BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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若松メモリアルTOPICS 初日

天国パワーと地獄パワー

 

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 やはり凄かった、寺田祥52号機! 昨日の当欄でSS級に指名した寺田が、期待通りの鬼足を見せてくれた。とにかく驚いたのは、前半6Rだ。5コースの寺田は4カド・下條雄太郎の絞めまくりに連動しつつ、満を持してのまくり差し。絶好の展開だったが、このターンがややスカッた感じで突き抜ける勢いはまったくなかった。しかも、外に流れつつインから踏ん張った中島孝平に艇をぶつける格好になった。このケースでは、普通は流れて接触した方がその反作用で失速を余儀なくされる。

 あらら、3着も厳しいか。

 と思った瞬間、あまり見たことがない光景に出くわした。減速するはずの寺田がしっかり体を残して食い下がり、それどころかグイグイと舳先を突き出している。比喩ではなく、外を走る中島と下條が止まっているように見えた。2マークまでに2艇身は突き放しただろうか。そのまま豪快に2マークを先取りして、あとは悠然と一人旅。結局、寺田vs他艇の争点は1マークの出口付近だけだったが、あの驚愕のパワー差を見ただけで私は「間違いなく節イチ」と太鼓判を押していた。

 

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 後半の10Rは、ちょっとした因縁レースだった。2号艇の寺田に立ちはだかる1号艇は、毒島誠。そう、6月の周年記念で52号機とともに節イチロードを驀進し(準V)、つい昨日のモーター抽選会で「コレ(52号機)が欲しいよーー」と何度も繰り返した毒島である。あの切実なラブコールは、元カノに復縁を迫るような感じだったな(笑)。もちろん、52号機の超絶パワーを熟知している毒島にとって、この直接対決は笑い事ではない。スリットから2コースの寺田にジリジリ伸びられたが、コースの利を生かしてなんとか逃げきった。寺田52号機はと言えば、差しが漏れてバック4番手あたりから2マークで逆転の2番手浮上、さらにターンマークごとに前を行く毒島との差を詰め、「あわや逆転もあるか?」というところまで追いつめていた。展示航走も本番レースも全力疾走を心掛けている毒島にここまで肉薄するとは……改めて52号機=節イチの確信を深めた3周だった。

 

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 他のパワーも紹介しておこう。昨日、S級に推奨した平本真之28号機も期待に違わぬゴキゲンパワーだ。今日の2Rはスリット同体の6コースから、根っこ差しがまるで届かず出口付近ではまだ6番手。そこから最内を凄まじい伸び足で突っ走り、2マークを小回りしたらば2番手を取りきっていた。ゴールまでに先頭の魚谷智之を追い上げる足色も力強く、今日の時点では節ニの評価を授けておきたい。それぞれモノは違えど、若松にも「鉄人28号旋風」が吹き荒れることだろう。

 

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 Aランクに指名した石渡鉄兵64号機も上々の仕上がりだ。今日はあっさりのイン逃げで足色は測りにくいものだったが、スリットを過ぎてから1艇だけが突き抜けていく感じで、1マークまでに軽く1艇身以上のアドバンテージを取りきっていた。つまり、行き足から先の伸び足が強い。私はその伸びに惚れ込んでBB誌の◎にしたのだが、徐々に私の期待通りの破壊力を携えはじめている気がした。前々操者・石倉洋行と同じパワーになってくれれば、アンチ寺田52号機も夢ではないだろう。

 さらに2連率のエース53号機を駆る須藤博倫のレース足も申し分なかったし(もう「数字だけのエース機」とか「腐っても鯛」とか悪口は言いません!)、湯川浩司31号機の伸び足も随所に光ったし、ドリームを逃げきった白井英治の出足~行き足も安定した力強さを感じさせた。ただ、昨日推奨したパワーの中でたったひとり……もっとも下馬評の高かった深川真二30号機だけが、その片鱗さえ見せることなく5着に敗れ去った。スリットから1マークまでの足も、道中の足色も中堅ド真ん中という感じ。うーーん、絶対にそのレベルのモーターではないので、今はただ合っていないだけだと思うのだが……明日以降の巻き返しに期待しよう。

 

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 さてさて、上記のパワーはほとんどが素性機だからして、「活躍して当たり前」という部類に属する。逆に、ワースト級のパワーを与えられた選手は……今日も残酷な対比が浮き彫りになってしまった。前検から泣きまくっていた池田浩二は、5Rでキャリアボデーを交換して臨んだが見せ場すらない大差の6着。1号艇での巻き返しを狙った11Rも再度のキャリアボデー交換(戻した可能性もあり)がまったく実らず、1マークからボコボコに叩かれての6着大敗。そのまま公傷で帰郷した池田だが、今日の足色はちょっと目も当てられないほどの惨状だった。

 

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 同じく愛知の赤岩善生もウルトラワースト級に捕まった。「整備の魔術師」として知られる赤岩のこと、1Rでは電気一式とクランクシャフト(もっとも手間暇がかかる部品)を交換したが、バックで2着も狙えるかというポジションからずり下がって6着。後半6Rはさらにシリンダーケースとキャリアボデーを交換してパワーアップを図ったものの、これまた2番手からターンマークごとにズル下がりで6着……池田が帰郷した今、文句なしのワーストと言いきっていいだろう。嗚呼、節イチ・寺ショーとの明暗の差といったら、もうっ!>< まあ、それでも最後の最後まで諦めないのが漢・赤岩。明日以降もあの手この手の猛整備でパワーの底上げに励むことだろう。大敗続きで人気がガタ落ちするだけに、少しでも気配が変わったら舟券に絡めてみたい。(text/畠山、photos/シギー中尾)