BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@シリーズ――不満!

 

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 なんだか原田幸哉が不満そうなのである。シリーズ組では良機といわれる31号機を引き、ここまで②①②着で暫定2位(トライアル1stからシリーズに回ってくる選手を除く。と言いつつ、それを含めても暫定2位)。決して悪くはないと思うのだが、本人は納得しない風情なのだ。青山登さんと話し込んでいたとき、ちょうどペラに目を落としながら深刻そうに顔をしかめる原田が通りかかった。青山さんが声をかけたら、「ぜんっぜん」と言って歩き去る。まるで冴えない顔つきである。

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 弟子の柳沢一が不満そうなのはわかる。ここまで④⑤③着と苦戦気味で、目立つ足色でもない。8R3着の後、柳沢はモーターを格納せずに試運転へと飛び出していったが、それも理解できる現状である。試運転を終えたあとには、整備士さんと話をしているところも見かけた。整備に着手する可能性もあるだろう。

 しかし原田の成績はまったく正反対と言っていいし、今日のレースぶりもそこまで悪かっただろうか。原田のハードルがあまりに高いのか。あるいは、このモーターならもっと出ると確信し、しかしそこに到達していないのか。いずれにしても、原田が求めるところは高いところにはありそうだ。それはもちろん、頼もしい欲求である。

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 柳沢が試運転をしていたと書いたが、渡辺浩司もレース後に試運転を走ったひとりだ。現場を目撃したわけではないのだが、ボートのカウルに「試」のプレートをつけたボートの後方で、モーターを装着しているような動きの渡辺を見たので、整備をしてから水面に出たものと思われる。ここまでゴンロクを並べてしまっている渡辺は、なんとか巻き返しを図らんと懸命なのだ。渡辺といえば、現在最多勝レースでトップを走る。2位が、やはりシリーズに出ている徳増秀樹で、今節はいわば直接対決だ。7勝差をつけている渡辺はほぼ当確に近いと言うべきだが、徳増が残りを全部勝ったら……なんてことを考えたら、ひとつでもふたつでも上積みしたいですよね。まあ、それを考えての整備なんてことはありえないわけだが、結果を求めて渡辺は奮闘しているということだ。その蓄積が、最多勝争いをリードするまでの成績につながっているのは間違いない。

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 レース後の試運転を走るといえば、SGでは恒例のシーンが「女子選手が遅くまで走っている」。今日も遠藤エミと小野生奈が西日が傾くまで延々と、水面を駆け続けていた。遠藤もそうだけど、小野は完全に常連の「試運転ランナー」ですな。毎度書いていることだけど、感服するしかない。

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 で、松本晶恵はといえば、この輪には加わらないものの、プロペラ調整に懸命である。そして、ペラ室を覗くと、松本の前にはたいてい、毒島誠がいる。毒島が松本の作業を見つめているときもあるし、毒島の言葉にまっすぐな目で松本が聞き入っているときもある。女子が大舞台でトップレーサーと絡むのには意味があるんじゃないかな、みたいな話を何度か書いてきたが、これはもう極め付きでしょう。毒島のエッセンスをおおいに浴びて、初SGを頑張れ! それはきっと、このあとの平和島にも生きるはずである。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)