BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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常滑ヤングダービー初日トピックス

 文字通り風雲急を告げるボートレース常滑。台風接近の影響で、午後になると風が強くなり、瞬間的には風速10mを記録する荒れ水面となった。悪天候を受けて、7Rからは安定板を装着、10Rからは2周戦に変更。さらに12Rの展示航走の直前に、風速20mの風が吹き荒れて、水面回復まで待機するなどの措置が取られながら、レースが行なわれた。

 

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 嵐の水面を沸かせたのは、開会式でも会場を盛り上げた、謎のマスクマン3人衆。そう、クセモノ軍団だ。

 

 まずは2R。選手紹介でセリフをド忘れする失態をおかした山口達也が進入で動き、「♪まくりより~普通のイン逃げが好き~」と歌っていた荒井翔伍のインを奪い去る。ねじ伏せるようにコースを取ったため、90mの深い進入になるのだが、ここからコンマ06の好発を決めて逃げ切り勝ちをおさめた。

 

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 山口に続いたのが8Rの西川昌希。スタート展示でも動いたのだが、このときは1枠の上野真之介に強固に抵抗される。スタ展は2コースまでかと思いきや、上野があけた懐にクルリと艇を向けてインを取ってしまう。スタ展とはいえ、ふた昔前のベテランのイン屋を彷彿させるような進入。さすが枠なり3対3が常識の江戸川でもコースを取りに行った男である。

 そして本番。スタ展では抵抗をみせた上野が「三重の狂犬には付き合っていられない」とばかりにイン争いから早々に降り、西川にインが転がり込んでくる。だが楽インにはならなかった。この時間帯はすでに風速8mの強い追い風が吹いており、艇が前へ前へと流されていき100m線を切ってしまう。しかしここからが西川の真骨頂。深起こしも強風もなんのその、他選手を半艇身出し抜くコンマ10のトップスタートからの逃げ切り勝ち。ターンマークはハズしたが、それでも宣言通りにニュージェネレーション篠崎仁志を押さえ込んで一本を取った。

 

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 西山貴浩は5Rと11Rの2回走り。山口や西川とは違い「さすがクセモノ」と唸るようなレースはなかったが、5Rは2枠で3着、インコースの11Rではいったんまくられそうになりながらも、バックで伸び返して1着。2枠&1枠の初日でキッチリと着をまとめた。本日は大暴れとはいかなかったが、外枠に入る明日以降は何か秘策が飛び出すかもしれない。

 

 この3人の機力評価だが山口は平凡。2Rは後続に競り掛けられながらの辛勝、7Rでは見せ場なく6着に敗れている。明日以降、人気を背負うようなら割引が正解だろう。西川のエンジンは出足が優秀で、レバーを握った後の反応が良く、スタートも決めやすい。オッズ次第だが明日以降も追いかけていきたい一人である。最後に西山だが、今日のレースでは足色の判断が難しい。ただ、飛び抜けて足がいいわけではなさそうだ。

 

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 エースモーター17号機の小坂尚哉は6Rで差して1着。6Rは2コースと3コースがヤリ合って外に流れるという展開利もあったが、4コースから最内を突いて先頭に並びかけたときの足はやはり鋭かった。ただし、スリット付近の足は、16号機(渡邉俊介)の方が上回っていたようにも感じた。むろん、追い風7mなので、ダッシュから行ってもたいして伸びないという面もあったのかもしれない。上位級は間違いないが、展開不問で勝てるエンジンなのか、それとも死角があるのか。ジャッジを下すのは台風一過の明日にしたい。

 

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 前検で注目穴選手にあげた選手では、前述の西川に加えて、山田康二と島村隆幸の2人の足が優秀。渡邉俊介も悪くなかった。

 山田康二はF2本持ちにもかかわらず、1Rは1周2マークで鮮やかに展開を突いて1着、6Rも3着にまとめた。4枠5枠で好成績を残したため、準優勝戦の好枠も視野に入っている。あとはF2といかに向き合っていくかがカギになるだろう。

 

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 4R1回走りの島村隆幸は1周2マークで5番手になったが、ここから徐々にポジションを上げていき、最終的には2着に食い込むという大立ち回りを演じてみせた。これは本人のターン技術に加えて、上級のエンジンパワーがなければできない芸当。昨年のヤングダービーはF2の影響で思うようなレースができなかったが、今年はその鬱憤を晴らす。

 

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 昨日名前をあげていない選手では、5枠6枠の試練を2着1着でまとめた宮地元輝がノリノリ。結果はイマイチでも、スリット付近の雰囲気がよかったのが海野康志郎。体重が減れば、さらに鋭さは増すことだろう。

 

 現在の機力上位と見立てたのは以下の5人。

 

★機力上位選手

小坂尚哉(17号機)

山田康二(14号機)

島村隆幸(59号機)

渡邉俊介(16号機)

宮地元輝(41号機)

 

 ただし、本日の10R以降に出走しているメンバーは、強風、安定板、2周戦なので、足の判断は難しい。明日のレースで全貌が見えてくる……と思う。

 

(TEXT・代打姫園 PHOTO・中尾茂幸)