BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――高まる緊張感

 

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 ピットに入ってまず思ったのは、山田康二の表情が昨日までとは違うということ。当然である。SG準優1号艇は初めてのこと、それが初のグランプリ出場について昨日までより現実感を伴ってきていること。SG優勝は常に目標には違いないが、チャレンジカップというレースの性質上、どうしたってグランプリがより鮮明に視界に入ってくる。いろんな思いが山田の脳裏に渦巻くのは当たり前の話だ。

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 井口佳典の表情は、まあいつもキリリと鋭いのだが、今日はさらに鋭さを増しているように見える。井口の場合はグランプリ当確であるし、こうした場数はいくつも踏んでいるが、ベスト6でグランプリ行きということがやはり現実に近づいている実感があるだろう。もちろん優勝を狙って戦うのは変わりなくとも、そこにはさまざまな思いが張り付いてくる。

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 こうした表情、雰囲気を目の当たりにするのは、こちらも緊張感を覚えるし、そして実に気持ちのいいものだ。もちろん、昨日までとそれほど変わらないように見える選手もいる。たとえば岡崎恭裕。淡々と過ごし、時に福岡勢やニュージェネ勢と笑顔を交わす様子は昨日までも何度となく見てきた。ただし、岡崎の場合は今節開幕当初から、気合を感じさせる仕草もあった。準優だからというわけではなく、ここに臨むこと自体が彼のなかで大きな意味合いを持っているのだと思う。昨年6年ぶりにグランプリ復帰を果たし、それを途切れさせたくないという思いは強いはずだ。トライアル1stで敗退してしまったリベンジを果たすためにも。

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 ところで、1Rの女子戦で危ないシーンがあった。樋口由加里と谷川里江が接触し、谷川の舳先が大きく煽られたのだ。お互いに完走はできたものの、男子も女子も二人をおおいに心配していた。松井繁や田中信一郎は谷川がまだボートリフトに乗っている間から様子をうかがっていたし、田中は谷川のエンジン吊りに加わって、ボートの底を何度も覗き込んでいた。谷川のボートからはいったんモーターが外され、艇修理室のほうに運ばれている。その間も、多くの選手がやはりボートの底を覗き込んだりしていた。

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 樋口のほうの接触部はモーターだったようで、中四国勢を中心に多くの選手が取り囲み、モーターの様子を盛んに気にしていた。こちらもまたモーターが外され、そのモーターが整備室に運ばれている。田中はこちらのほうも気にかけており、選手班長の白井英治も同じ中国地区ということもあって、長く付き添っていた。

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 この接触は事故にはならなかったものの、やはり選手にとっては他人事ではなく、モーターやボートの損傷がないことを祈るもの。まして女子戦線は今日が勝負駆け。優出が視界に入っていた谷川の6着に同情する向きもあるだろう。後半1号艇の谷川には、悔いなく戦ってほしいものだ。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)