モーター抽選会場に行く前に一言。瓜生正義が勝った昨年10月のダービーからはや7カ月、その間に福岡のモーター相場は激変した。ダービー当時、2連率73%で「絶対エース」と言われた59号機は、今や見る影もなし。「福岡の主」として知られる西日本スポーツ森大輔記者の閻魔帳には「C」の文字が刻まれている。つまり、中堅ど真ん中。
で、59号機の次に超抜モーターとして大暴れした68号機も、ペラ交換から一気に下降して「C」ランク。この“旧ツートップ”は未だに2連率50%前後を維持しているものの、もはや往年のパワーはないと思っていいだろう。むしろ、長きにわたって準主役&脇役に甘んじてきた15、28、29、46号機の4基が、福岡の四天王というべき活躍を見せている。
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と、上記の情報を念頭に入れつつ、モーター抽選へGO! 中に入ると、会場のあちらこちらから「29」という言葉が漏れる。やはり……四天王の中でも森記者が唯一の「S」に指名している29号機が、断然の一番人気に推されているようだ。で、この「29」を含む四天王が、出ないこと出ないこと。半分以上の選手がガラポンを終えても、1機たりとも出てこない。当然、残された選手たちの当選確率は上がっていくわけだが、先陣を切ったのは……
石野貴之!!
ただ、石野本人は29号機だけを狙っていたようで、「28」と聞いた瞬間に苦虫を嚙みつぶすような顔を見せた。明らかに「ひとつ隣だったか……」という落胆の表情。が、席に戻って閻魔帳を眺めた瞬間、一気に顔がほころんだ。森記者のランクは「A+」。後ろにいた松井繁からも「ええやんかっ!」という明るい声が飛び出した。
で、この石野28号機から“四天王ラッシュ”の幕開けだ。何人かおいて、茅原悠紀が一番人気の29をゲット! もちろん、他の選手からの歓声、嘆声、奇声も凄まじく、その騒音?に囲まれた茅原はペコペコと頭を下げつつ自席へと戻っていった。そして、座った瞬間にニンマリ笑ってみせた。
さらに数人を置いて、今度は松井繁が46号機をゲット。破顔一笑、王者が豪快に笑うと、まだガラポンをしていない今村豊から「こんなん、やり直しやぁぁぁ!」と“野次”が飛ぶ。「そんなこと、言わんといてぇ」と王者。あっという間に銘柄3機が飛び出したわけだが、まだ15号機が残されている。
「よっしゃぁ!」
最後のお宝を引き当てて、派手なガッツポーズを繰り出したのは……これまた大阪支部の田中信一郎だった。ホクホク顔の信一郎はミスター今村豊にチラリ目をやってから「やり直しせんでよかったぁ」とチクリ。ガックリ肩を落としたミスターは、真っ白な灰になったような顔で無気力にガラポンを回したのだった。うーん、今節の抽選会は(も)大阪チームの独壇場だったなぁ。
あ、ちなみにカメラマンからもっとも激しいフラッシュを浴びていたのは、王者でも茅原でもなく、SG初陣の中村桃佳でありましたとさ!(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)