BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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GPトライアル2nd第2戦 ダイジェスト

瓜生の流れ

 

11R

①坪井康晴(静岡)08

②松井 繁(大阪)12

③瓜生正義(福岡)15

④桐生順平(埼玉)09

⑤篠崎仁志(福岡)10

⑥池田浩二(愛知)11

 

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 坪井15号機がしっかり逃げきって、昨日の惨敗のリベンジを果たした。進入は池田がやや動く気配を見せたものの、他艇がブロックして123/456の枠なり3対3。楽な起こしからコンマ08のトップスタートで坪井が主導権を握る。ただ、4カド桐生もしっかり踏み込んで、内の瓜生を半艇身ほど出し抜いた。このまま締めきれば相当な脅威ではあったが、瓜生が敢然とブロックしてその破壊力は半減した。1マークをくるり旋回して、坪井の勝ちが不動のものとなった。

 

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 一方、展開に恵まれなかったのが2コースの王者・松井だ。小さく差して2番手確保かと思われたが、遅ればせながら全速でぶん回した桐生の舳先が追突。そのまま艇が乗りあがった反動で大きく外にのけぞった。桐生も失速を余儀なくされて最後方へ。そんな消耗戦を尻目に、桐生をぴったりマークした仁志が5コースから一瞬にして抜け出した。展開の利といえばそれまでだが、そのターンスピードには目を瞠るものがあった。

 あっさりの逃げきりだったので、今日の15号機がどれほど強力だったか言及するのは難しい。展示タイム6.69と勝ち時計1分47秒3を踏まえれば、やはり非凡なパワーだったとは思う。明日は5号艇で、初めてのダッシュ戦になる可能性は高い。そこで15号機がどれだけ底力を発揮するか、でファイナルor順位決定戦の行き先が決まるだろう。

 

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 2着・仁志も展開を突いた瞬間に2番手を完全に確保したのでパワー云々は分かりにくい。それより、やや凹んだスタートから桐生の攻めをブロックし、窮屈な態勢から巧みなターンワークで3着を獲りきった瓜生の足がかなり強力に見えた。ここ1年ほどの瓜生は「ストレートは上々も回り足が一息」という仕上がりが多かったのだが、直近は課題だったサイドの掛かりも来るようになった。今日はまさにその部分が反映されており、パワー的な不安はほとんどないと言っていいだろう。うん、昨日はズッポリの差しきりにも「?」の疑問符をつけたが、今日は「行き足を中心に全部の足が強めの上位~抜群レベル」の評価を与えたい。足よし腕よし運よしリズムよし……明日逃げきれば、ファイナル1号艇に大きく前進する瓜生。それが実現したら、私は「戦車に竹槍」の悲壮な決意で瓜生を無印にすることだろう(←ダービー時の約束)。

 

超変則・2段まくり!?

 

12R

①井口佳典(三重)21

②太田和美(大阪)23

③石野貴之(大阪)16

④山崎智也(群馬)18

⑤菊地孝平(静岡)10

⑥辻 栄蔵(広島)14

 

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 これぞデジタルスターターの真骨頂。記念では5、6コースまくりがほとんど決まらない住之江水面で、特大の花火が打ちあがった。進入は穏やかな枠なり3対3。強力な攻め屋が3~5号艇に並んだので、6号艇の辻も「展開あり」と読んだのだろう。ピットアウトから早々に艇団を離れ、「菊地さん、僕の内でしっかり助走を取ってください」と言わんばかりに真っ直ぐ大外へ向かった。そして、この判断は正鵠を射ていた。

 12秒針が回って間もなく、スタンドがざわめいた。スロー勢よりダッシュ勢が、いや、5コースの踏み込みが突出して見える。菊地だ。突出したまま、菊地はスリットを通過した。通過して、迷わず絞め込んだ。4コース智也が、舳先だけで抵抗した。構わずに絞め込む菊地。それでも舳先を抜かない智也。意地と意地の衝突。結局、智也は完全にまくり切られるまで舳先を抜かなかった。「連覇しに来ました」の決意と覚悟を身体で示した。

 

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 たまらないのはスロー3艇だ。菊地の絞めまくりだけでなく、舳先を掛け続けた智也の引き波もモロに浴びた。1マークでは完全に死に体と化し、極端に言うならエンスト状態から再起動するほどのダメージに見えた。菊地が悠然と突き抜け、それをシナリオ通りにマークした辻が差し抜け、抵抗しながら“変則2段まくり”を打った智也も追随した。5-6-4!! 最近の住之江の記念で、これほど圧倒的なアウトセットはいつ以来だろうか。ボートレースはスタートが命。その大鉄則を改めて痛感させたのは、やはり天下無双のスタート野郎・菊地孝平だった。

 その後の菊地がまた凄い。一人旅に持ち込んでからも、脇目も振らずに走る走る。明日、誰かしらと着順点が並んだときのために、タイムアタックをしていたのだろう。その勝ちタイム、1分46秒3!! 今節のここまでのトップ時計1分47秒1(茅原だ)を大幅に更新してしまった。もちろん、これだけの時計はシャカリキに走っただけで弾き出せるものではない。十分なパワーの裏付けもあっはずだ。菊地自身が前検から「超抜」と宣言し続けてきたが、それを実証するに値する猛時計だった。

 

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 2着の辻にもあっぱれを贈りたい。今節の辻の進入は初日から4・5・5・6コース。住之江では絶望的なコース取りだと思うのだが、昨日の5着を除けばすべて1マークで鋭く展開を突きバックでぐいぐい伸びて2着を獲りきっている。今日も6コースを悲観することなく、菊地の外から嬉々として展開を突いているように見えた。そのしたたかさ、先読みの鋭さはまさに忍者と言うべきか。明日の辻は4号艇。もはや、「抽選運に恵まれない」などと言うつもりはない。

 

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 さてさて、今日のトライアル2戦を終えて、菊地がトップに浮上した。明日の12Rで1着なら文句なしのトップ当選なのだが、抽選で引き当てた枠番は6号艇。得点2位の瓜生が1号艇とその明暗は大きく分かれた。11Rで瓜生が1着なら、菊地のトップ条件もまたメイチの①着勝負となる。明日の菊地は、11Rの瓜生や石野の着順を見極めた上で、6号艇での戦略と覚悟を決めることだろう。スタートだけでなく、ピットアウトから目が離せないキーマンになることは間違いない。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)