BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島クイクラ・トライアル第1戦 ダイジェスト

黒の強襲

 

11R

①海野ゆかり 26

②小野生奈 15

③平山智加 19

④寺田千恵 12

⑤樋口由加里 12

⑥中谷朋子 11

 

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 昨日の前検では「中谷、寺田がそこそこいい気配、逆に樋口がちょっと厳しくて、他はあんまり変わらない感じ」と見立てて海野に◎を打ったのだが……スタート展示を見た瞬間、嫌な?予感が走った。小野と平山が、海野を置き去りにするように伸びて行った。で、平山は明らかに早起こしだったのだが、小野は海野より少しだけ早い程度。なのにスリット付近で突き抜けるように出て行った。展示タイムを見て、さらに心に暗雲が宿る。海野が6.72で小野が6.56……大差だ。大差すぎる。

 

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 〆切直前、私は予想通りの1-6の他に2-6を買い足した。それほど気になる足色&時計だった。そして、小野はその不気味な気配どおりにスリットで突き抜け、海野を軽々とまくりきった。その要因を「海野のドカ遅れ」で片づけることもできる。ただ、今日の2コースまくりはすべて外の艇に差されたり2段でまくられたりで勝ちきれなかった。バック直線、生奈も寺田の差しを浴びそうになったが、逆に突き放した。間違いなく、今日の生奈の足は伸びを中心に超抜レベルだった。昨日は2コースから他と同じくらいにしか見えなかっのに……おそらく、小野は新型エンジンでの“正解”を掴んでいるのではないか。最近のレースでの充実ぶりも含めて、そう感じた。もちろん、明日の4号艇でもこのパワーは脅威の一語。スタート特訓から大いに注目するとしよう。

 

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 2着・寺田のパワーも上々。直線では小野の鬼足に突き放されたが、ターン回りも含めて確かな安定感を感じた。明日の1号艇でもこのバランスの良さは大きな武器になるだろう。

 で、私(それから多くの地元ファン)がもっとも期待している中谷70号機は、見せ場を作ることさえできずに6着大敗。展開がなかった点には同情できるが、さっぱり追い上げが利かなかった部分は残念と言うしかない。このままファイナル争奪戦から脱落してしまうのか。厳しい黄信号を脳内に点しつつ、明日もこのエース機の動向を見守り続けたい。

 

黒の驚襲

 

12R

①遠藤エミ 07

②松本晶恵 09

③長嶋万記 09

④竹井奈美 08

⑤日高逸子 11

⑥山川美由紀 13

 

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 11Rは生奈の鬼足に驚かされたが、こちらはレース展開そのものに驚いた。1マークまで遠藤エミのレース運びは完璧に見えた。直前のスタート特訓&スタート展示でコンマ10ゼロ前後をビシビシ決め、本番も切れのいいトップスタートを決めた。1マークまでの行き足も上々だったし、インモンキーにも大きなミスは見当たらない。強い向かい風を意識して強めに握った可能性はあるが、今日の水面ではそれが正解でもあったはずだ。

 

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 だがしかし、ターンの出口で2コース松本晶恵の差しが完全に突き刺さっていた。これが、今日イチのサプライズだ。日中5~10mほどの向かい風が吹き荒れた平和島で、2コース差しは壊滅的な失敗を続けていた。セオリーどおりだ。ターンマークを右に振っている平和島では、2コースは窮屈な差しを強いられる。そこに向かい風を浴びると、まったく前に進まず外の艇の引き波にハマッて後退する。今日も2コースは苦戦し、ここまでの勝者は先の小野だけだった。そんな水面で……小さく差した松本の艇は、向かい風を裂くように力強く前進していた。うーーん、ちょっとありえない。15号機は3カ月ほど前まで70号機に次ぐ準エース機と評されていたが、そこから気配が徐々に落ちている「危険な人気モーター」だ。少なくとも私はそう鑑定していた。その15号機が、唯一の2コース差しを決めるとは。遠藤エミ49号機(=これも私の期待の一基)のイン戦で。うーーーーん。明日も松本は2号艇。直線に比べて回り足の見立てはいささか厄介なのだが、明日はその部分を怠りなくチェックしなければならない。それが舟券の当否に関わる可能性は高い。

 

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 1マークに戻る。遠藤は3コースからまくり差した長嶋にも舳先を突っ込まれていた。それも謎といえば謎で、エミのターン足~出口のレース足が松本・長嶋に劣っていたのかもしれない。それとも、見た目にはわからないターンミスがあったのか。とにかく、評判機のひとつである長嶋60号機の足色もしっかりして見えた。道中のエミ49号機とのボートチェイスは迫力満点。最後はエミの意地の強ツケマイに屈したが、充分に戦えるレベルだと思う。

 竹井、日高、山川は上記の3人からターンマークごとに引き離され、縦長かつ大差で重い着を分け合った。前検の見立てより「実戦では優劣が極端だった」と感じられたし、「明日以降の巻き返しが可能だろうか?」といささか心配になるような置かれ方ではあった。単なるコース負け、ならさほど問題はないのだが……。

 

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 蛇足のような扱いで申し訳ないが、シリーズ戦についても少々。今日は池田浩美の連勝などが目立ったが、インパクトという面では7R堀之内紀代子がブッチギリだろう。6コースからひとまくり。いや、あれは「まくり」じゃなかった。スリットで内5艇を1艇身半~3艇身ほど出し抜き、1マークのはるか手前で簡単に全艇を絞めきってしまった。見た目のターンは、もはや「イン逃げ」に近いマイシロ&旋回だったな。6コース・イン逃げ(笑)。もちろん勝因は「スタート勝ち」なのだが、強力な行き足~伸びがあればこその離れ業。明日以降も堀之内まくりには要注意!

 

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 パワー評価は昨日からあまり変わっていない。ただ、昨日は抜群だった渡辺千草が今日はまったく回転が合っていない印象で時計&レースともに大幅ダウンした。立て直しに注目したい。代わって行き足~伸びがきたのが本部めぐみ。スリット付近でスーーッと伸びるパワーは明日も警戒しておきたい。倉田郁美も素晴らしい足だと思うのだが、初日からありえないようなスタート負けが続いている。練習では何の不安もなさそうで、気持ちの問題だと思うのだが……どこまで続くかドカ遅れ。重い着順で人気を落とすようなら、一撃の大穴を狙ってみたい。番付を記しておきます。

 

SS級…垣内清美、堀之内紀代子

S級…藤崎小百合、倉田郁美

A級…水口由紀、山下友貴、今井美亜、本部めぐみ

張出A級…渡辺千草

(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)