BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――レース後の表情

 

 

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 SG復帰戦となる今垣光太郎が苦戦気味。1Rは5着大敗で、これで2走ゴンロクである。レース後はさすがに露骨な落胆ぶり。真っ赤な顔でうつむいていた。もっとも、今垣はレース後の喜怒哀楽……というか、敗れた際には心中がそのふるまいにあらわれやすいタイプ。今日の光景を見て、「光ちゃんがSGに戻ってきた」なんて感慨も浮かんだりするわけである。いや、本人はそれどころじゃないわけだが、危機感、焦燥感はその様子にありありだ。

 

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 同じレースの齊藤仁も、今垣ほどではないが肩を落としている様子が見て取れた。2着の目がないわけではなかったから、3着で安堵してなどいられなかったか。齊藤は開会式で「己を変えるために来た」と宣言した。それがどういう意味かはともかく、これはなかなかの決意表明である。実際のところ、ピットでの齊藤の様子は以前とはかなり変わってきたように感じる。それは今節に限らず、今年に入ってから頭の片隅にあった感想だ。簡単に言えば、表情が鋭くなった。好漢・仁ちゃんの顔より、勝負師・齊藤の顔がより濃く出るようになったというか。2走して、結果らしい結果が出ていないと同時に、己をまだ変革できていないという感覚があるだろうか。うつむく齊藤を見ると、そんなふうに思えたりもする。

 

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 敗れた落胆をそれほどあらわにしていなかったのは、江口晃生。本当は、1号艇でまくられての大敗という事実、あるいは道中で着を落としていった展開に、不満はたっぷりと抱いているだろう。しかし、江口はひたすら苦笑いを浮かべ、おっかしいなあ、てな雰囲気を醸し出していた。後輩たちが次々と頭を下げてきても、明るく返す江口。まくった太田和美が親し気な笑顔で「江口さん、すみませーん」と振ってきても、笑みを絶やさずに言葉を返している。これ、逆に「めっちゃ悔しがってる様子」なのかもしれないですね。笑ってやり過ごすしかない敗戦は、ある意味相当にキツいものであるはずだ。平常を保っていられるのは、百戦錬磨の江口だからなのかもしれない。

 

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 一方、江口をまくった太田和美は、その江口と言葉を交わした際には笑顔だったが、ピットに戻ったときにはやけに真剣な表情になっていた。会心の2コースまくりだったはずだが、そうした快哉は見当たらない。その様子を見てのことなのか、出迎えた松井繁も笑みを浮かべることなく、どこか深刻そうにも見える雰囲気で太田と言葉を交わしていた。考えられるのは、まだ仕上がりが足りない、というようなことだろうが、結果に一喜一憂しないあたりに太田の貫録を感じたりする。

 

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 1Rを逃げ切った西村拓也はホッとしたような表情を見せた。白水勝也の差しに迫られた場面もあり、振り切れたことへの安堵はあっただろう。こちらは笑顔というわけではないが、かなり明るく対戦した先輩たちに頭を下げて回っていて、そこには若者らしさが見えた。とにもかくにも、これで巻き返しに成功。目立てなかったヤングダービーの鬱憤を本家ダービーで晴らせ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)