BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ

 

f:id:boatrace-g-report:20171228193949j:plain

 朝から強い追い風が吹く初日の津。1Rから安定板装着でレースが行なわれた。ただし、1R発売中にはやや風が収まり、ピット前の水面は落ち着いているようにも見えていた。ピットに、選手班長の森竜也を呼び出すアナウンスがかかる。森が競技本部へと向かって数分、ふたたびかかったアナウンスは「3Rから安定板を外す」旨のものだった。

f:id:boatrace-g-report:20171228194004j:plain

 一気にピットがざわつく。3R以降の選手は安定板をつけて調整をしており、まずは外す作業をしなければならない。選手が次々に係留所や装着場にあらわれて、その作業を始めたのだ。一方で、1マーク側の水面はまだ荒れている状態であるという指摘も沸き上がっていた。濱村芳宏が1マークのほうを見やりながら、それに同意する。結果、訂正アナウンスが入って「安定板は3R以降も引き続き装着」との旨が伝えられた。すでにいちど外していた選手たちも、すかさず再装着。ピットにカチャカチャという金属音があちこちで聞こえていた。

 そうした一連の流れのなかで、森班長は奔走! こういう日は、班長はひときわ多忙となるわけだ。今朝、たまたま上瀧和則選手班長とタクシーに同乗してレース場に入ったのだが、強まる風雨を心配しつつ、「森班長なら大丈夫だ」と信頼を寄せる言葉を上瀧会長は口にしていた。班長、ご苦労様です! レースのほうも応援します!

f:id:boatrace-g-report:20171228194021j:plain

 というわけで、朝から雨が降り続き、風が吹く初日なわけだが、匠たちは雨にも負けず風にも負けず、調整作業や試運転に励んでいた。レディースオールスター時に女子選手の熱心な試運転について記したが、初日の朝ということもあり、匠たちだってその姿勢に変わりはない。印象的だったのは、三嶌誠司の顔つきがいきなり変わっていたこと。昨日の前検日は、こちらの顔を見るたびにニコニコ顔を向けてくれたが、今日は目つきが完全に勝負師のそれとなっている。厳しい顔で作業をし、雨を受けながら試運転に向かう。ベテランたちの同窓会にも似た空気を、三嶌はまるで味わう気はなさそうに見えた。

f:id:boatrace-g-report:20171228194037j:plain

 1Rは、マスターズデビュー戦と銘打たれ、48歳の選手6人が組まれる番組だった。勝ったのは市川哲也! SG4冠、グランプリウイナーでもある市川が、マスターズの第一歩を力強く踏み出した。レース後は、やはりゴキゲン! 西島義則や北川幸典ら先輩とともに、大きな笑顔を見せていた。二人と別れると、キリリ表情は引き締まったが、気分よく初戦を戦い終えたのは間違いない。今節、グランプリ覇者はこの人だけ! “格上”の走りを見せつけてくれそうだ。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)

 

f:id:boatrace-g-report:20171228194052j:plain

 調整はプロペラとギアケース、大きな整備をしている選手はいませんでした。吉田隆義も真剣な表情でギアケース調整。