鬼夜叉、踊る。
わかっちゃいるが、やはり凄まじい女傑である。山川美由紀。昨日は相棒の24号機がワーストレベルと見るや、初戦の前にピストン2、リング4、シリンダーケース、キャリアボデー、電気一式を交換。なんとか6Rで3着に食い込むと、休む間もなくキャブレターを交換してさらなる上積みを目指した。どれだけ忙しい1日だったことか。
で、今日の3Rはまったく違う戦略で勝ちにこだわった。6号艇という遠い枠を嫌ってゴリゴリの前付け、2コース奪取。「6号艇が勝負と思っていた」(レース後のコメント)女勝負師の真骨頂だ。が、もちろん前付けで2コースを奪ったからといって勝利には直結しない。次なる切り札は、スタート勝負。2コースからコンマ11全速でインの新田芳美(コンマ17)に猛然と襲い掛かる。グイグイ艇を寄せて新田を攻め潰す様は、獲物を頭から喰らい尽くそうとする食虫花のようだったな。うーーん、白昼の鬼夜叉、恐るべし!!
あらゆる大きな整備を誰よりも先にやり尽くし、6号艇から前付けで2コースを奪い、スタート攻勢で強引にインを攻め潰す女子レーサー。この2日間で山川が魅せた一連の勝負術は、現在のほとんどの女子レーサーに不足している要素だ。長きに渡って男女混合の記念戦線で戦い続け、GI(四国地区選)を制した山川の“強さ”をまざまざと見せつけた2日間だった。水面では先輩も後輩も同地区も男女も関係ない。今日の山川の雄々しい背中を、若手の女子レーサーたちは己の目にしかと焼き付けてもらいたい。もっとも山川本人は「勝つために当たり前のことをしているだけ」と思っているはずだが……。
真夏の芦屋、部品交換の変!
昨日に続いて、今日も部品交換ラッシュ。2Rの谷川里江がピストン2個を換えたのを皮切りに、4Rの山下友貴がセット(=ピストン2、リング4、シリンダーケース。以下同)&キャリアボデー、5Rの池田浩美もセット交換、7Rの平高奈菜がリング4本、8Rの樋口由加里がキャリアボデー、9Rの平田さやかと川野芽唯もキャリアボデー、12Rの大瀧明日香がリング3本……出走表の「部品交換」欄にすべての情報が収まりきるのか、心配になるほどの交換ラッシュだ。昨日から特に目を引いたのはセット交換(のべ7選手)だったが、ついに良質のセットが売り切れたか(笑)、今日の後半あたりからピストンリング単体とキャリアボデーへと流れが切り替わった。このふたつの部品は交換作業が比較的簡単なので、明日以降も隆盛を誇るかも?
舟券を買う側からしても目が回るほどの慌ただしさだが、今のところ「劇的にパワーアップして超抜クラスに」という大当たりは見当たらない気がしている。まあ、ワーストから中堅レベルまで上昇させた前出・山川は「当たり」と言うべきなのだろう。
さてさて、こうした交換ラッシュも踏まえつつ、現時点での私の勝手な見立てを記しておきたい。まず、前検でのパワー鑑定はこんな感じだった。
SS級(節イチ候補)
★★★あっきー×49号機
S級(抜群候補)
★★岸 恵子×17号機
★★樋口由加里×31号機
A級(上位候補)
★三浦永理×41号機
★寺田千恵×47号機
★西村 歩×25号機
★守屋美穂×38号機
★宇野弥生×5号機
樋口由加里(回り足は上々だがストレートがかなり厳しい)と宇野弥生(うーん、全体にイマイチ)はいささか買いかぶりだったか。他の6人は、それなりに噴いていて降格するつもりはない。逆に加えるべきパワーは、こんなメンバーか。
★今井美亜×63号機…成績からバレバレだが、全部の足が強めで乗りやすそうでもある。大崩れが考えにくい好パワーだ。
★小野生奈×19号機…前検トップ時計そのままに軽快な行き足~伸び。まくり屋の気質にも合っており、十分に優勝を狙えるパワーだ。
★細川裕子×62号機…ターン回りから出口のあたりが強く混戦に強そうな足。タイプ的にはもうひと伸び欲しい。
★津田裕絵×27号機…伸びはソコソコも強烈な回り足。引き波を軽々と超えるイメージだ。
★五反田忍×11号機…展示タイムは目立たないが、実戦での行き足が強力。最近の絶好調ぶりを考えるに、何らかの調整方法を掴んでいるのかも?
他では日高逸子、堀之内紀代子、遠藤エミ、原田佑実あたりが上位候補か。まとめておくと
SS級/あっきー(全国の読者からの厳しいツッコミが見え隠れしますが、譲りません!!)
S級/岸恵子
A級/三浦永理、寺田千恵、西村歩、守屋美穂、今井美亜、小野生奈、細川裕子、津田裕絵、五反田忍
以上の11選手を推奨しておきたい。大穴パワーとして密かに応援している川野芽唯21号機=2連率20%も十分に圏内だと思っているが、あくまで“秘密兵器”として引き出しにしまっておく。準優あたりでガツンと!!
さてさて、今日のあっきーは……5号艇で3着ゲット! 12Rの厳しいメンバーの中、しっかりと捌きましたね。3コースの五反田がまくりきったときには「久々に極撰的中か??」と胸が高まりましたが、肝心のあっきーが千切れてしまった(苦笑)。それでもバック5番手あたりから、2マークでの切り返しは天晴れの一語。かの上州の大先輩で「ダンプ名人」と呼ばれた吉田稔を彷彿させるような鋭い切り返しだったなぁ。
今日も「枠番-2の法則」を守りきって、暫定7位という好ポジションに付けたあっきー。残された艇番は1・2・6で、明日の6号艇一発勝負がV戦線を左右する大一番になりそうですな。できれば「イーグルの法則」を超えるアルバトロス(枠番-3)以上の快打を放って、あさっての1・2号艇に向かってもらいたい。あっきーファンは、明日の4Rを見逃すなーー!!(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)