ヤングダービー、面白い！
１Ｒからいきなり海野康志郎が前付け。ペラ調整をいったん切り上げてペラ室を出た西川昌希が、ふと水面を見て目を丸くしていたほど。「６、誰ですか!?」と尋ねてきたので、海野と知らせたが、その瞬間に西川の目がキラリ輝いた気がしたぞ。曲者魂が刺激されたか？ 結果は残念だったが、いきなり水面をかき回してくれた海野はとにかくお見事！ 着替えを終えたあとには、今節ピットレポートで来ている松野京吾さんとスッキリした顔で談笑していた。山口支部の大先輩も、海野の果敢さを称えていたことだろう。
２Ｒは山口達也が曲者魂全開！ スタート展示でも内をうかがう動きを見せて２コースに入ったが、本番はさらにぐいっと前付けしてイン奪取！ しかも逃げ切ったのだから、お見事以上の大殊勲だ。ボートリフト前で、盟友・西山貴浩も拍手で迎える。マスクマンの矜持なのか（？）、山口はピットではずっとヘルメットをかぶっていたので表情は確認できず。ただし西山がしてやったりの顔をしていて、曲者軍団はかなり期するものがありそうである。
ただし、１号艇の荒井翔伍は、これは悔しい。控室に戻る際には露骨にうなだれており、顔つきはただただ厳しかった。まくりより普通にイン逃げが好きのはずが、その機会を奪われてしまったわけだから、自分の言葉込みで悔しさは最大級に増幅していたことだろう。山口の走りっぷりに胸躍りつつ、しかし若者のこうした顔を見るのはツラくもある。荒井の明日からの巻き返しには期待したい。
進入から動きがあるボートレースはやはり面白い！ こんな調子でシリーズが進んでいくことを願っております！
今朝は地元勢の動きが早かった。ドリーム選手インタビュー後にピットに入ったのだが（ドリーム組ご一行と一緒になりました）、整備室にはボートごと運び込んで整備している岩瀬裕亮がいた。整備の内容はキャリアボデー交換。まだレースを走る前の段階で、交換に打って出たのだから、これは早い判断だ。
「地元なんで負けられないですからね。２、３周してみましたが、感じはいいです。もう少し乗ってみて、このままいくかどうか考えます」
地元だから負けられない。この思いが、岩瀬を動かしているわけだ。
磯部誠もその思いが強い。磯部もまた整備をしており、本体を割っていた。ただし、部品交換はしていないそうだ。
「前節（宮島周年）、赤岩さんの整備を見せてもらったんです。バラバラにして休憩されたので、（どこをどんな整備しているのか）のぞかせてもらったんですね。それを参考にして、整備してみました」
見て盗む。その発想をもてるのは、そして動けるのは、高い資質の証しである。赤岩善生といえば、有数の整備巧者だ。そして宮島では超抜に仕上げていた。そんな先輩から、直接訪ねるのではなく、見て盗んだ。「実際はどうなるかわからないですけどね」と磯部は笑ったが、その姿勢が素晴らしいのである。11Ｒにどんな足色で出てくるのか、注目しよう。
なお、地元勢ではほかに、北野輝季がやはり早くからギアケース調整を行なっていた。本多宏和と渡邉俊介もペラ調整に余念がなさそうだった。
さて、先ほど少し取り上げた西川昌希。昨日のスタート練習３本がすべてスローだったことは姫園が記しているが、その話を振るとニヤリと笑った。「まあ、どうするかはわからんです。足次第です」。それを聞いてこちらもニヤリ。知らされるより、知らないままワクワクと見るほうが、西川昌希のレースは楽しいのだ。ただ、感触が悪かった前検からは一変、「今日はワルないです」とのことだから、４号艇からの動きがあるかも!? 海野の動き、曲者軍団の山口のイン逃げに触発された西川が何を見せてくれるのか、本当に楽しみだ！（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 ＴＥＸＴ／黒須田）
