BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――初日から明暗

 

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 初日から、機力による明暗がくっきりとしていた。たとえば、中村亮太はゴキゲンで大きな作業の必要もなさそうだった。ひとつ、ハンドルとモーターを結ぶワイヤーのわずかな曲がりが気になるらしく、それを交換しようとはしていた。これは機力とは無関係の操縦性の部分。もちろんレースに影響がないわけではないが、その仕事を優先できるということは明るい材料だろう。そのワイヤーを外したところで、こちらの姿を亮太は発見。ワイヤーをこちらに向け、手元をグルグルと回し始めた。なるほど、リールか。気づいて亮太のもとにつつつと歩み寄ると、「やったー、クロちゃんが釣れたー」。わー、釣られちゃったー、って、おい。無邪気な笑顔は、機力良好の証しだ。

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 連勝発進の菊地孝平も、足取りは軽やかだった。BOATBoyの記事に反映させるコメントを求めても、好意的に応じてくれている。もし、菊地が調整で忙しそうだったり、あるいは調整の方向性について考え込んでいるような様子だったら、僕も声はかけていない。調整自体はもちろんしてはいたが、そこまで深刻になる必要はないということだろう。他選手のエンジン吊りなどもあり、決してヒマそうというわけではなかったのに、快く言葉を投げてくれた菊地。今日はある程度納得しているのは間違いない。

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 久田敏之も、良さそうだ。少し話をしたところ、ポジティブな言葉が並んだ。もちろん、完全に満足しているわけではないようで、まだまだ調整は続く。それでも、好感触を得たことは久田の気持ちをも明るくしているようだった。ここで活躍すれば、チャレンジカップも見えてくる。「目指さなきゃダメですよね、ここにいる以上は」。もちろん。ぜひとも目指してほしい。そう言うと久田の頬が緩んだ。「自分を変えに来た」と言った開会式。もしチャレンジに手が届けば、確実に自分を変えられるだろう。

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 一方、整備室を覗けば、本体を相手に奮闘している選手の姿が見える。まずは久田に差された今垣光太郎。3カドから伸びてまくり、2着。そこまで悪くは思えなかったのだが……「伸びだけ……というか、ダッシュ分でしょうね。ターン回りがぜんぜんダメ」。結果ではない、というわけだ。もともと整備の鬼として知られる今垣だ。本体と向き合う姿は、なんかしっくりとして見えた。ちなみに、部品交換はしていないそうだ。

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 地元の石渡鉄兵も本体整備。わりと長い時間を整備に費やしており、聞いたらセット交換とのこと。地元SG、整備士さんも顔なじみのはずで、相談の結果が大きな整備ということになったわけだ。とにかく今日の足色では厳しいと口にして、石渡は顔をしかめた。こんなにもあらわな渋面は、あまり見た記憶がない。穏やかで腰の低い人が、ひとつの笑みも見せなかった。異常事態であろう。

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 ほかでは、長嶋万記と池田浩二も本体整備。長嶋は相当忙しそうに走り回っており、ちょっと聞きたいこともあったのだが、それもはばかられる様子なのだった。池田は今朝もしていたので、ちょっと重症なのかも。

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 さて、10Rを逃げ切った毒島誠が、江口晃生と長く話し込んだ。二人は師弟関係。弟子が師匠のアドバイスを受けている、という図である。毒島の表情は明るい。その少し先では、今村豊と白井英治も話し込んでいた。こちらも師弟関係。師匠がドリーム戦の秘策を授けていた? とまあ、どうでもいいって言えばそうなんだけど、たまたま視界に2組の師弟の絡みが入っていたという次第なのでありました。師弟参戦ってのはそう簡単ではないのだから、うん、凄いっすね。あと、原田幸哉と中村亮太の絡みも興味深かった。そう、二人はいまや同支部なのです。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)