BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――チャレカならでは

 

f:id:boatrace-g-report:20171227150818j:plain

 1R展示後にピットに入ったら、実に閑散としていた。今日って3日目だっけ? SG3日目の朝は、緩やかな空気に支配されていることはよくある。しかし、2日目からここまで静かなのは珍しいと思う。本体整備をしている選手もいない。プロペラ調整している選手はたくさんいるが、それは日常的なことなので、整備室、装着場がガラガラになっていると、実に閑散と感じられるわけである。

 やはりチャレンジカップは、調整の推移も早めに巻き上がるということか。前検で平本真之が本体を割っていた話を書いた。平本に聞いたら、「初めてです」。選手生活で前検に本体整備をしたことがない平本が、早々に取り掛かった。それだけ感触が悪かったということもあるだろうが、これが“ラストチャレンジ”ということでもあろう。その整備で足は上向いた。「普通くらいになった、って感じですけどね」と言うが、あと1つランクを上げればトライアル1st免除となる身にはそれは決して小さいことではない。仮にベスト6に入れなくても、7位キープはトライアル1st初戦の枠番を考えれば、非常に重大な意味をもつ。前検での整備は、チャレンジカップならではの気合のあらわれなのだ。

f:id:boatrace-g-report:20171227150839j:plain

 勝負手に出るタイミングも早めになる? 2R、森高一真が前付けに出た。6号艇の森高は前付けが普通にあるが、しかし序盤の6号艇はわりとこだわらないケースが多いように思う。実は6コースも苦手じゃないのだ。初戦6着で、ここは早くも勝負どころと踏んだのか。深い起こし上等の前付けには、たしかに気合が感じられた。

 森高自身は、その気合を称えても、道中も気合満点の走りで最後に逆転3着浮上を果たしたことについても、決して満足しない男だ。勝つために前付けした。だから勝てなきゃ意味がない。ピットに上がってきた森高は、露骨に顔をしかめた。眉間にグッとしわを寄せて、何しろあの風貌だから、実におっかない顔を作っていた。深い起こしに付き合わせた松田大志郎に頭を下げたときには平常な顔になっていたが、そうしてひと通り対戦相手に礼を尽くしたあとにはふたたび鬼の形相。これもチャレンジカップらしい光景と映る。

 やはり気持ちがストレートに伝わってくる(と感じられる)レースは面白いっすね。チャレンジカップはそんなシーンがあちこちに散りばめられているのだ。

f:id:boatrace-g-report:20171227150902j:plain

f:id:boatrace-g-report:20171227150918j:plain

 ともあれ、とにかくピットは閑散で、プロペラ調整していた選手をあげればそれで文字数は稼げるけれども、なかなか目立った光景は少ない。というわけで目につくのは、装着場で会話を交わしている選手たち、であって、今朝は男女のコンビが目立つのだった。

 たとえば、山口剛と長嶋万記。これは同期生である。91期生だ。三浦永理がSGにいるときには、山口&三浦という組み合わせもよく見ており、この期の仲の良さが伝わってくる。

f:id:boatrace-g-report:20171227150935j:plain

f:id:boatrace-g-report:20171227150951j:plain

 原田幸哉と川野芽唯という組み合わせは、昨年のチャレンジカップでもよく見かけた。川野は瓜生正義と同門。そして瓜生と原田は同期。その関係もあって、原田も川野をかわいがっているようだ。昨日も書いたけど、強い男子の先輩との接触は、絶対に無駄にはならないはず。川野の躍進はもちろん本人の努力あってのことだが、そこにこうした先輩のエッセンスも確実に加えられていると思う。

f:id:boatrace-g-report:20171227151014j:plain

f:id:boatrace-g-report:20171227151030j:plain

 岡崎恭裕と小野生奈は、同支部の先輩後輩。岡崎がボートに乗り込んで作業しているところに小野が声をかけたようで、岡崎はボートに乗ったまま、小野と話し込んでいた。二人とも明るい表情で、遠目には談笑しているように見えるのだが、岡崎が時折モンキーの態勢をとってみたり、両手を艇に見立てていたりしているので、岡崎が何らかのアドバイスをしているようだった。ヤングダービーでは岡崎と渡邉優美の組み合わせを見ているが、確固とした考え方をもつ岡崎の言葉は、彼女(たち)にとって間違いなく金言である。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)