BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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常滑ヤングダービー2日目トピックス

 常滑がいつもの顔を取り戻した。昨日とはうって変わって、今日はユル~い向かい風が吹く水面。こうなると常滑はインが強い。本日も合計7本のイン逃げが決まった。

 普段どおりのコースなので、モーターの相場も見えてきた。

 初日終了時点にあげた機力上位はやはり優秀。本日の成績は、

 

小坂尚哉 ②④

山田康二 ③

島村隆幸 ⑤

渡邉俊介 ③

宮地元輝 ①

 

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 小坂の4着は大外枠、島村の5着は捨て身でまくり艇をブロックしたため。おおむね結果を残している。

 ここに名前をあげた5選手のうち、3選手がそろったのが3R。インの宮地が(ここまでの)今節トップタイムの1分48秒5で逃げ切り、小坂が2着で渡邉が3着。4着以下に大きく水をあけた。 

 基本的にこの5人、なかでも小坂と宮地がトップ2と考えている。ただ、この5機はスペシャリストではなくゼネラリストなエンジン。小坂、山田、島村は伸び、宮地と渡邉は出足や行き足を中心に、それなりにまとまっている感じだ。

 

 

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 行き足だけなら篠崎仁志がトップクラス。初日の1着2着はテクニックによる部分が大きいのではないかと考えていたが、本日7Rで披露したスリット付近の足は強烈だった。4カドからあっという間に1艇身出切って、3コースと2コースをなで斬り。「まくらせない男」島村の捨て身の抵抗に遭ったためアタマまで突き抜けることはできなかったが、あの行き足は武器になる。

 ただしバックで北野輝季や遠藤エミと先頭を並走しながら、徐々にポジションを落としていき4着に敗れたのは、伸びが足りないからではないか。準優進出は堅そうで、伸びがくれば優勝も狙えるエンジンに育つ。

 

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 伸びトップクラスは前検一番時計の今井美亜。6Rではターンスピードに優る桐生順平と熾烈な2着争いを繰り広げての3着。10Rはバック6番手から内をスルスルと伸びて1周2マークでは4番手に浮上。さらにホームでも内から伸びて2周1マークを先取りし、2番手争いに食い込むまでにポジションを上げた。ターンを漏らして最終的には4着に負けたが、あの伸びには目を見張るものがあった。

 ただし今井美亜はF2。しかも後伸びっぽいところがあるエンジンなので、あと2日のあいだに、この武器をうまく使いこなせるかどうか。

 

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 2日目終了時点で得点率トップに立った遠藤エミのエンジンも悪くはないが、展開や番組に恵まれた面も大きい。4枠5枠の明日が試金石になる。

 予選2位の桐生順平は、ここまでの成績が、機力なのか腕なのかよくわからない。本日の11Rも伸びる気配を見せた後、尾嶋に追いつかれ、バックでも山口や平田を突き放せなかった。エンジンが良ければ、もっと圧倒的な差をつけて勝っていたようにも思える。

 

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 本日のクセモノ軍団はサッパリ。西山貴浩は5着、山口達也は1枠で4着、西川昌希は6着2本を取って、おおきく得点率を下げた。

 しかし着順は悪くても、クセモノがいるとレース自体が締まる。

 7Rには西川昌希が3号艇で登場した。ピット離れは6選手ほぼ互角。3枠西川はとくに動く素振りをみせていなかったのだが、1枠島村隆幸と2枠遠藤エミが警戒した分だけ、早目にコースに入ることになり、1&2コースが100m起こしになる。

 これで枠なり進入がほぼ確定したのだが、西川はすぐにはスリットに向かず、ギリギリまで艇を流している。そして、西川が艇を向けないので、4枠の篠崎仁志もダッシュに引かない。早目にダッシュへ引くと西川に3カドを取られるリスクがあるからだ。最終的にスロー3コースに入るのだが、150mの助走距離を確保することに成功する。

 進入結果だけをみると、7Rはごくごく平凡な枠なり3対3。しかしこれは予定調和の枠なりではなく、ギリギリの駆け引きの末にできた枠なりだったといえる。

 

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 そしてこの進入がレースの行方にも影響を与える。深くなった分だけスロー2艇のスピードの乗りが悪く、そこに4カド篠崎仁志が絞りまくりを浴びせる。まくらせない男・島村隆幸がそれに大抵抗し、ガラ空きになったターンマークのそばを回った遠藤エミが先頭に立ち、大穴が飛び出した。

 

 ヤングダービーにはクセモノ軍団のほかにも、スキあらばコースを奪おうとする隠れクセモノもいる。明日以降も、進入から緊張感のあるレースを展開してほしい。

 

(TEXT・代打姫園 PHOTO・中尾茂幸)