連覇の向こうへ
11R優勝戦
①遠藤エミ(滋賀) 13
②日高逸子(福岡) 15
③海野ゆかり(広島)14
④細川裕子(愛知) 14
⑤中村桃佳(香川) 09
⑥長嶋万記(静岡) 06
やはり、最速の女子レーサー遠藤エミの牙城は堅牢すぎた。この大本命を打ち破るとすれば、それは超伸び型に特化したときの細川裕子しかいない。昨晩の酒宴であれこれ話しながら、私はそう確信した。同期の三井所尊春が付きっきりで細川のペラや本体を見ている、と聞いたからだ。ここ1年の三井所は「いつでもどこでもどんなモーターでも節イチ級の伸び型に特化できる男」として知られている。そんな三井所先生が何かしらの秘伝を細川に授けたとしたら……楽しい妄想を膨らませながら、私の脳内レースは細川の4カドまくりを何度も映し出したものだ。
いざ実戦、4カドの細川は遅めの起こしからフルッ被りの全速でスリットを通過したが、わずかに伸びた程度でカド受けの海野にブロックされた。そして、私の妄想たっぷりの脳内レースなんぞを蹴散らすように遠藤が豪快に1マークを先取りし、2年連続のGⅡタイトル制覇を決定づけた。うむ、去年の当欄で私は「この勝利は通過点に過ぎない」などと記したはずだが、今年も思いは同じ。いや、さらに辛口な言葉を書かせてもらおう。
「遠藤エミ、何度も同じ通過点を通っている場合じゃないぞ」
去年と今年の大きな違い。それは、このシリーズを制しても女子の賞金トップに立てなかったことだ。この1年間で、飛躍的に成長したのは小野生奈だった。一昨年は9位、去年は4位だった生奈は、今年のGIタイトルを制してSGチャレカへと駒を進めた。今節、別次元の檜舞台で戦い続ける後輩の姿を見て、遠藤は何を思ったか……その思いを来月の大村の水面に投影させて、早々に次のステージへとステップアップしてもらいたい。
さてさて、今年の優勝戦でも「チャレンジ」の只中にいたのは日高逸子だ。去年は③着条件というノルマを見事に突破したグレートマザーだったが……今年は②着条件をクリアできず、4着で力尽きた。結果、今年はボーダー圏外からチャレンジした選手はすべて脱落。勝負駆けを成功させた選手はひとりもいなかったわけだが、最後の最後まで12位・田口節子を脅かした56歳の女勝負師の姿は強く印象に残った。昨日の3カド攻撃にも痺れまくった。私と同い年の逸子ママには、来年も再来年もこの舞台で活躍してもらいたい。もちろん、できればボーダー上位の選手として。(text/畠山、photos/シギー中尾)
女子最終ランキング
1小野生奈
2遠藤エミ
3長嶋万記
4寺田千恵
5細川裕子
6松本晶恵
7海野ゆかり
8山川美由紀
9平高奈菜
10川野芽唯
11樋口由加里
12田口節子