかに格上で、それもあってか、SGの前検日より余裕を感じる。前検日の手応えが悪くなかったようなので、それも岡崎の心を和らげているだろう。すでにグランプリは当確だが、お腹いっぱいにはなってなどいまい。自然体で臨めるなら、やはり優勝候補筆頭の一人だ。

 

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 桐生順平も、やはり格上の雰囲気を漂わせている。もらったプロペラがまったく違う形だったそうで、前検航走後は早くもプロペラ室に入っている。しかしドタバタした感じはまるでなく、陳腐な言葉だが、オーラが周囲とは違いますね。一方で、報道陣との会話では笑顔も見えていた。もちろん優勝候補筆頭のもう一人はこの男。どう見てもこの二人がツートップで、このヤングダービーは展開していくだろう。

 さあ、若武者決戦がいよいよ始まる。台風なんかに水を差されたくないなあ……。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)

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 お待たせしました。山口“謎のマスクマン”達也です。